詩2

少し暗めの詩集です。

ひた

真っ赤な液体が広がっていく。

ひた

彼は横たわる体をちらりと見る。
そうだね。其れは綺麗なんだ。

ひた

足音だけが聞こえるよ。

ひた

おいで。その真っ赤な体で。

ひた

彼は笑った。


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『願ったから』


いつになったら
此処から出ていけるのだろう
周りは五月蝿く
誰も私を見ようとしない

獣になって全てを引き裂き
草原へと駆け抜けられたら

鳥になって空を突き破り
大空へと帰れたら

魚になって水道を通り
海や湖へと旅立てたら

私は何が出来るだろう
私は何をやれるだろう

私は獣でも鳥でも魚でもない
私はただの人間
ただ此処でじっとするしかない

風は言った
「君には心がある。獣にも鳥にも魚にも無い、力を生む心がある。その心一つで何でもできる」
私は風の話を聞いた
私は強く思った
「此処から抜け出したい」
自然と足が動いた
自然と手が動いた


私は走った
人をかき分け
物を押し倒し
ただあの草原に
ただあの森に
ただあの湖に
行く為に
抜け出したかったから

私はたどり着いた
草原に
森に
湖に
そして出会った
獣に
鳥に
魚に
私は知った
草の薫り
空の色
水の音

私は嬉しかった
本当に嬉しかった
此処に居る喜びを
私は知った
抜け出したいと
強く願ったから

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『俺と貴方のうた』


お元気ですか?
俺は病気です
恋してますか?
俺は二次元に恋してます

貴方と俺は正反対だから
きっと貴方は幸せだ

夢を見てますか?
俺は絶望してます
生きていますか?
俺は死んでます

貴方と俺は正反対だから
きっと貴方は幸せだ

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『無題』


黒いのは夜の闇
赤いのは宵の炎
昏々と混ざる闇
ぼうぼうと燃える炎
逸れは神が創りたもうた物?
それとも___?

黒い闇は目を持っていた
赤い炎は全てを焼き尽くした
逸れは神が創りたもうた物?
それとも___?

闇を照らすのは炎だろう
炎を飲み込むのは闇だろう
二つは乱れ、交じり合う


逸れは神が創りたもうた物?


それとも___(アクマ)?


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『僕とサトクリフ』


貧しい屋根裏の一角…鼠の僕は鼠のサトクリフと仲良しだった。
ある日、父親からとうとう食べ物が無くなったよ、と告げられた。
サトクリフ君は?と尋ねると、パンと一緒に食べちゃったじゃあないか、と言われた。

サトクリフ君が食べられるなら僕が食べられちゃえば良かったのに。

詩2

ありがとうございました!

詩2

真っ赤な液体が広がっていく。 少し暗めの詩です。

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • ホラー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-12-05

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