小さき仔らよ
電話ボックスの緑色のなかで膝を丸めて
祈るように眠っている白いいきもの
ほんとうにやさしいことってなに
ほんとうに やさしいひと
やさしいことばをもってないから沈黙してしまう
あなたに繋がる電話線をさがしています
扉に伸ばす手が煤けてくずれ落ちていくから
きょうも灰が降る
いつも砂嵐の画面をみている人影
ねえいつかビニル傘をもって、迎えに行きます
(ゆびきりげんまんうそついたらはりせんぼんのますゆびきった)
反射する蛍光灯の緑 おしまいの宇宙をやさしく照らしている 永遠なんてことばで、ポケットのなかのカッターナイフが錆び付く どうかおゆるしを
いつか鐘が鳴りさよならを言うの
(永遠が嘘なら さよならだって永遠じゃないよ)
あなたが眼を覚ますとき、灰が降りやむように
夕やけのなか手を引かれて 温もりにゆめの続きを溶かして 帰ったらよく手を洗って、それから八時間、きっかり眠って。
小さき仔らよ