アサシン・・・1

マヤは、普通の大学生
夢は獣医。
母、父、弟と極々普通の家庭のはずだった。
一通の手紙をきっかけに起こる不可思議な出来事を書いていきたいです。

全4話くらいで完結予定です。
感想いただければ幸いです。
お願いします。

 アサシン

朝焼けが綺麗な午前4時、子犬の声で目を覚ました。
しかも、沢山の子犬の声がする?私の家には最近、四歳の茶色のレトリバーが
家族として加わったばかりだった。
リビングに行った私は目を疑った、子犬が沢山いる。
・ ・・確かにちょっと肥満気味の犬だったが、まさか妊娠していたとは

「あら!」母の声だ
「かわいいわね!沢山産んだのね、茶色だし同じ犬種ね!」
確かに、まったく同じだ。むしろクローンのような感覚まで覚えるほど
「けど、妊娠していたなんて知らなかったわねぇ。三浦さんはしっていたのかしら?」三浦さんとはこの四歳の犬の前の飼い主だ。
会社の社長さんをしていたのだが、倒産してしまい、この土地を離れ
新たに、会社を始めるために、茶色のこの犬を、私たち家族に託していったのだ。
私は「ねえこの子たち血統書あるから、ちゃんと育てたら売りにだそうよ」
「そうねぇ全部は育てきれないからね。欲しい人がいればあげてもいいけど
責任がない人にはあげたくないし、とにかく少し大きくなるまでお世話してあげなくちゃね!」母は楽しそうに無邪気に話していた。

そのとき窓から何かを投げ込まれる音がした。
母と私は顔を見合わせ、私は窓に駆け寄った。
青い薄汚れた封筒から少しはみ出た手紙が見える。
私は窓の外を見渡すが人影すら見えない、「気持ち悪い!窓閉めておいて」
怖がりの母は私にそういって子犬を抱きしめていた。
「なにが入っているの?」母の質問に私は「ちょっとあとで見るよ」
「そんなことより・・・」「うわ!なんで?」私の話をさえぎり弟が目を覚ましたようだ「かわいいでしょう!」母は意気揚々に自慢げだ。
野暮ったい感じで父も起きてきた。
クーン、クーンと子犬の鳴き声が響く朝焼けの入るリビング
なんだか慌しいが幸せな空気だ。
母は子犬を確認しながらやさしく身体を拭いていた。
私は弟に何匹いるか確認しようと、二人で携帯カメラ片手に数え始めたまだ目も開かない子犬たちを数えていると「え?」「どうしたの姉ちゃん?」
「え?え?子猫もいる・・・」
家族が微妙な表情をした後、笑った。
しかし、本当に子猫だ耳が妙に小さい子猫はほかの子犬同様、目も開かない正真正銘ここで産まれたような子猫だ
「えっ?」「え?」「どういうこと?」「?」家族全員ハテナで頭の中いっぱいだ
一応獣医を目指していた私は、「たぶんスコチッシュホールドだとおもうけどと

母は「そうねぇ、たぶんその交じりなのかもね・・・けどあれ?こっちは」
猫はまだいたまるでチーターのような、狩りをしそうなスタイル
目が開いたそしてほかの子違い断然大きい、しかし、生まれたばかりなのはたしかだ。
「ねえちゃんこれなに?」弟は気持ちが悪そうにいやな顔で質問してきた
「・・・アサシンかな」
ああ・・・私なにをいってんだろう、たぶんそんな名前の猫はいない、仮に猫じゃなくほかの動物だとしてもそんな名前の動物はいないだろう
「ちがうたぶんトラとかチーター系の動物じゃないの?」
必死で弁解した私をじっと見ている、この猫の目は私は嫌いではなかった。

家族はぞれぞれ出かけていった、私は大学を休んで子犬と子猫の世話をすることにした。
一人で悪戦苦闘しながら母犬のそばに寄り添い世話をし、糞尿の掃除に追われていた。
午後、母犬に寄り添って私達は眠りに落ちた。
夕方6時母の声で目を覚まし。
そういえば、お腹がすいていた今日は何も食べていない
「マヤ、あのチーターみたいな子どうしたの?」
「えっ・・・」私は家を見渡した。
ソファの隙間、テレビの陰、観葉植物の鉢の裏
しかし、生まれて間もない、動けないはずそんなに遠くにいけるはずがないのだが、庭も一応探した。
「いない・・・どうしようどこにもいないよ!」
リビングに入ってきた弟も探し始めたがどこにもいなかった。
私はなんだか罪悪感を感じ、今日の日が終わった。

