胎児のみるゆめ

 かつて誰もが夢にいだいた始まりの温もりを覚えているか。あの丘で手を繋いだ時のように、誓いのキスを交わした時のように、人生に渡って果てしなく続く一筋の光があらんことを。それを夢見て胎児は微睡んでいるのだとしたら……どうか思い出してほしい!わたしはいつか君の前から消えるだろう。だがこれからも変わらずに続いていくあなただけの苦難の道のりを、どうか始まりの光が照らし続けますように。わたしはあなたの心臓を温めたくて、いつまでも手を離せないでいる。

胎児のみるゆめ

胎児のみるゆめ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-08-09

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