大好きな貴女へ

加月ゆずみち

普段から大好きお母さん
ありがとうと言えていたら
わたしの喪失は少しだけ
軽かったのかもしれない

そばにいてありふれた
貴女の愛に満ちた日常

けれど 日常は惨劇に
赤く燃やされ 黒く焦がし 白く凍てつき
暖かい故郷は消えた

貴女は幼いわたしを守り
炎の中に消えた
強い瞳は何を訴えていたのかな

二度と会えない貴女に
怒られることも
褒められることも
名前を呼ばれることも
抱きしめられることもない

ひとりぼっちだったら
迷わずにわたしは
そちらへいっていた

わたしは独りではなかった
助けてくれた人が
ずっとそばにいてくれた
怒られて褒められて
名前を読んでくれて
抱きしめてくれる

そして十年が経った
貴女のおかげで 
その人のおかげで
わたしは今を生きている
これから先も強く──
 
だから心配しないで
どうか見守っていて
これからもずっと
大好きな貴女へ

大好きな貴女へ

大好きな貴女へ

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-09-03

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