小説・共謀罪(テロ等準備罪)

浅野浩二

平成30年、の春のことである。
安倍晋三の、ワガママさ、数の力で、法案を押し通す、卑劣な国会。全くの、説明なし。に、国民は、いい加減、ウンザリしていた。
平成30年3月11日に、九州に震度7の地震が起こって、九州の、川内原子力発電所が、損壊し、鹿児島市は、放射能が撒き散らされた。
そして、その翌日、沖縄で、オスプレイ3機が、沖縄の、那覇市の、国際通りに、墜落した。
死者は、50万人を超えた。
そして、その翌日には、アメリカが、イスラム国に空爆し、日本の自衛隊も、その戦闘に協力したことから、イスラム国の、テロ集団が、日本は、アメリカの戦争に協力した報復として、東京に、サリンを撒いて、死者100万人を出した。
・・・・・・・
これをきっかけに、ようやく、国民の目も、開けてきて、安倍晋三の支持率が、落ちだした。
しかし、安倍晋三は、総理大臣を辞める気はない。
一方、一体、いつまで、安倍内閣は、続くのだ、と、石破茂と石破派は、怒り出した。
(このままでは、オレは一生、総理大臣になれない)
と、石破茂は、焦り出した。
(オレなら、安倍晋三より、もっと、上手く政権運営できる)
という、絶対の自信が石破茂にはあった。
そこで、石破派は、ついに、加藤の乱、ならぬ、石破の乱を起こした。
石破茂は、一句、読んだ。
「時は今あめが下しる五月かな花落つる池の流をせきとめて」
それを、野党が知って、野党は、内閣不信任決議案を出した。
石破派は、衆議院本会議に欠席した。
そのため、衆議院本会議で、内閣不信任決議案が可決された。
安倍晋三は、当然、解散・総選挙に打って出た。
しかし、石破茂の、予想は、はずれた。
国民は、自民党そのものに、嫌気がさしていたのである。
・・・・・・・・
しかも、森友学園の、安倍あきえ、の証人喚問で、籠池氏に、100万円、渡したのは、安倍あきえ、と、わかってしまった、のである。
衆議院の解散・総選挙が行われた。
安倍晋三は、見苦しく、「アベノミクスは、道半ば」、だの、「日米同盟の強化」、などを、声高に叫んだが、もはや、聞く人は、いなかった。
結果は、民進党、共産党、社民党、自由党、の、大勝となった。
民進党は、小泉政権の、郵政民営化、選挙の時のように、各選挙区に、新人の刺客を送り込んだのである。
自民党の、大物議員は、野党連合の送り込んだ刺客に大差をつけられて、大敗した。
山尾しおり、が、景気回復、させる、と、公約したのである。
景気回復しなかったら、死んで責任をとります、と、強気で言ったからである。
自民党は、かろうじて、山口4区で、安倍晋三が、野党の刺客に、かろうじて当選した。
与野党逆転し、民進党、共産党、社民党、自由党の、連立政権が、誕生し、政権与党になった。
内閣総理大臣は、民進党の、山尾志桜里が、指名された。
すぐに、内閣の組閣が行われた。
その内訳は。
首相。山尾志桜里
官房長官。福島みずほ。
財務相。金子勝。
総務相。山本太郎。
法相。鈴木宗男。
厚生労働相。阿部知子。
農相。小池晃。
経済産業相。枝野幸男。
国土交通相。穀田恵二。
環境相。復興相。武田邦彦。
文部科学相。関口美奈。
外相。防衛相。志位和夫。
国家公安委員長。鈴木奈穂子。
沖縄北方相。背山真理子。
経済再生相。小川彩佳。
五輪相。杉浦友紀。
一億総活躍相。廃止。
地方創生相。廃止。
組閣にあたっては、財務大臣は、民間から、慶応大学経済学部教授の、金子勝氏、が選ばれ、環境大臣は、中部大学教授の、武田邦彦教授が、選ばれた。
武田邦彦氏が、環境大臣に選任されたことで、即、ペットボトルと、燃えるゴミの分別は、廃止になった。
これで、年間一兆円を越す、無駄な税金の政府支出がなくなった。
主婦の仕事は、GDPには、数字として、表れないが、ゴミの分別がなくなったことで、子育てに、当てる時間を、主婦がとれるようになった。
これで、待機児童問題は、完全に解決した。
また、CO2の排出量が増えたことで、日本の東の、西部太平洋地域の水域で、プランクトンが、増え、海産物の収穫量が、増えた。
漁師たちは、大喜びした。
また。
山尾しおり、は、美しすぎる元首、として、世界の注目を集めた。
山尾しおり、の、服、靴、ファッションは、瞬く間に、流行となり、あたかも、昔のイギリスの、ダイアナ妃のように、売れに売れた。
山尾しおり、の、サイン色紙、写真集、CM、のおかげで、商品は、飛ぶように売れ、日本は、GDP世界第一位、の国となり、日本経済は、奇跡の回復を成し遂げた。
山尾しおり、が、各国の元首と首脳会談をしても、各国の元首は、山尾しおり、の、あまりにもの美しさに目がくらんで、全て、日本に有利な外交を結んでしまった。
連立政権は、安倍政権の時に、自公の数の力で、次々と、強行採決されていった、安保法制、共謀罪(テロ等準備罪)、などの議員立法が、民進党、共産党、社民党、自由党の、連立政権によって、次々と、廃案に向けて動き出した。
自民党議員は、衆議院で、安倍晋三、一人しか、当選者がいなかったので、国会でも、議論にならなかった、のは、当然である。
国会が開催された。
「議長」
安倍晋三は、手を上げた。
怒りで、顔が、茹蛸のように、真っ赤になっていた。
「安倍晋三くん」
議長が、安倍晋三の名前を呼んだ。
