Aの3
ロブマイヤーGT8が自宅にやって来て2日後にトーエイ・ゲームスからメール通知が来た。
GT8の箱はまだ開封していない。テストプレイヤーの抽選結果が出るまではGT8には触らないと決めていた。
『吉田様へ。テストプレイヤー抽選結果のお知らせ』
俺はメールのお知らせを読んでみた。
( 良かった…… )
結果は当選だった。
そのメールによると、俺は50人のテストプレイヤーの一人に選ばれたらしい。
メールには『大海賊時代オンラインVR』をプレイするためのログインコードが記載されていた。そしてゲームのダウンロード方法と、パソコンとGT8を連動させる方法も詳しく記載されていた。
今日は大学の講義もないしバイトも午後出勤なので、今のうちにゲームをプレイしてみるつもりだった。
( さて……。ダウンロードにどれくらい時間がかかるかな )
メールの説明によると、ダウンロードは5回に分割して行う事が可能で、1回目のダウンロードが終わればすぐにプレイできるらしい。
俺はまずパソコンの設定を先に進めて、その準備が完了したあと今度は箱を開封してGT8を取り出した。
「小さいな……」
通販の画像で見た印象よりもさらに小さかった。そのボックス型の四角い機材を持ち上げてじっと観察してみる。作りはかなり頑丈らしく小さい割には重かった。
デザインはかなりシンプルで、表面には電源ボタンが1つ付いているだけだった。
電源ボタンを長押ししてみると、黒いボックス全体が赤く光った。
( 起動できたのかな…… )
パソコン画面を見てみると、すでにゲームのダウンロードは終わっていた。
俺はいよいよ最終段階に進んだ。
パソコンにダウンロードされた『大海賊時代オンラインVR・ベータ版』を起動してログイン画面を表示した。その画面にログインコードとVRコードを入力し、最後に自分で用意したパスワードも入力した。それが終わるとログイン画面は消えた。
後はアイマスクを装着してベッドに入るだけだった。
( やるか…… )
俺はGT8をベッドの枕元に置き、同封されていたアイマスクを装着した。そしてベッドの上で横になった。
しばらくして急激な眠気に襲われ、俺は眠りについた。
【作者紹介】金城盛一郎、1995年生まれ、那覇市出身
Aの3