翌日、子犬の鳴き声で目を覚ます。
子犬の世話は大変だ、まだ目も開かない子犬と子猫。
かわいいということは生存していく上で、とても大切なような気がした。

どうも昨日からの疲れで大学に行く気力がなかった。
母は私が交代で見るからといっているが、私は仮病を使い今日も子犬たちの面倒を、見ることにした。
子犬たちは2週間で目が開く、母犬の乳を飲む
そのあとのほうが大変だ、離乳食を三食与えなくてはいけないし暴れまわる子もでてくるだろう。
今のほうが楽だな~と思いながら猫は母のほうが詳しいので母に任せたいな~なんてぼんやりと思っていた
その時ふとあの青い封筒の中身が気になった。
子犬たちが産まれた当日投げ込まれたものだ
私は台所の棚に置いていたことを思い出し、母犬が子犬に乳を与え始め子猫も乳を飲んでいることにはびっくりしたが、手も空いているので探しに行った。
棚から青い封筒を取り、私は冷蔵庫から麦茶を取り出しソファに座った。
なんだか汚いような気持ち悪いような、少しかび臭い臭いもした
親指と人差し指でつまんで中身を見た
A4サイズの紙にはがきがくっつけてある
ん?このはがきは見覚えがある、しかし微かな記憶だ

「あっ!」
記憶が蘇った。私は小学生のころから、動物が好きで獣医になりたかった。
犬を子供のころ飼いたくて、子犬や子猫をしょっちゅう拾ってくる子供だった。
そんな小学3年生のとき学校の授業、たしか理科の野外見学の授業の時行った科学館にそのはがきはあった。
科学館の資料やほかの美術館の案内や近隣施設のビラなどがあるそこに応募はがきがあった。
「あなたの好きな動物はなんですか?アンケートにお答えいただいた十名様にその動物をプレゼントいたします」
その文字をみて私は嬉しくなってしまった。当る気持ちしかその時はなかった。
純粋だった、お名前ご住所も丁寧に書いていた。
今ならそんな不思議なアンケート用紙に本当の名前や住所を書くなんてしない
しかしあのころはそんな感情もなく書いていたようだ、字はとても汚いが。
私はアンケートの自分の答えにはっとした
欲しい動物をお書きください。
アサシン
!?
なにを書いてるんだ私は、嗚呼馬鹿だなぁ・・・私何かいてるんだろ

一人でにやにやしてしまった。
しかし、あれアサシンって・・・・
!!?
あれだ!あの猫いやあの動物だ!どうしよう!なんでいまさらなんだろう?
というか実際にいるの?いやたぶん・
頭の中は、混乱して眩暈もしてきた。
いやネットで調べなきゃ!
私は必死でネットを漁ったが、何もわからなかった。
ただ意外なことにアサシンという言葉があることをそこで知った。
暗殺者
言葉があることもびっくりしたが、小学3年生で知っていたのだろうか?
どこかで聞いてそれを動物と勘違いしたのかも知れない。
しかし、今の今まで私はその言葉も意味も知らなかったはずだった。
なんだか不気味すぎる・・・
「怖いな・・・」ふと言葉が漏れ恐怖を感じた。
紙にははがきの下にこう書かれていた
「マヤちゃんアサシンはちゃんと届きましたか?マヤちゃんの喜ぶ顔が目に浮かびます。大切にしてくださいね。」その跡に住所と園長という文字
なんか気持ち悪い!捨ててしまおうと私は思った。
しかし、あの猫、いいやアサシンの居場所を知っているのかもしれない。
私は2階の自分の部屋に戻り青い封筒を机にしまった。
子犬と子猫の小さな鳴き声が聞こえた。
3ヵ月後、子犬子猫ともに全員無事に目を開き、走り回り元気な姿を見せてくれている。母犬も安心したのか、最近はよく寝ている姿を目にする。
私は休学届けを出していた。
持病の治療ということで私は喘息持ちなので大学側もすんなり受け入れてくれた。母は私が大学をやめるのではないか、なにか大学で問題があるんではないのかと、心配してくれたが私の将来なりたいものはひとつなので
辞めないとわかり、この子達が手のかからない時期までと納得してくれた。
穏やかだが少し慌しく、日常が過ぎていった。
午前9時、子犬の離乳食を与え私はソファから窓の外を見ていた。
光が綺麗だなぁと思っていると、青い空に青い封筒がなぜか連想された。
子犬たちが少し眠りかけていた午前9時半私は急いで、
部屋で服を着替え、封筒を手に県を五つほどはなれた住所の場所まで行くことにした。
そういえば買い物以外外にでていなかった、友達も犬や私を見に家には来るが

子犬の世話に追われている私を遊びには誘わなかった。
なんだか寂しさを感じるが、私は家を後にした。

アサシン・・・1

アサシン・・・1

マヤは、普通の大学生 夢は獣医。 母、父、弟と極々普通の家庭のはずだった。 一通の手紙をきっかけに起こる不可思議な出来事。 動物なども出てきます。

  • 小説
  • 掌編
  • サスペンス
  • ミステリー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-12-05

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