短々落語「ギター易者」
400文字以内のショートショート落語臭
「ギター易者」
ご隠居、ギター易者、知ってるかい?
何だい、八つぁん、ギター易者って?、ギター侍の間違いじゃないのかい?
ほら、駅の地下道あるだろ、そこに夜な夜な、ギター片手に現れ出した占い師だよ。で、その風貌は、和服に黒いサングラス、一見して風変わりな易者だね。
ところで、ご隠居、逆に、ギター侍ってなんだい?
いや何でもないよ、でどんな感じなんだい、その易者は?
相談するだろ、そしたら、それをテーマに、ギターで弾き語るのさ。
で、当たるのかい?
それが、随分と音程が外れるらしいよ。で、占いどころじゃないんだって。それでも何とか占いを聞いていると、最後に決まってこう歌うんだって、「当たるも八卦当たらぬも八卦って、言うじゃなぁーい、アンタそれ、占いですから、残念」ってね。
酷い話だね、で、いかほどだい?
一曲、5000円らしいよ。
随分と高いね、で、そいつのギターはエレキかい?
いや、アコースティックギター。
やっぱり、アコギな商売だ。
短々落語「ギター易者」
お後がよろしいようで。