虚構の夏

生きてる実感なんか得たくない。それは、死ぬ実感も伴うでしょう?何も、何も感じたくない。何かを、誰かを感じるたびに、わたしは傷つく、打ちのめされる。誰も悪くないんだってこと、知っているのに、自分のせいにするのはやめられないなんて、馬鹿みたいね。愛も優しさも知りたくなかったし、不出来な物語になるくらいなら、最初から出会いたくなかった。何一つ理解しないまま、誰かを、自分を愛してみたかった。惨めなわたしはきょうも一人で、一人きりで、死ぬ意味を探している。

虚構の夏

虚構の夏

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-07-29

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