安倍晋三は、立ち上がった。
「総理。このような、数の力で、強行採決する、ということが、許されても、いいのですか」
安倍晋三は、怒りを込めて言った。
「内閣総理大臣、山尾しおり君」
議長が、総理の名を呼んだ。
内閣総理大臣、山尾しおり、が、すっく、と、立ち上がった。
「安倍晋三委員。数の力で、強行採決する、のは、良いことだと、思って、それを、実行したのは、あなたでは、ないですか。あなたの、発言は、全く矛盾しているのでは、ないでしょうか?逆に、私は、それを、あなたに聞きたいです」
山尾しおり総理大臣は、毅然とした態度で、キッパリと言った。
「議長」
安倍晋三は、手を上げた。
「総理。あなたは、私の質問に答えていない。ちゃんと、答えて下さい」
安倍晋三は、鼻息を荒くして、着席した。
「内閣総理大臣、山尾しおり君」
議長が、総理の名を呼んだ。
内閣総理大臣、山尾しおり、が、すっく、と、立ち上がって、発言台に立った。
「安倍晋三委員。野党の質問になど、答える必要などない、というのが、あなたの、信念なのではないですか。私は、あなたの、強い信念を、立派だと思って、それを実行しているのです」
「議長」
安倍晋三は、手を上げた。
「総理。これは、誰が見たって、数の力にまかせた独裁政治だ。違いますか?」
「内閣総理大臣、山尾しおり君」
議長が、総理の名を呼んだ。
内閣総理大臣、山尾しおり、が、すっく、と、立ち上がって、発言台に立った。
「安倍晋三委員。数の力にまかせた独裁政治が、いいことだと思って、それを実行したのは、あなたではないですか?私は、あなたの、強い信念を、立派だと思って、それを実行しているだけです」
そう毅然と言って、山尾しおり、総理は、着席した。
「議長」
安倍晋三は、挙手した。
「総理。あなたは、私の質問に答えていない。答えて下さい」
安倍晋三は、鼻息を荒くして、着席した。
「内閣総理大臣、山尾しおり君」
議長が、総理の名を呼んだ。
内閣総理大臣、山尾しおり、が、すっく、と、立ち上がって、発言台に立った。
「安倍晋三委員。野党の質問になど、答えなくてもいいと、思って、答えなかったのは、あなたではないですか?私は、安倍晋三委員の政治手法を、立派だと思って、実行しているのです」
そう毅然と言って、山尾しおり、総理は、着席した。
「議長」
安倍晋三は、挙手した。
しかし。時間切れになった。
「これにて、安倍晋三くんの質疑を終了します」
と、議長は非情に言った。
「では、次に、共産党の、穀田恵二くん、の質疑にうつります」
穀田恵二が、安倍晋三に代わって、質疑席に着こうとした。
しかし、安倍晋三は、駄々っ子のように、
「議長。議長」
と叫んで、席をどこうとしない。
「安倍晋三くん。君の質疑時間は、終わっています。すみやかに、退席して下さい」
と、言った。
穀田恵二は、
「さあ。さっさと、どきなよ。あんたの質疑時間は終わったんだよ」
と、言って、安倍晋三を、強引に押しのけて、質疑席に着いた。
そして、穀田恵二の質疑が始まった。
安倍晋三は、自席にもどると、子供のように、
「わーん。わーん。口惜しいよー」
と、言って、涙をボロボロ流しながら、机を叩いた。
「お前がやってきたことじゃねーか」
「自業自得だろうが」
「数の力で支配したヤツは、数の力で泣くことになるんだよ」
民進、共産、社民、自由、の、連立の議員の、野次、というか、自席発言が、きびしく飛んだ。
「では次に、穀田恵二くんの質疑にうつります。穀田恵二くん」
「議長」
穀田恵二は挙手した。
「総理。民進党は、選挙公約として、安倍政権で、強行採決された、法律は、廃案にすると、言いましたよね。だから、我々、共産党は、民進党と、連立を組むことを決断したのです。確かに、選挙後も、民進党は、安倍政権で、強行採決された、安保法案は、廃案にしようとしています。その点は評価します。しかし、特定秘密保護法は、やる気がないらしい。我々は、その点において、裏切られたような気がしています。その点について、総理の見解をうかがいたい」
「内閣総理大臣、山尾しおり君」
議長が、総理の名を呼んだ。
内閣総理大臣、山尾しおり、が、すっく、と、立ち上がって、発言台に立った。
「穀田さん。確かに、選挙公約では、強行採決された、法案は、廃案にすると、言いました。しかし、特定秘密保護法まで、廃案にすると、はっきり言ったでしょうか?」
「議長」
穀田恵二は挙手した。
「なるほど。民進党らしいですね。民進党は、日米同盟までは、捨て切れない。そして、特定秘密保護法も捨てられない。ということですか。所詮、民進党は、保守、自民党の、現実路線を、少し、ゆるめるだけ、という方針なのですね?我々、共産党は、日米同盟の破棄まで、主張して、民進党は、それにも、賛同する、と、言いましたが、それも、ウソだったのですね。その二点を総理にうかがいたい」
「内閣総理大臣、山尾しおり君」
議長が、総理の名を呼んだ。
内閣総理大臣、山尾しおり、が、すっく、と、立ち上がって、発言台に立った。
美しい黒髪を揺らしながら。
「穀田さん。確かに、選挙の前には、日米同盟の破棄まで、約束しました。それは、実行します。日米同盟の破棄まで、実行する、ために、特定秘密保護法が、必要なのです」
「議長」
穀田恵二は挙手した。
「穀田恵二くん」
議長が呼んだ。
