君が狐だった頃

音澤 煙管

君が狐だった頃

ぼくは、騙せなかったね?


ぼくには見えていた、
別れ間際の後ろ姿に。

必ず何かの影があった、
人とは違う余計なものが。

知らないフリも長くは続かず、
ぼくはその影を捕まえた。

君のほんとの姿だった、
気持ちは全てその尻尾にあったから。

人を化かすのに慣れていた、
でもこのぼくは騙せなかった。

長い付き合いの中で、
笑っていた頃もあった。

その笑顔も笑い声も、
濁ってきたから影に気付いた。

離れていても顔を見ても、
後ろ姿は正直だったから。

ぼくは君には決して、
後ろ姿は見せなかった。

別れ去る時はいつも君から、
ぼくは振り向いたりはしない。

尻尾を捕まえた時、
ぼくのお尻がむず痒かった。

ぼくも君を騙せなかった、
ぼくにも影があったから。

狐と狸の化かし合い、
気が付いたからお別れしたんだ。

これは、
君が狐だった頃
ぼくが人間だった時の話だ……

君が狐だった頃

君が狐だった頃

狸のためいき、とでも言おうか?

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
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  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2021-07-30

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