短々落語「炊飯ジャー」

400文字以内のショートショート落語臭

「炊飯ジャー」

八つぁん(はっ      )、飯食わしてくんねぇ

どうしたんだい、熊さん(くま    )

喧嘩(けんか)してかかぁが家を出ちまった

原因は何だい(なん    )

それが、炊いた飯が柔らか過ぎ、もうお粥(  かゆ)状態、でこんなの食えるか、飯は固めが基本だろって怒ったら出て行っちまった

丁度(ちょうど)よかったよ、今、飯を炊こうとしてたところ、一人前追加するよ。炊き上りは固めだね、だと水はいつもよりちょい多めでいいか


(八つぁん、釜を炊飯ジャーにセットします)

熊さん、でも何だね(なん   )最近の炊飯ジャーは凄いね、ボタン一つで固さを自動調整、しかもだよ、炊き上りを音楽で教えてくれるんだよ

どんな音楽だい?

それが洒落ててね、ジャーだけにメジャーな80年代の洋楽ヒットメロディーさ。昨日(きのう)は確か、ポリスの「見つめていたい」だったよ


暫し(しば  )時が経ちます)
おっ音楽が聴こえたね。今日はカルチャークラブだよ。ちょくらほぐしてくるね、熊さん、ちょっと待ってておくれ

(少しして熊さん)

どうだい八つぁん?


うん、釜は気(カーマ      )まぐれ


 

短々落語「炊飯ジャー」

お後がよろしいようで。

短々落語「炊飯ジャー」

八つぁん、飯食わしてくんねぇ。どうしたんだい、熊さん。喧嘩してかかぁが家を出ちまった…、その顛末やいかに。400文字以内のショートショート落語臭。とても短い創作落語。

  • 小説
  • 掌編
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-07-30

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