「総理。日米同盟の破棄のために、どうして、特定秘密保護法が必要なのですか。説明して下さい」
「内閣総理大臣、山尾しおり君」
議長が、総理の名を呼んだ。
内閣総理大臣、山尾しおり、が、すっく、と、立ち上がって、発言台に立った。
美しいウェストラインを揺らしながら。
「日本は、核ミサイルをもっている。という情報を、日本、および、世界に、流すためです。アメリカの後ろ盾を失ったら、日本は、北朝鮮の、核ミサイルの、脅威に、対抗する術がありません。核ミサイルは、もっている、ということが、相手に、攻撃の意志をなくすのです。実際に、もっているか、どうか、敵国が、わからなければ、相手は、持っている可能性がある、と、思いますから、手が出しづらくなるのです。実際に、もっているか、どうかは、政府だけの、秘密にしなければ、なりません。そのために、特定秘密保護法だけは、日米同盟を破棄するためには、どうしても、必要なのです。選挙前の約束には、違反しますが、これだけは、苦渋の決断でした。もうしわけありません」
それは、その通りで、核ミサイルというのは、持っているだけで、相手に、攻撃する気をなくすものである。核ミサイルをA国が持っていれば、A国に、B国が、核ミサイルを打ちこめば、A国は、B国に、核ミサイルを、報復として、打ち込むから、それが、こわくて、B国は、A国に、核ミサイルを打ち込むことが、出来ないのである。
しかし、B国が、A国に、核ミサイルを打ち込めないのは、A国が、核ミサイルを、もっている、と、認識しているから、であって、実際には、A国が、核ミサイルを持っていなくても、B国は、A国を、強敵と見なして、攻撃できないのである。
「議長」
穀田恵二は挙手した。
「穀田恵二くん」
議長が呼んだ。
「なるほど。そういうことだったのですか。わかりました」
もう、時間になった。
「これにて、本日の審議を終了します」
と、議長が言った。
その日が、国会の最終日だった。
・・・・・・・
その日の晩の夕食。
安倍晋三は、銀座の高級クラブで、酒を飲んだ。
「口惜しいよー。口惜しいよー」
と、安倍晋三は、涙をボロボロ流しながら、酒を飲んだ。
その時である。
クラブのドアが、バーンと開いた。
目つきの鋭い、紺のスーツを着た男と、警察官が、三人、立っていた。
彼らは、ツカツカと、カウンターに座っていた、安倍晋三に歩み寄った。
安倍晋三は、物々しい雰囲気に、怖気づいた。
「安倍晋三。お前を、共謀罪(テロ等準備罪)で、逮捕する」
目つきの鋭い男が、言った。
「ば、バカな。なぜ、私が、テロを企てる、などという、ことになるのだ?善良な一市民、いや、一国会議員が・・・」
目つきの鋭い男は、ニヤリと笑った。
「我々は、東京地検特捜部の者だ。ちゃんと、逮捕令状も持っている」
そう言って、男は、安倍晋三の前に、逮捕令状を見せつけた。
「ば、バカな。逮捕の理由は何だ?」
「共謀罪(テロ等準備罪)だ」
「ば、バカな。私が、何で、テロを、起こす理由があるのだ?」
目つきの鋭い男は、ニヤリと笑った。
「あなたは、ゴルフ会員権をもっている。資産は、一億を越している。親類や、他人名義の、実質上の、あなたの資産は、少なく見積もっても、10億を越しているだろう」
「資産があったから、といって、どうして、テロの可能性などが、あるのだ?」
検察官が言った。
「あなたは、民進党を憎んでいる。それに、あなたは、資金を潤沢にもっている。だから、民進党議員や、党本部に、テロをする可能性がある」
安倍晋三が言った。
「ば、バカな。確かに、私は民進党が嫌いだ。だからといって、即、テロをするなど、ありえないじゃないか。それに、私が誰と共謀してテロを、起こすというのだ?」
安倍晋三が言った。
「君は麻生太郎と親しいだろう。家も、すぐ近くだ。麻生太郎は、クレー射撃で、オリンピック級の腕前だ。猟銃も持っている。麻生太郎なら、遠くから、ライフルで、民進党議員を狙撃する腕前がある。だから、お前は、十分、テロ等準備罪、に該当するのだ」
検察官は、冷酷な笑いを浮かべた。
「そ、そんなのは、強引な、こじつけだ。国家権力がそんなことをしても、いいのか?」
安倍晋三が言った。
「クダクダ、言うな。日本は、法治国家だ。それに、テロ等準備罪は、お前が決めた法律だろ」
そう言って、検察官は、安倍晋三を立たせ、手錠をかけた。
ガッシャーン。
「これは、国家の陰謀だ」
安倍晋三は、狂ったように叫んだ。
「おい。連れて行け」
検察官は、二人の警察官に、目配せして言った。
「はい。わかりました」
そう言って、二人の警察官は、安倍晋三の、両腕を、ガッシリとつかんだ。
「さあ。とっとと、歩け」
こうして、安倍晋三は、拘置所に入れられた。
「そら。今日の食事だ」
そう言って、看守が、食事を入れた。
それは、ほんの僅かの、カレーライスだった。
安倍晋三は、このところ何も食べていなかったので、腹ペコだったので、急いで、カレーライスを、貪るように一気に、全部、口に入れた。
「うぎゃー」
安倍晋三は、悲鳴を上げて、口に入れたカレーライスを吐き出した。
無理もない。
そのカレーライスは、特上に辛い、タバスコと、辛子を、水に溶かして、僅かな、ご飯に、ふりかけただけのものだったからだ。
安倍晋三の口は、激しい炎症を起こした。
「み、水をくれー」
