千鳥足、舞うは地獄

今日も今日とて酒を浴び
鬱憤晴らしの続く日々

世間に揉まれ
酒に呑まれ

軋む身体
擦り減る心

情けをくれる人間もおらず
おてんとさんにも嫌われちまってる
この世にゃ俺の居場所はねえ

時が経ち、汚れに汚れ
いつしか大事なもんも見えなくなった
おれの望んでた大人ってこんなだったかねえ

人間誰しも抱えきれぬ業がある
ぬぐってもぬぐっても消えないシミのように
心にベットリと張り付いた何かを
洗い流すように酒を呑んでやっと生きてる

心のポッカリ空いたところを酒で満たさないと
大人ってやつはやってられないんだよ

ぐわんぐわんと目が回り
空元気が出てきたらダンスタイムさ

後のことなど知らんぷり
みんな狂ったように踊り出す
おぼつかない足取りで
これといった目標も持たぬまま
皆んな死へとゆっくり進む

そして最後にハッと振り返る
これが俺の人生かと
俺なにしてたんだっけ?

ああそうだ
地獄のダンスだけだ

千鳥足、舞うは地獄

千鳥足、舞うは地獄

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-09-02

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