たよりないもののために

2021.06

2021.06


◼️
ジリジリと
ダムタイプみたいな
蛍光灯
電子音めまいみたいな光 
爆音 爆音

◼️
Svefn-G-Englar「変な曲〜」

◼️
柔らかな毛並みの鹿の瞳鹿はピッタリ寄り添って膝を舐める

◼️06.05
橋の上に立って声を殺していて、下を見るとまっくらで街灯が揺らめていてる
葉っぱが流れている 
今の私は曲に合わせて踊ってる
『たよりないもののために』という曲 

  ダンスは続いてる
  見えなくなったものたちのダンスは続いてる 

  演じることがすべてなんて 
  そんな真実いらない 
  正直だったものたちの 
  ダンスは続いてる 

芝生の芝の棘と柔 闇のなかに体温  
お客さん 今日出会った人たち 

今日知り合った人たち 

木、月、花、今も眠る蛍 風! 

絵の具を散らしたようなオレンジ色の女の子が持ってきた曲だった

 風がビューっと吹いた 

真っ黒のワンピースが引っ張られた 
千切られてバラバラになってほしかった ぜんぶ 葉っぱになりたい
うまれたままの姿で地面に足をつける 
「月の上にいるみたい」 と彼女は言った
驚いたような顔をしていた 
月にもこうやって真っ暗な芝生の上に一本だけ木が生えてるんじゃないかな

 信じることでこの夜にようやく朝が訪れるのなら
 信じる力はどこに落ちてる  

透明な緑色がどくんどくんと脈打っていた握りしめてた
 かあさまのへその緒の彼方に

想像したくない
という動きをしたずっとここの方が信じる 落ちてる 信じる力はこの原っぱに落ちてる

その重さに膝の力が抜けて立てなくなった


寝そべり目を瞑ると強い葉の匂い
わたしはおおきなものに押さえつけられている
悲しくはない 暗いものとも違う 明るいまま 目をあける ただ静かに見つめる 星のせい 生まれた星のせいにしておこう
こんがらがって こんがらがっていて 


毎日のように踊っていたら少しずつ眠れるようになった

黒いワンピース1、黒いワンピース2、黒いワンピース3以外の服を着られるようになった

黒しか着られなくなったのははじめてだった
帰り道 坂道を上りながらいった 
朝起きたらおはようのまるっていうんだよ 
え、おはいだよ おはい? おはい! おはおはおは おっはーー おはおは 


◼️
若者たちの土俵から降りるときじゃない/青々としている/その瞳でも、まだ青色を映すことができるのよ/拳に握りしめる

夏の夢あけたみたいに汗をかいた、ねえどれくらい驚いてるか分かる?ライオンが空飛ぶくらい でもお返しするね ありがとうと 深緑の空に手を伸ばし 絡めた指先をゆっくり開くと、一匹の虫が何も言わずに自販機の方に飛んでゆく

地面に手をついたとき、はじめて蜂に刺された/ブスッていった/舐めてそのままにした/明るいカフェミュージックが消えた/目の前のコーヒーメーカーからポタポタとあつい湯が滴り続けているのを眺めた/ポタポタと滴っていたのだ/帰り道、私の指先から微細な電気が流れるのか、スマートフォンのミュージックが速くなったり遅くなったり途切れたり巻き戻ったりした/ビリビリのビルエヴァンズ人類のほとんどがいなくなった都市に落ちていたテープを再生したよう/落ち着くためにお茶を飲んだ/


白い絵しか描けない/白で白を描きたいんですって白をあらゆるところに塗りたくる


17
i go home alone


真夜中の滑走路に/大きな飛行機が頭上を通過した/靴が海の水を吸った/夜の森の中を彷徨った/言葉にしすぎることと、頑なに言葉を拒むのは同じようなことだった/手で掬えるぶんだけくらい、そのままの重さの言葉を発したい/ひとりのままで/もう逃げるな、覚悟をしろ/そこからそこからそこからそこから/滑走路のそば、車も消えた潮風の吹く国道に突っ立つ/もういない どこにいったのだ わたしはなぜこんなところにいるの / とりあえず 走ってみる、/ どこまで進めば朝になる /「」/何も知らない なにも知らないの
こえたいこえてゆきたい


「 正気か、お前、!」「正気な人よりは正気」



自分からでた言葉に猛烈にショックを受けて公園を歩きながら 声に出してみる なにをいうてる なにをいうてる 



祈る
猫が寄ってきて上にずこんと乗った

たよりないもののために

たよりないもののために

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 時代・歴史
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-08-09

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