詩3

少し暗めな詩集です

湿った空気は酷く息が詰まる。
蝸牛と蛙が生きているのが見えた。
窓についた雨は、
つたう つたう
傘は有っても無いと同じ。
雑音だけが僕を満たした。


連れていって。

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白い空が見えるよ。
それは感情なんて無いんだ。
雲は何を落とそうとしているのか。
白い空は僕の頭を割る。
白い空は僕の頭を割る。
刺さる様な視線の様な白。
嗚呼なんで広く広がっているんだ。

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言葉一つで変わる自分の人格が悲しい

言霊、コトノハ、其故に

幸せ、幸せ、
憂鬱、憂鬱、

喩えそれが自分のものでなくても



花畑で貴方を見据える私。

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『隣人』


私には一人しかいませんよ
私には同じ年の
ああ、今はいないけど
貴方は会う事も無いでしょう。

鎮魂歌を歌いましょうか
花を置きましょう、黒い花
赤と黒と赤赤赤赤赤

嗚呼、
あの子が僕を見た。

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逃げ出さねばならない!
逃げ出さねばならない!
こんな、今の様な、これから、

それは貴方が望んだ事だったでしょう

手が手が伸びて私の身体に巻き付くだろう私は其れを払いきれず飲み込まれてしまうのだ
だから逃げ出さねばならない逃げ出さねばならない


それは貴方が望んだ事だったでしょう

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粉になった種は空中で貝となってくるくると回るのだ。
蝸牛が先だったかなめくじが先だったか。
歌を歌おうとしたら奇声しか出なかった それは花の声なのだろう。
泡を吹いたら風車が止まり、ヘッドフォンは風を流していた。床に叩きつけたなら歌は止まるだろう。
蝸牛が青の上を歩いていてその筋肉が見えた。鶏は彼を避けて地面を歩いた。ああ鶏が先だったか卵が先だったか。
音を立てて歩くのは賢いことではなかったようだ。鹿が言ったのだ。
走っても走っても蝸牛には追いつけなくて 蝸牛が先だったかなめくじが先だったか
花はくるくると回っていたよ。私はそれを一つ一つ止めたんだよ。
蝸牛は待ってくれなかったんだ。



嗚呼嗚。

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それは赤い海だったのだという。
見上げた空は只白くて、自分の身体が完全であることが不思議で、
嗚呼僕の手には孔が開いているはずだ 手首には無数の傷脚は片方捨てたのではなかったか

ぶら下った腸や肝臓を喰らい生きるつもりだったのに

嗚呼僕は清らかな透明の水の中でその身体を見た。嘘だろう、なんて女体なんだ。

腹が減る。僕はその両の脚を使い水辺から歩き出た。

何一つ狂っちゃいないね。頭痛が酷いんだ。

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『異界の記述』


黒い蝶々を見掛けませんでしたか?
とても大きくて両手では収まらないんです。
それが何を意味するのかは私も知らないの。だけど、私はとても好きなのよ。
ひらひらと泳ぐその姿、何も言わないところも好きよ。

一人で寂しくなんかないわ。一人はねぇいいのよ。
只その黒い蝶々さんがある『意味』であるのなら、 私も変わったのね。

ひらひら ひらひら

お花畑は綺麗。

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あるところに花畑の中で竜と鳥と目玉と月と化物だけしか見ない生活をした少女の様な何かがいたあるところに森の中で鳥と竜と小人と月と化物しか見えない生活をした少年の様な何かがいた二人あるいは二匹あるいは二個は遠いけれど繋がっていた切れていたけれど繋がっていた沢山の考えと世界が繋がっていた沢山の感情と病状が繋がっていたしかし繋がっていなかったそれは、何か、何故



其故に



私から見てみればそれは滑稽で危うくて意識で偶然で無意識で必然で綺麗で素晴らしかった



嗚呼、そういうものなんだろう。

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あの亀が言った事が未だに気にかかる。
軽々と踊る足取りと流暢な口
奴は何を知っている?奴は何を望んでいる?

まあ良い。

次に会った時は俺が生きる。

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いけない


彼女の言葉が耳で海になる。
それは消毒の香りのする澄んだ海だった。

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『ラリリィノウスとネルトリリア』


ラリリィノウス 私は三百万年の夢を見たんですよ

ネルトリリアどうして起きてしまったんだい僕にその歌を教えてくれないか

私と同じ蟲が何万と何万と飛んでいたんだよねぇ

ああ世界つてどうしてこんなにも愚かなんだろうか軽蔑しよう

貴方の頭がおかしいのよ

夢の歌は光の羊皮紙に 闇の萬年筆で書くのだよ

ひらひら ひらひら

ああたくさんだね たくさんだね

ひらひら ひらひら ひらひらひらひら

光は歌ったかい

ひらひらひらひらひらひらひらひらひらひらひらひらひらひらひらひらひらひら

ロツクンロウルが聞こえたよ

エレキギターESI コオドは無いのよ

ドラムンベエスにガバで踊ろう

私は死ぬわよ

なんまんのむしとなんまんのうた なんまんのゆめとなんまんのおんがく

音と夢と歌は同じ

音楽が無くても死ぬだろう?

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私には想い人がいました。しかし彼は戦争に行ってしまったのです。
「彼は何処に行ったと思うかい。」
信夫さんは言いました。そして自分の豪邸(其処は彼と最後の別れを告げた場所でした)を見ました。
そこで私はわかりました。彼はあの下で眠っているのだと。そして、埋めたのは信夫さんであることも。
私は泪を流しました。
「私は君を愛しているよ。」
信夫さんは言いました。信夫さんは大富豪の息子で素敵な人でした。
私は泪を拭きながらも頷いたのです。

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清らかな黒は揺らいだ
周りには火、雷、風 従えて

その背中には翼があるんだろう?

君は闇として揺らぎ、泳ぐ

君が此所にいるのは偶然じゃないよ

おいで

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貴方を遠くに見ました。
踏切は一定のリズムをきざんでいます。
貴方はその向こうで笑いました。
踏切は一定のリズムをきざんでいます。
私はそのこちらで泣きました。

電車が通りました。
轟音が響いて、
私は叫びました。
見えなくなる貴方。
線路にしたたる赤。
踏切は一定のリズムをきざんでいました。

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『エスカ』



エスカ エスカ
エスカたち
エスカたちがやってきた
一つの目ん玉見開いて
静かに何かを探してる
さあ逃げろ
エスカに見つめられる前に

エスカ エスカ
エスカたち
エスカたちが見つめてる
一つの目ん玉見開いて
静かにこっちを見ているよ
さあ大変
時のはざまに落とされる

エスカ エスカ
エスカたち
エスカたちが見つめてる
さようなら
さようなら
時のはざまに落とされる

詩3

ありがとうございました!

詩3

湿った空気は酷く息が詰まる。 少し暗めの詩集です。

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • ホラー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-12-05

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