安倍晋三は、大声で叫んだ。
だが誰も来てくれない。
「お願いだー。水をくれー」
安倍晋三は、叫んだ。
しばしして、看守がやって来た。
「うるせーなー。そう怒鳴るな。ほら。水を持ってきてやったぞ」
そう言って、看守は、水の入った、ガラスのコップを安倍晋三に渡した。
安倍晋三は、一気に、コップの水を、飲み込んだ。
「うぎゃー」
安倍晋三は、悲鳴を上げて、水を吐き出し、床の上をゴロゴロ転げまわった。
看守は、冷ややかな目で、安倍晋三を見た。
「ふふふ。どうだ。美味いだろう。それは、たっぷり、辛子を溶かした水だ」
そう言うや、看守は、去って行った。
「み、水をくれー」
安倍晋三は、叫んだ。
が、看守は、冷ややかな目つきで、とりあおうとしなかった。
その後は、安倍晋三が、いくら叫んでも、拘置所は、シーンと、静まり返っていて、誰も来てくれなかった。
その夜、安倍晋三は、口の中が、辛くて、痛くて、とても眠れたものではなく、一睡も出来なかった。
翌日になった。
看守が、朝食を配りに、回って来た。
「そら。朝食だ」
そう言って、看守は、丼を、安倍晋三の前に置いた。
「うぎゃー」
安倍晋三は、その丼の中を見て、悲鳴を上げた。
なぜなら、丼の中は、ご飯の中に、生きた、無数の、ゴキブリが、ウヨウヨと、蠢いていたからである。
「こ、これが、人間の食事か?」
安倍晋三は、大きな声で抗議した。
「ふふふ。アフリカのマサイ族では、これは、ゴキブリ丼といって、最高の御馳走なのだ。元首相である、ことに、敬意を表して、最高の御馳走を用意したのだが、食べたくないのなら、食べなくても構わないぞ」
と、看守は、冷ややかに言った。
安倍晋三は、腹は空いていたが、さすがに、ゴキブリ丼を食うことは、出来なかった。
「安倍晋三。さあ。取り調べだ。出ろ」
看守に言われて、安倍晋三は、取調室に入った。
「さあ。座れ」
看守に言われて、安倍晋三は、取調室の椅子に座った。
取調室は、よく、ドラマで見るのと、同じようで、白亜の狭い、部屋の中に、机一つと、それに向き合うように置かれた椅子が二つ、あるだけだった。
安倍晋三は、(どんな、こわい取調官がやってくるのだろう?)という不安に脅えていた。
やがて、取調官が入ってきた。
安倍晋三は、俯いていた顔を、恐る恐る、上げた。
ビックリした。
何と、山尾しおり、だった。
「山尾しおり総理。何であなたが、取調べ、をするのですか?国会法39条より、国会議員は、任期中は国又は地方公共団体の公務員との兼務はできない、はずだ」
安倍晋三は、言った。
「ふふふ。私は、山尾しおり、じゃないわ。山尾しおり、の、一卵性双生児で、菅野さおり、という者よ。一応、彼女が姉で、私が、妹ということになっているわ」
と、山尾しおり、そっくりの、女が言った。
一卵性双生児だから、そっくりなのは無理はない。
「私も、姉と同様、司法試験に通った検察官なのよ。さあ。取り調べを始めるわ」
と、菅野さおり、は、言った。
そう言われても、安部晋三は、菅野さおり、と、名乗る検察官が、山尾しおり、に見えて仕方がない。
いきなり、菅野さおり、は、安倍晋三の顔を、ビシーンと、ひっぱたいた。
「な、何をするんだ」
安倍晋三は、びっくりして、言った。
「ふふふ。ゴメンなさい。これから、仲良くやりましょうという、スキンシップのつもり、だったの。私、ちょっと、力が、強いから、力が入り過ぎちゃったわ」
と、菅野さおり、は、笑って言った。
「ふふふ。鈴木宗男は、437日、取り調べに耐えたけれど、あなたは、何日、耐えられるかしら?」
菅野さおり、は、思わせ振りな口調で、言った。
安倍晋三は、ぎょっとした。
拘置所の取り調べ、なんてのは、特に気の小さい人間でなくても、狭い部屋に入れられて、一人っきりにされるため、一日で、もう、精神がおかしくなり、幻覚が見えてくるものなのである。
これから、一体、何日で釈放されるのか。
それを思うと、気の小さい、安倍晋三は、早くも、気がおかしくなり出していた。
それに、腹もペコペコだった。
全く、食事をしていないので、血糖値が極度に低下し、脳にブドウ糖が、行かず、意識が混濁し始めていた。
菅野さおり、は、不二家のケーキの箱を机の前に置いた。
「さあ。安倍さん。お腹が空いているでしょう。腹が空いては、戦も、取り調べも、出来ないわ。まず、どうぞ、ケーキを食べて下さい」
そう言って、菅野さおり、は、ケーキの箱を開けた。
中には、大きなシュークリームが入っていた。
安倍晋三は、昨夜から、何も食べていないので、腹が減って、死にそうだった。
なので、安倍晋三は、大きなシュークリームを、急いで、手にとると、口を大きく開けて、シュークリームを、口の中に放り込んで、ムシャムシャ噛んだ。
「うっ」
安倍晋三は、とっさに、違和感を感じた。
甘いはずのシュークリームが、全然、甘くなく、とてつもない気味の悪い、感触が、口の中に起こったからだ。
「ほげー」
安倍晋三は、口に含んだシュークリームを、とっさに、吐き出した。
安倍晋三が吐き出した物は、何と、無数の、ゴキブリだった。
それを見て、安倍晋三は、気が狂いそうになった。
「ふふふ。安倍さん。これは、無数の、生きたゴキブリを、シュークリームの皮の中に入れた、デザートなの。アフリカのマサイ族では、これは、最高のデザートなのよ」
