共犯者
ネムとみる、星の断面と、あの子の肉体組織。
ウエハースだった。
まぎれもなく。
街の、すでにはんぶんはおかしくなっていて、でも、ひとびとは気づかずに生きていて、腐臭がしないから、じくじくと膿んでいるのに、ネムと、ぼくと、あの子だけしか知らない真実を、共有しているせいか少しだけ、調子の狂った音楽が聴こえる。月から降ってくる、あたらしい生命体が、あなたたちは愚かなほどに鈍いと嘲笑い、海から生まれる、一度は肉体を持っていたタマシイが、ぼくらはかなしいほどに無知だと嘆き、森を統括するアルビノのクマが、きみたちはすべてを失ったときに大切なものの正体を知るのだと告げる。
朝をまっているあいだに、ネムと、ぼくと、あの子は、三度、夢をみた。
ひとつのベッドで、よりそって、ネムと、あの子の、ほどよくやわらかなからだの、重みと熱を感じながら、こわいものはないよね、なにも、と確認しあい、ねむった。夢は、かわいくて、さみしくて、やさしくて、こわれたレコーダーで映像を再生しているみたいだった。
目が醒めたら、ちょっと焼きすぎたくらいの、カリカリのトーストをたべたいね。
共犯者