あの日々
1.あの夏
暑いのは、太陽か、君か。
そんなキャッチコピーの広告が街を埋め尽くした今年は冷夏
君はどっちだと思う?
そう聞いても君は微笑むだけ
下がった目尻に広がるそのアイシャドウはそこのブランド
目尻のラメが空に滲んだら辺りは真っ暗
君だけが僕の月明かり
夢みたいだね、こうして隣で歩けるなんて
鳳仙花みたいに弾けてしまいそうだ
ねえ、こんど海に行こうよ
そう言ったら君はどんな顔をするのかな
また君は微笑むだけだろうか
誘い文句は風に飛ばされていった
君の麦わら帽子も
ねえ、こんど海に行かない?
僕はどんな顔をしていたのかな
あの日々