菅野さおり、は、薄ら笑いを浮かべて言った。
シュークリームを、出された時は、さすがに、安倍晋三も、厳しい取り調べをする検察官も、人間の情があるんだな、と、涙ぐんだか、もう、安倍晋三は、何も信じることが出来なくなった。
しかし、腹はペコペコである。
菅野さおり、は、看守を呼んだ。
すぐに、看守がやって来た。
「安倍さんは、マサイ族の、御馳走や、デザートは口に合わないみたいだわ。では。安倍さんのために、日本の、親子丼を持ってらっしゃい」
と、菅野さおり、は、言った。
「わかりました」
そう言って、看守は、すぐに、盆に乗せた、親子丼を持ってきた。
親子丼は、ホカホカ、温かそうな、湯気をたてている。
「さあ。安倍さん。お召し上がり下さい」
菅野さおり、が、優しそうに言った。
安倍晋三の口からは、唾液が、ドクドクと溢れ出てきた。
しかし、何度も、騙されて、これも、きっと、ゴキブリが入っているのだろうと、思って、安倍晋三は、手を出す気には、なれなかった。
「ふふふ。安倍さん。何をこわがっているの?これは、普通の、親子丼よ」
菅野さおり、が、優しそうに言った。
しかし、安倍晋三は、それを信じることは、出来なかった。
なので、食べたいが、手を出さず、じっと、我慢した。
「何か、安倍さんは、疑り深くなっているようね。じゃあ、まず私が、毒味するわ」
そう言って、菅野さおり、は、割り箸を、パキンと割って、親子丼を食べ始めた。
「ああ。美味しいわ」
と、言いながら。
これを見た、安倍晋三は、これは、間違いなく、ゴキブリなどの入っていない、親子丼だと確信した。
なにせ、菅野さおり、が、目の前で、食べているのだから。
「や、菅野さおりさん。その親子丼は、私に下さい」
安倍晋三は、大声で言った。
「ええ。いいわよ」
菅野さおり、は、ニッコリと、笑顔で、安倍晋三を見た。
菅野さおり、は、箸を置いて、食べていた、親子丼を、机の上に置いた。
安倍晋三は、親子丼に手を伸ばそうとした。
菅野さおり、は、安倍晋三の方に、親子丼を、手で押した。
安倍晋三の手が、親子丼に、伸びて、触れそうになった、その時、である。
菅野さおり、は、親子丼を、ドンと、勢いよく押した。
「ああー」
安倍晋三は、真っ青になって、悲鳴を上げた。
菅野さおり、が、押した、親子丼は、机の縁を超えて、床に落ちてしまったからだ。
親子丼は、床の上に、散らばってしまった。
「あっ。ごめんなさい。ちょっと、手が滑っちゃったわ」
菅野さおり、は、笑いながら言った。
「もう。これじゃ、食べられないわね。片付けましょうね」
そう言って、菅野さおり、は、看守を呼んだ。
「看守さーん。ちょっと来てー」
すぐに看守がやって来た。
「親子丼が床に落ちちゃったの。掃除して、かたずけて」
菅野さおり、が言った。
「はい。わかりました。では、モップと、雑巾を持ってきます」
そう言って、看守が去ろうとした時である。
「ま、待ってくれ」
安倍晋三が制した。
「どうしたの?」
菅野さおり、が、聞いた。
「そ、掃除はいい。私は、親子丼を、食べる」
安倍晋三が言った。
「ふーん。あなたも、変わった人ね。床にこぼれた、親子丼を、食べたいなんて。でも、食べたいのなら、別に食べてもいいわよ」
菅野さおり、が、言った。
安倍晋三は、腹がペコペコだったので、床に四つん這いになり、犬のように、床に、散乱した、親子丼を、犬のように、舌を出して、食べ出した。
「ふふふ」
菅野さおり、は、その光景を、見て、笑った。
「ふふふ。まるで飢えた犬ね」
菅野さおり、は、椅子から立ち上がって、安倍晋三の頭を踏みつけた。
「さあ。食べると言ったのだから、全部、きれいに食べなさい」
菅野さおり、は、高圧的な口調で、安倍晋三に言った。
安倍晋三は、言われたように、床に、散乱した、親子丼を、全部、犬のように、舌で、きれいに食べた。
「さあ。腹が満たされたでしょう。じゃあ、取り調べを始めるわ。椅子に座りなさい」
菅野さおり、に、言われて、安倍晋三は、立ち上がって、椅子に座った。
「さあ。手間をとらせずに、言いなさい。あなたは、民進党本部にテロを企てたのでしょう」
菅野さおり、は、厳しい口調で言った。
しかし、安倍晋三は、黙っている。
「黙秘ですか。それなら、こちらも考えがあります」
そう言って、菅野さおり、は、パチンと手を打って、「おーい」と、叫んだ。
覆面をした身長2mくらい、体重は、150kgは、越えていると思われる、ボディービルダーか、プロレスラーのような、筋肉隆々の男が、やってきた。
安倍晋三は、ぎょっとした。
「さあ。お始め」
菅野さおり、が言った。
筋肉隆々の男は、安倍晋三の手をグイとつかむと、ヘッドロックしたり、バックドロップしたり、キャメルクラッチしたり、延髄蹴りしたりと、さんざん、安倍晋三を痛めつけた。
「こ、こんな、拷問が、民主主義国家で、許されるのかー?私は裁判で訴える」
と、安倍晋三は、叫んだ。
しかし、菅野さおり、は、どこ吹く風と、素知らぬ顔つきで、ある。
「ふふふ。何と言うのです?覆面レスラーに、痛めつけられた、とでも言うのですか?そんなこと言っても、はたして、裁判官が信じてくれるでしょうかね?」
と、ふてぶてしく言った。
「それに、私たち姉妹は、裁判官とも、親しいですからね」
と、菅野さおり、は、思わせ振りに、つけ加えた。
