いつかの土砂降り(マエマエ&シオン)

セシル

🔸登場人物🔸
シオン(ごく普通の中学生。)
シオンの母(やまとなでしこ)
前田麻絵

「ねぇ、あなた。風邪引くよ、そんなところにいたら。亅

朝のニュースで梅雨明けしたと言っていたのに、いまは信じられないほどの雨が降っている。まさに土砂降りだ。

薄ピンクの傘に1人の少女を誘う。こんな雨の中、彼女は神社の階段の隅っこでうずくまっていた。

あっ、り、がとぅ

か細い声だ。シオンはポケットからハンカチを取り出し、彼女の髪をそっと拭く。

彼女の髪が小刻みに揺れているのがわかる。

「ねぇ。うちに来ない?」

しばらくして「うん。」とうなずいた。

家についてすぐ風呂へ連れていった。その様子をシオンの母は目を丸くして眺めていた。たが事情がわかると温かい飲み物を用意した。

ソファーに体育館座りで座る少女は、ふぅーとホットミルクを飲む。その後ろではシオンがドライアーをかける。

「ねぇ、なんであんな所にいたの?」と投げかける。すかさず母が「ほらほら、シオンもお飲みなさい」とミルクを差し出す。

シオンの母はふかふかのタオルで髪をそっと拭く。ずっと少女は俯いたままだった。

***
その夜シオンは不思議な夢を見た。今日会った少女にそっくりな子が一人どこかにいた。彼女の家だろうか。時折、部屋じゅうをウロウロするが、それもすぐにやめてしまう。誰も現れない。ただ時間だけが過ぎていく・・・そこで目が覚めた。

横を見ると少女がスヤスヤと眠っていた。

彼女は一週間シオンの家にいた。それは母の好意というよりシオンの頼みだった。あの子から離れちゃダメだ。そうシオンの直感したのだ。

この間に少女は少しずつ元気を取り戻していた。彼女に関してはいくつか分かったことがある。まず名前は前田麻絵ということ。同い年なのに一人暮らしであるということ。そしてとっても優しい子だ。

一人っ子のシオンにとって、自分より背が高く、顔の整った麻絵は姉のように感じられた。だが麻絵はどことなく心配なるというか、気にしておかないと消えてなくなってしまうような雰囲気がした。だからシオンの方が姉となり、彼女に接するようになった。

***
麻絵が家にやってきてからのシオンの成長に母は驚きっぱなしだった。そのため「マエマエ(麻絵)の家で一緒に暮らす」という申し出を喜んで快諾した。母は花柄のハンカチで涙を拭きながら、娘たちの巣立ちを見守った。

「麻絵、いつでも帰ってきていいからね」
「はい、ありがとうございます。」

二人が家を出ると空は曇っていた。途中ぽつぽつと雨が降り出したかと思えば、土砂降りに変わった。

「家までダッシュしよ」とマエマエが言った。

二人は雨の中を勢いよく駆け抜ける。

こうして二人の生活はスタートしたのであった。

いつかの土砂降り(マエマエ&シオン)

読んでくれてありがとう。他の作品もよろしく♪
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作者:セシル
作品名:【マエマエ&シオン】シリーズ
 『相手の夢を実況してみる。』https://slib.net/108415
 『神社で』https://slib.net/108416
 『物恋』https://slib.net/108418
 『表と裏』https://slib.net/108437
 『秋といえば』https://slib.net/108475
 『ゆく夏』https://slib.net/108485
 『#22時の気まぐれラジオ』https://slib.net/108495
 『屋根裏の人工知能』https://slib.net/108510
 *どこから読んでもOK
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いつかの土砂降り(マエマエ&シオン)

①梅雨明けの日は土砂降りだった。他人の夢を見ることができる少女「シオン」は神社へ続く階段の隅でうずくまる少女と出会う。②【マエマエ&シオン】シリーズ第1話にあたる作品です(恐らく😂)

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2021-09-09

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