そのあと

 へいわ、というところの、ぬくぬくとした気配に、凪いでゆくのは鼓動。マンゴー、バニラアイスクリーム、かさねてできる、白黄の層。かわいらしいミントの葉と、レース編みのコースター。花柄のテーブルクロスに、黒光りしている丸い灰皿。あやしげなピンク色の間接照明と、笑っちゃうくらい大きなベッドと、それから、ぼくと、きみ。マンゴーパフェというルームサービスのメニューを嬉々として頼んだ、きみの、体温と、汗が、からだにすりこまれていて、放出されたあとも、熱がこもっている感じは、弱々しく、ぼくの神経を麻痺させている。ニコチンを摂取しながら、マンゴーパフェに舌鼓を打つ、ファミリーレストランにいるみたいにまったりしている、きみの横顔をみつめて。無駄に広いわけではないベッドに沈んだまま、もういっそ、きみの重みでめりこんで、窒息してもいいと思っている。夏。祭りのあとのような、心地よい気怠さを抱えて、夜を越える。

そのあと

そのあと

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-08-04

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