日本の司法などというものは、検察と裁判官は、ほとんど、グルになっているのである。
「取り調べの、録音、録画を要求するー」
安倍晋三は、叫んだ。
「取り調べ、の、可視化は、法律で定められていません。あなたが、首相の時に、安保法制だの、共謀罪だの、だのの、バカげた法律を作るよりも、取り調べ、の、可視化を義務づける、法律を作るべきでしたね」
と、菅野さおり、は、言った。
覆面の男は、安倍晋三の金玉を鷲づかみにした。
「た、助けてくれー」
安倍晋三は、叫んだ。
「では。お言いなさい。あなたが、民進党にテロを企てようとしたことを」
菅野さおり、は、言った。
覆面の男は、安倍晋三の金玉をギュッとひねった。
「い、痛い―。い、言うー」
安倍晋三は、苦しさに負けた。
「では、その、あなたの声を録音しておきましょう」
そう言って、菅野さおり、は、安倍晋三の前に、マイクを差し出した。
「あなたは、民進党にテロを企てましたね?」
菅野さおり、が、マイクに向かって言った。
そして、そのマイクを、安倍晋三の方に向けた。
「わ、私は、民進党にテロを企てました」
安倍晋三は、言った。
「では、安倍ゆきえ夫人の、籠池氏への、100万円の寄付は、あなたが、妻に命じたのですね?」
「は、はい。そうです」
「では、森友学園の、国有地の、払い下げ、8億円の値引き、は、あなたが、近畿財務局に命じたのですね?」
「は、はい。そうです」
「あなたは、財務省に、籠池氏との、やりとりの資料を出さないように、命じたのですね?」
「は、はい。そうです」
安倍晋三は、涙を流しながら、言った。
菅野さおり、は、覆面の男に、
「もう。用が済んだから、放してあげなさい」
と、言った。
言われて、覆面の男は、安倍晋三の金玉から手を離した。
「では。今のやりとりを、調書に書いておきます」
菅野さおり、は、言った。
こうして、取り調べは、一日で済んだ。
・・・・・・・・
数日して、青天の霹靂が、起こった。
アメリカのトランプ大統領と、中国の首脳会談によって、トランプ大統領の、強行外向によって、中国は、北朝鮮への、石油の輸出を完全に、裁ったのである。
怒った、北朝鮮は、報復として、中国に、核ミサイルを打ち込んだのである。
これが、北京の大都市に、命中した。
北京は、死者100万人を超えた。
北京市は、地獄と化した。
当然、中国は、北朝鮮に、報復として、核ミサイルを打ち込んだ。
こうして、中国と北朝鮮の全面戦争が起って、両国は、共倒れした。
これで、日本には、核の脅威となる仮想敵国がなくなった。
なので、日米安保条約は不要のものとなった。
外務大臣の、志位和也は、さっそく、アメリカに渡り、日米安保条約の破棄をアメリカに訴えた。
その代りに、日米不戦条約という、日本とアメリカは、決して、戦争をしない、という条約を結んだ。
本土および沖縄の、米軍基地は、全て、撤退された。
騒音と、オスプレイの墜落の危機に悩まされていた、沖縄県民は、大喜びした。
・・・・・・・・・
そうしているうちに、安倍晋三の裁判が始まった。
第一審の、裁判官は、安倍晋三と、同い年くらいの女だった。
安部晋三は、裁判官を初めて見るが、裁判官は、安部晋三を知っているかのように、噛みつくように、安部晋三をにらみつけている。
裁判官の、「久美子」、という名前を、安倍晋三は、いつか、どこかで、聞いたことがあるような、気がした。
確かに、聞いた記憶はある。
安倍晋三は、何とか、記憶の中から、彼女の名前を、いつ、どこで、聞いた、名前なのか、を必死で思い出そうとしてみた。
しかし、思い出すことは出来なかった。
・・・・・・・・
第一審では、安倍晋三は、民進党にテロをする可能性が十分あり、森友学園の、国有地の、払い下げ、8億円の値引き、および、近畿財務局への口利き、財務省への圧力、などの、検察の主張が、全面的に認められ、懲役20年、執行猶予なし、の実刑判決。テロの資金源となる、可能性があるため、全ての財産の没収が、裁判官によって、厳しく言い渡された。
安倍晋三は、すぐに、この判決を不服として、控訴し、全面、無罪を訴えた。
しかし、第二審でも、判決は、変わらなかった。
安倍晋三は、第二審の判決を不服として、上告したが、「上告理由にあたらない」として棄却された。
これで、安倍晋三の裁判は、結審した。
安倍晋三は、網走刑務所に収監された。
刑務所は、朝630起床、7時30分から、夕方の6時30まで、労働。21時、就寝だった。
安倍晋三は、農作業をやらされた。
毎日、荒地を耕した。
新聞では、野党連合によって、第二次安倍政権の時に、決めた、安保法制、共謀罪、などが、次々と、廃案になっていった。
ある日の、農作業の、休憩時間。
「安倍さん。あんたも、大変だったな」
と、受刑者の一人に声を掛けられた。
安倍晋三は、黙っていた。
ふと、安倍晋三は、空を見上げた。
秋晴れの、いい天気だった。
その時、安倍晋三の脳裡に、楽しかった、小学校時代が思い出された。
小学校6年の時に、母親に言われた、言葉が思い出された。
「晋三や。多数決や、強行採決は、決して、いいこと何かじゃありませんよ」
・・・・・・・・
安倍晋三は、1954年 (昭和29年)に、東京で生まれた。
その三年前、1951年(昭和26年)、吉田茂内閣で、日米安保条約が結ばれた。
