ハイリ ハイリホ(4)

二―二 僕 

 眠っているとき、パパはいつも何を考えているのだろう。どんな夢を見ているのだろう。僕の夢は簡単だ、大抵は、寝る前に見たテレビの番組の影響を受けている。例えば、お笑い系の番組だとしよう。
 僕の頭の中に、僕専属のお笑い芸人が出演し、僕を笑わせてくれる。たまには、僕がお笑い芸人となり、どこか知らないけれど、お客さんが超満員の舞台に立ち、ピン芸を披露している。
 でも、僕はどちらかと言えば、漫才やコントなどの二人芸の方が好きだ。僕が突っ込んで、相手がボケる。相手が突っ込んで、僕がボケる。ボケと突っ込みのシーソーゲーム。その方が、話の展開が広がる。その後、二人だけの話から、特定のお客さんを一人、また一人と誘い込み、最後には観ているお客様全員を僕たちの笑い渦に巻き込ませてしまうのだ。
 観客は、あーれーと叫び、時計回りで回転しながら、僕たちの笑いの台風の目の中に喜んで飛び込んできてくれるだろう。やったね、相棒、今日は、大成功だ。手を取り合い、はしゃぎ飛ぶ二人。そして、隣の相方の顔を見ると、それはパパなわけだ。パパ、今度は、僕が突っ込むよ。
「パパ、パパ、本当に大変なんだから、早く起きてよ」

ハイリ ハイリホ(4)

ハイリ ハイリホ(4)

パパと僕の言葉を交わさない会話の物語。二―二 僕

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-12-03

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