麦チョコ

麦チョコの商品説明の欄には太字で「準チョコレート」と書かれていた。準社員だった私。私の”準”って、もしかして準チョコレートの”準”?

麦チョコ

たまに食べたくなる麦チョコ。
藁みたいなよく分からない茶色いものに雑にチョコレートがコーティングされてある麦チョコ。
サクッと言うより、ファサって感じの食感。
めちゃくちゃ美味しいわけでもないのだけど、定期的に食べたくなる。
この前、何となく袋の裏側に書かれた商品の説明に目が行った。
太字で書いてある『準チョコレート』という文字。
準?チョコレートではないって事なのか?
その時働いていた私の会社での立場は、『準社員』だった。
私の準って、準チョコレートの準?
何とも言えない気持ちになった。
同僚に話してみると、
「同じようなもんや」
と言われた。
私は麦チョコと同じらしい。
チョコが食べたいという理由で麦チョコを買う人はあまり居ない気がする。
チョコが好き!という人はよく居るけど、
準チョコが好き!という人は聞いた事が無い。
大体安い。
大体売場の端っこか最下段。
考え込んでいる私を見て同僚は言った。
「麦チョコって一粒一粒売ってるの見た事ないやろ?袋入りでしか売ってない。一粒だけは要らんねん。一粒でなんか買わんけど、袋でいっぱい入ってたら買う。準社員は、一粒の麦チョコってこと。そういうことや」
俯いた頭を更に上からグッと抑え込まれたような気持ちになった。
スーパーで衝撃の事実を知った。
『パイの実』も『小枝』も準チョコレートだった。
スーパーのお菓子売り場は準チョコレートだらけだった。
スーパーのお菓子売り場までもが現代社会を映しているなんて。恐ろしい。
同僚に言った。
「まあそうやろな。ちなみに私はジャンドゥーヤチョコレート目指してるけどな。」
世界は広い。

麦チョコ

麦チョコ

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-09-04

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