ソ連の全世界を赤化する政策に対抗するアメリカにとって、極東軍事基地として、日本は、もってこいだった。
1960年 (昭和35年)、第二次、岸信介内閣の時、さらに、アメリカの要請で、日米新安保条約が、自民党によって、強行採決された。
この時は、国会外で、新安保条約に対する、壮絶な反対運動が、行われ、警察と、一般市民の、ぶつかり合いが、テレビで、連日のように、放送された。
しかし、岸信介は、新安保条約を強行採決した。
翌年、1961年 (昭和36年)、安倍晋三は、吉祥寺にある、成蹊小学校に入学した。
安倍晋三の母親は、岸信介の娘、洋子である。
この時、安倍晋三の父親、安倍晋太郎は、岸内閣の時、外務大臣秘書官となって岸に仕えていて、将来は、自民党から、出馬する決意を持っていた。
そのため、政界との、つながりを持つため、岸信介に、
「どうか。娘さんの洋子さんを下さい」
と、安倍晋太郎は、熱心に、頼んだ。
岸信介は、
「この男は、政治家として、大成する」
と、確信して、娘、洋子と安倍晋太郎との結婚を認めたのである。
1951年(昭和26年)のことである。
岸信介の予想は当たり、安倍晋太郎は、1958年(昭和33年)、第28回衆議院議員総選挙に、郷里の山口1区から自民党公認で出馬し、2位で初当選した。
安倍晋三は、子供の頃から、父親がテレビに出ているのを、不思議に思った。
「ねえ。お母さん。どうして、お父さんは、テレビに出ているの?」
と、母親に聞いた。
母親は、
「お父さんは、政治家という職業なのよ」
と、説明した。
「政治家だと、どうしてテレビに出れるの?」
と、安倍晋三が、聞くと、母親は、
「そうねえ。政治家は偉い人だから・・・かしら」
と、一面、正しくもあり、正しくもないような、答えをした。
「ふーん。政治家って、偉い人なんだね」
と、安倍晋三は、母親に言った。
「そうよ。私のお父さんも、政治家で、総理大臣だったのよ」
と、母親の洋子は言った。
安倍晋三も、小学校の低学年の頃は、普通の子供と同じように、プロ野球選手や、格好いい刑事になることが将来の夢だった。
しかし、小学校も、六年になると、安倍晋三も、政治家や総理大臣のことが、わかってきた。
クラスでも、「安倍晋三くんの、お父さん、や、おじいさん、は、政治家なんだ。すごいねー」と、言われるようになった。
安倍晋三は、世襲を自慢することに、何の違和感を感じなかった。
なので、小学校の6年の時には、クラス委員長に選ばれた。
クラスには、吉田久美子、という、頭のいい、全科オール5の、ものすごく、可愛い女生徒がいた。
クラス委員長は、彼女がふさわしい、という意見を言う女子生徒もいたが、男は、みんな、安倍晋三君こそが、クラス委員長にふさわしい、と言って、結局、多数決で、安倍晋三が、クラス委員長になった。
その当時、成蹊小学校では、一つの問題があった。
それは、男子生徒が女子生徒のスカートめくり、を、するので、女子生徒が困っている、という問題だった。
「安倍晋三君。今度の、クラス会議では、男子のスカートめくり、を、やめるように、しっかり注意して」
と、クラスで一番の成績で、ものすごく、かわいい女子生徒、吉田久美子、が、クラス委員長の安倍晋三に言った。
クラス会議が行われた。
クラス委員長の、安倍晋三は、この時、何と言うべきなのか、どうするのが、一番いいのか、よくわからなかった。
(女子には、わるいけど、スカートめくりは、楽しいし・・・)
その時、テレビのドキュメンタリー番組で見た、祖父の岸信介の、新安保の強行採決の様子が、明瞭に、頭に浮かんだ。
(そうだ。民主主義だ。多数決こそ、一番、正しいものだ)
そんな思考が安倍晋三の心に憑りついた。
「では、スカートめくりに、ついて、民主的に決めたいと思います」
安倍晋三は、言った。
安倍晋三のクラスは、男子21人、女子20人だった。
「スカートめくり、をやめるべきだと思う人は、手を上げて下さい」
安倍晋三が言った。
女子生徒20人、全員が手を上げた。
「では。スカートめくり、をやめる必要はないと思う人は、手を上げて下さい」
男子生徒21人、全員が手を上げた。
「では、多数決によって、スカートめくり、は、してもいいこととします」
安倍晋三が言った。
女子生徒は、全員、「ええー。そんなー」、と言った。
男子生徒は、全員、「ヤッター」、と、叫んだ。
「安倍晋三君。よくやってくれたね」
と、男子生徒達が、安倍晋三を讃えた。
安倍晋三は、クラスの男子生徒達と、女子生徒のスカートめくり、をした。
数人で、一人の女生徒の後ろから、忍び寄って行き、サッと、スカートを、めくるのである。
スカートをめくられた女の子は、「ひどいわ。ひどいわ」、と言って、座り込んで泣き伏してしまった。
久美子の、スカートも、安倍晋三は、めくった。
「やった。みーちゃった」
と、安倍晋三が言うと、
「く、口惜しいー」
と、久美子、は、泣いた。
「へへへ。スカートめくりは、良い事なんだよ。だって、これは、民主的に、多数決で決めたことなんだから」
と、安倍晋三は、笑って言った。
さらに、男子生徒たちは、スカートめくり、だけでも、物足りなくなってきて、厭きてきて、もっと、エッチなことをするようになった。
