微睡の睡蓮

雪水 雪技

微睡の睡蓮
  1. 微睡の睡蓮
  2. 夏の午後にさようなら
  3. 綿毛の夜間飛行
  4. 爆心地が見る夢
  5. 迷子は思考する
  6. 白鳥座の子守唄
  7. わすれがたみ
  8. 単語の御守り
  9. フロート
  10. あてどもなく
  11. へいせいのこども
  12. 観察日記かんさつ
  13. スクラップブック
  14. コラージュの夢
  15. 不器用な献立
  16. 含羞
  17. 永遠の冬
  18. ゲシュタルト崩壊自画像
  19. 火から生まれた子
  20. 落下する星、燃え上がる花火

Twitter詩まとめ22

微睡の睡蓮

微睡む正午、睡蓮の夢
光の粒子を薄目で見つめる

この手に光がたわむれに注ぐ

筆を置いて休む間も
心象に焼き付く瞬間がある

日向においた心は眠る
沈澱した精神は黙する
思考は天井を泳いでる

うすぼんやりの
日のあかりは
不安と感傷を
優美に魅せる

騙されないと
微笑している
微睡む正午

夏の午後にさようなら

子守唄は幻聴だった
せみしぐれにまじって

お腹にタオルケット
あせばむひたいは冷えて

風鈴が鳴る
遠くで話し声がする

夏の憂鬱は
ぼんやりとした針

焦燥が支配する空気
それより暑くてかなわない

考えることの放棄は罪
午睡は天からの救済

やさしい記憶

戻らない時間

また笑える日まで

綿毛の夜間飛行

ねむるわたしの
しんりんちたい

わたげがとんだ
やかんひこうの
たねたちの移動

森の中こそこそと
種は寝床を探してる
咲いた時の己を夢見て

硝子よりとうめいな
雨の日の花びらは
はなよめいしょう

飛来する星々へ
別れをつげる今夜

土にもぐり深くねむる
よくよくそだつ今夜

爆心地が見る夢

スクリーンに映る星空
私は宇宙に逃げ出した

私の小規模な爆発を
無限の彼方で終わらせる

ここにいる客席の人たちは
お互いに無関心なままに

ただ星空を眺めては
あてどもない旅にひたる

私の体は爆心地
もうこの星には居られない

理解も無理解も何もかも
欲してないことを知った日に

迷子は思考する

教科書で見る名前
遥か遠く昔、生きた
その人たちの名前は
私を遠くへ連れて行く

教科書を切り貼りして
ストーリーを考える
私が納得できる
真実というやつを
ずっと探している

この人たちもきっとそう
昔からみんな道に迷ってる

偉人たちと結ぶ迷子同盟
迷子センター抜け出して
真実を探しに

白鳥座の子守唄

しらとりしらせる
吉報をむねに

あこはやまこえ
こころは頂きに立つ

はくえんをたいて
蒼天に合図する

あこはかわゆし
どこへでもゆける

ななつぼしのめじるし
ぽらりすだきしめ眠る

かたちなく
やわらかく

海へ山へ空へ
宙がえりする
わらいごえ

遠くたなびくこもりうた

わすれがたみ

つめたいよるに
ふいたかぜは
あの山からの
わすれがたみ

悲しいよるに
うたうたいは
よっぱらって
原っぱで遊ぶ

もう戻らないもの
思い出しては涙して
自分の亡霊と喧嘩してる

青い夜に開いた白いノート
書き連ねることは空想ごと
現実ごとに羽根をあたえて

やわらかな夢への片道切符

単語の御守り

マーカー引いた単語
その意味を調べて
私のポケットに
しのばせていた

単語ひとつ
それだけで
初めて強くなれた日

これは私のおまじない
スカートのポケットに
いつもひとつの単語が
静かに息をしている

言葉が生きてるって知った
一人じゃなくなった日蘇る

私を守り私も守る
一心同体の関係

フロート

クリームソーダのサルベージ

この中に幼い日の夕焼け
そうして希望だけの青空

喉を冷やすノスタルジアが
ガムシロップみたいに溶けている

アイスクリームの味は
今と変わっていったね

何にでも夢を見つけて
空想に生きていた時代

冷たい景色は溶け出すから
ストローを通って席に戻ろう

あてどもなく

こんな速度じゃあ
いつになることやら

わかりませんね
いつかはつきます

その前につきます
それは仕方のないこと

原付よりも遅いけど
自転車よりは速いかな

それなら随分速いですよ
そうですか、そうですよね

