ぼくらがひとりでいる理由
孤独に思われたかのようなひふ
痛みがひとりでにうずくまる
きみのかげに隠れて、
ちりぢりになった夢の
縫い目になる
あまだれが、しづかに終わる
透明な膜が
ぼくらを包んで離さない
普段は目にすることのできない
それぞれが抱えた痛みが
たましいの内側から発光して、
梅雨の鋪道を照らしている
傘のハンドルが社会とぼくの心の距離
象徴して瞬く、さよならの合図
手を伸ばして
きみのからだに触れようとするほどに、
この雨傘がぼくときみの距離
遠のかせている
魂の奥底に眠るやわらかな心
世界から隠しておきたくてぼくら
生まれてから死ぬまでずっと、
傘を
手放せないでいる
ぼくらがひとりでいる理由