青い心臓

二人きりだったらよかったのに。
そういってキミは笑った。なくしたもの全部、とりもどしてるみたいに。さようならしようよ、全てに。キミが何度も笑うから僕はキミのその小さな心をすくってあげたよ。手の平にすっぽりおさまって揺れて小さな海みたいに。キミは昔からまるいものがすきだったよね。キミが僕の手に手を重ねてこう言うんだ。「僕はずっとキミのそばにいるよ。だからキミの色を頂戴」笑顔がキラキラしてて雫が口の中から沢山でてきた。ゆっくり時が止まったみたいに落ちていくんだ。「いいよ」だから僕はキミの心に僕の心をあげた。キミの心が半分赤く染まって、キミの頬も少し赤く染まって、僕はキミの目をずっと眺めるんだ。ねぇ、僕がいなくなっても忘れないでよ。だから僕がいなくなっても忘れないでよ。「キミの心もちょうだい」僕は心臓に向かって手を入れて僕の心を差し出すんだ。そしたら、少しして半分青く染まるんだ。僕の頬も、少し青く染まるんだ。

青い心臓

青い心臓

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-09-20

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