もう仕方ないのですよ
そういうものですかね

ええ、そういうものです

へいせいのこども

子供の頃あそんだ
ゲームの音楽
ドットの絵柄
自由ノートに
描いたまんが

全部持ったまま
大人になれると
信じて疑わなかった

長くて遠い通学路
はつらつ歩けと
歌わせられて
嫌な思いをした

いいもわるいも
全部机のなかに
置き去りにして
大人になったよ

壊れたゲーム機
消えた自由ノート

観察日記かんさつ

空の上、その上、途方もなくて
砂粒よりもっと小さくなる私を
顕微鏡で見ているのは誰だろう

ミジンコ、ミドリムシ、わたし

観察記録の提出日に声をあげる

もっとちゃんと考察してよね

ミジンコの気持ち
ミドリムシの気持ち
わたしの気持ち

小さなわたしの大きな悩み

みんな解明求めてます

スクラップブック

夢を見ては、
知らない街を
何度も周回してる

懐かしさだけで
出来上がったマップ
もう知り尽くした道

そんな街、無いのに
私は知っていた

いつも似たような道を行っては
同じような感情を追体験してる

その理由は?

感情だけの迷子

心にの目的地を見つけて
早くここから出ていこう

コラージュの夢

知らないのに
知ってる少年

君は誰?
何故か懐かしかった 

君はいない
私は君を知らない

なのに何故こんなに
君と話すのは楽しいのか

夢につくった友人
もどる子供時代
焼き直しして
何かをいやす

草笛吹いて
水路を追いかけ
なつかしいもの集めて
どうしようもない心に
優しくあろうとして

不器用な献立

平熱の安寧を持って
家庭料理の美味しさ

素人のフランベは
ただ危なげに見えた

私はおつけもの
白いご飯と味噌汁

挑戦する日
平坦の日

卵の割り方も普通だった
殻が入らなければ御の字

不器用なりの献立

誰でもおいでと戸を開けて
誰かが来たら隠れる性分

よそ見した頃、冷たい麦茶を出す

含羞

先刻鋭い神経の逆上
尋常の上にいる今

どちらかと選ばず
互いに住処をつくり

ひとりのなかに
ただ暮らす

否定せず
共存する
難しさは

一個体の中でもう分かりきっていた事

何を他人に求めているのか

己だって裏切る私を
己だって匙を投げた私を

棚に上げて何を求めているのか

含羞の今日

永遠の冬

雪が降る

感傷を覆う
傷跡を覆う

それはおしろいのように

何もかも覆う
何もなかったことにして
今は静かにねむる時代に

雪が降る

しんしんと
静かに
厳かに

山のハリボテのお城ですら
まるで歴史的建造物
文化遺産の面構え

雪が降る
しんしんと
私も街も覆え

この心象へ年中降ればいい

ゲシュタルト崩壊自画像

アトリエで膝を抱えて
私は自画像について考えている

顔は顔でしかなくて
それは記号?あるいは象徴?

美醜の如何、それは何?
私は何をもって私になる?

思考、思想、嗜好、指紋
脈拍、血液型、レントゲン

私は細胞、分子の集合体
心の場所、未だ人類未到につき

床の上、感触、増殖する私

火から生まれた子

燃えゆく柱が
燦然と輝き

生命の居場所を教えてる

火柱からは数多の生命
飛び出しては、縦横無尽に駆けていく

火を前に、私の心臓は高鳴る

生命の根源
燃え立つ柱

火柱囲んで踊る者たち
風を呼んで勢いを増す

生まれ、はじまる
育まれ、走り出す

燃え出した私、
生み出すものがあるのなら

落下する星、燃え上がる花火

星々は願いの重さに耐えきれず
ついに地上に落ちはじめる

美しい破壊光景に
身震いしながら見守っていた

きらめきが大地へ落下して
燃え上がっては花火のように

天地が逆転した日に
火薬たちも飛び起き天へ舞う

火は燃え広がる
星は燃え尽きる

さようならと
輝ける星々へ

最期の煌めきへ

微睡の睡蓮

微睡の睡蓮

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • ミステリー
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2021-07-31

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