それは、「解剖ゴッコ」、という遊び、で、一人の女生徒に目をつけて、女生徒を、「解剖!!」、と、叫んで、男子生徒達が、わっと、女の子を、捕まえ、机の上に乗せて、着ている物を全部、脱がせてしまうのである。
男子生徒に目をつけられた女の子は、「やめてー」、と、叫んで、必死に抵抗した。
しかし、複数の男子生徒達の力には、かなわず、服を全部、脱がされてしまった。
「うわー。すげー」
男子生徒たちは、食い入るように、女の子の裸、特に、まんこ、の、閉じた割れ目を、見つめた。
「やめてー。お願いー。見ないで―」
生贄にされた、女の子が、泣き出し、そして、男達が、十分、女の、まんこ、を、眺めると、男達は、取り押さえていた女の手足を、のけた。
女生徒は、クスン、クスンと、泣きながら、服を着た。
当然、このことも、クラス会議で話し合われた。
しかし、スカートめくり、の時と同じように、クラス委員長の安倍晋三は、多数決で、これを、認めるか、認めないか、を、決めた。
結果は、スカートめくり、の時と、同じように、男子生徒21人、賛成、女子生徒20人、反対、で、多数決で、「解剖ゴッコ」、の、遊びも、認められることとなった。
「さて。誰から、解剖しようかな」
男子生徒たちは、獲物を狙う野獣のように、女子を見た。
女子達は、皆、急いで、逃げ出した。
「よし。一番、きれいな、久美子、を、最初に解剖しよう」
男子生徒の一人が言った。
久美子も、逃げ出したが、四人の男達が、しおり、を捕まえた。
そして、久美子、を、机の上に乗せた。
「いやー。やめてー」
激しく叫ぶ、久美子、の、服を、男達は、脱がせた。
上着を抜きとり、スカートを、取り去った。
久美子、は、パンツだけにされた。
四人は、それぞれ、久美子の、久美子の、手足を、一本ずつ、つかんだ。
久美子、は、何とか、パンツだけは、脱がされないようにと、必死で、パンツを握りしめている。
「さあ。久美子、の、手を、どけな」
安倍晋三は、男達に命令した。
久美子の、手をつかんでいる二人の男が、久美子、の、手を、強引に引っ張った。
「ああー」
久美子、は、パンツを、おさえることが出来なくなった。
その隙に、安倍晋三は、久美子、の、パンツを、スルリと抜き取った。
久美子、は、全裸にされた。
全裸を、男達に見られている、屈辱に、久美子は、クスン、クスンと、泣いていた。
しかし、男達は、久美子、の、股間を、しげしげと、見つめた。
「すげー。久美子、の、まんこ、を、見れるなんて」
男達は、目を皿のようにして、久美子、の、まんこ、の、割れ目を、食い入るように見た。
「いやー。見ないで―。晋三くん。こんなこと、やめてー」
久美子、は、首を振って、泣き叫んだ。
「どうして、いけないんだ。民主主義で決められたことは、いいことなんだぞ」
安倍晋三は、言った。
10分くらい、経った。
久美子、は、抵抗に疲れて、グッタリしていた。
「よし。じゃあ、久美子、の、解剖は、これくらいでいいだろう」
安倍晋三が言った。
男達は、久美子、の手を離した。
久美子、は、ゆっくり、起き上がって、床に落ちている、パンツを履き、服を着た。
久美子、は、クスン、クスン、と、泣いていた。
しばしして、久美子、は、顔を上げ、安倍晋三を見た。そして、こう言った。
「私のお母さん。裁判官っていう仕事をしていて、悪い人を懲らしめるのが仕事なの。私も、うんと勉強して、偉くなって、裁判官になって、必ず、安倍晋三君を懲らしめてやるから、覚えてらっしゃい」
と、久美子、は、キッと、安倍晋三をにらんだ。
「どうして、悪いことなんだ?これは、民主主義で決まったことなんだぞ。民主主義は、いいことなんだぞ」
と、安倍晋三は、言い返した。
数日後の夕食の時。
「晋三。学校で、スカートめくり、や、女の子を裸にすることを、認めたのね」
「うん」
安倍晋三は、屈託のない笑顔で答えた。
「どうして、そんなことを、したの?」
母親が聞いた。
「だって、民主的に、多数決で決めたんだよ。どうして、民主主義が悪いの?」
安倍晋三は、母親に聞き返した。
母親は、さびしそうに、ため息まじりに、息子に、言った。
「晋三や。多数決や、強行採決は、決して、いいこと何かじゃありませんよ」
母親は、さびしそうに、独り言のように、ボソッと言った。
労働の、一時休みに、空を見ていた、安倍晋三の頭には、その時の母の言葉が、なぜか、鮮明に思い出されていた。
「おい。どうしたんだ。安倍さん。さっきから、ポカンと空を見てばかりていて?」
囚人に、ポンと肩を叩かれて、安倍晋三は、我に返った。
その時、日が翳って来て、青天だった空は、たちまち光を失ったので、この声は、搔き消えた光と一緒に彼の脳裡から飛び去った。


平成29年5月20日(土)擱筆

小説・共謀罪(テロ等準備罪)

小説・共謀罪(テロ等準備罪)

  • 小説
  • 短編
  • アクション
  • サスペンス
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2021-08-31

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著作権法内での利用のみを許可します。

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