浜辺の物語
それは、まだ海開きが始まっていないある六月のことだった。
ある少年が自転車で海沿いの国道を通っていた。少年は海が好きで、しょっちゅう自転車で海を見に来ていた。
何気なく海を見ながら走っていたが、と、ある光景に吃驚し、少年は自転車を止めた。
黒いビキニの美しい女性が海から上がってきたのである。髪が濡れ美しいなだらかな体から水が滴り落ちている。少年は一瞬、その女性は、人魚ではないかと思った。
黒いビキニが海水で濡れ、水を吸い込んで、収縮し、体にピッタリと貼りついている。
少年の心臓は、途端に、早鐘をうち、股間にあるものが、熱くなり、怒張しだした。
ゴクリと少年は、生唾を飲み込んだ。
ビキニの女性は、砂浜にビーチシートを敷いて、その上に仰向けになった。ピッタリ腿を閉じた女の体の稜線とピッタリと体に張りついたビキニの盛り上がりが、少年を、いっそう悩ませた。少年は、心臓をドキドキさせながら、女性にみつからないよう、そっと食い入るように、女性を見つづけた。幸い、女性は目を閉じて太陽が体を焼くのに身を任せている。
と、その時、女性はパチリと目を開き、ムクッと体を起こした。そして、少年に向かって、大きな声で、叫んだ。
「ねえー。ボクー。よかったら、こっちへ来ない」
ビキニの女性は大きな声で叫んだ。少年は吃驚した。彼女は少年に気づいていたのだ。
少年は、自転車をとめて、砂浜に降りていった。
少年が、ためらって、おずおずしていると、彼女は、ニコッと笑って手招きした。
少年は顔を赤らめて、彼女の隣にチョコンと座った。
「ボク。私をじっと見てたでしょう」
彼女はニコッと笑って、少年の手を握った。
「は、はい。ごめんなさい」
少年は赤面して答えた。
「ううん。別にいいわよ。ボク。どこへ行くの」
「あ、あの。市営の温水プールです」
「ごめんね。引き止めちゃって」
「い、いえ。いいです」
女性はしばし、赤面している少年を微笑して、見つめた。
「ボク。よかったら、一緒に遊ばない」
少年は、真っ赤になった。
少年が黙っているので、彼女はつづけて言った。
「でも、プールで泳ぎたいでしょ。ごめんね。引き止めちゃって」
「い、いえ。プールなんか、どうでもいいです」
少年はあわてて言った。
女性はクスッと笑った。
「じゃあ、一緒に遊ぼう」
「・・・は、はい」
「じゃあ、海水パンツ一枚になって。あそこにトイレがあるわ」
そう言って彼女はトイレを指差した。
「・・・は、はい」
少年は、パタパタと急いでトイレに行った。そして、海水パンツ一枚になって、もどってきた。少年は京子の傍らに座った。
「ボク。名前は」
「高橋純です」
「ふーん。いい名前だね。私は佐藤京子。よろしくね」
「僕の方こそ、よろしく」
純は丁重に挨拶した。
「純君。オイルぬってくれない」
えっ。
純は一瞬ドキンとした。
女の体に触るなんて、純には絶対とどかぬ神をもおそれぬ夢だった。
だが、京子は、無造作に日焼け用オイルを純に渡した。
京子はビーチシートの上でうつ伏せになった。
純は、無我夢中で京子の体にオイルをぬった。
京子の体は美しかった。
スラリと伸びたしなやかな脚。細い華奢なつくりの腕と肩。細くくびれたウェスト。それとは対照的に太腿から尻には余剰と思われるほどたっぷりついている弾力のある柔らかい肉。それらが全体として美しい女の肉体の稜線を形づくっている。
興奮のため、純の男の部分は激しく勃起していた。
京子はムクッと体を上げた。
「ありがとう」
京子はニコッと笑った。二人は海水をかけ合ったり、ビーチバレーや、追いかけっこをして遊んだ。
純にとっては、こんな事は夢のようなことだった。
二人はしばし、夢中で、ビーチバレーを楽しんだ。
「ねえ。純君。疲れたでしょう。少し休もう」
京子にそう言われて純と京子は、再びビーチシートの所にもどった。
京子はしばし、ビーチシートの上でうつ伏せになって、目を閉じた。
純は京子が目をつぶっているのをいい事に、京子の体をしげしげと眺めた。
小さいビキニがピッタリと貼りついただけの京子の体は裸、同然だった。
ビキニは尻を形よくおさめ、ビキニの縁からは、弾力のある尻が、半分近く出ている。
純はドキドキしながら、京子の裸に近い体を眺めた。
しばしして、京子がムクッと起き上がった。
「今度は何をして遊ぼうか」
京子が言ったが、純は、すぐには思いつかなかった。
「ねえ。純君。あの林の中に入ろう」
そう言って、京子は砂浜沿いの林を指差した。純は、はい、と言って、二人は林の中に入って行った。京子は、林の中の一つの松の木の前に座って、木にもたれかかった。純も京子の隣に座った。
京子は微笑して純を見た。
「ねえ。純君。面白い遊び、しない」
「どんな遊びですか」
「人さらいごっこ。純君が悪い人で、純君が私をつかまえちゃうの」
純はゴクリと緊張と興奮の唾を飲んだ。
「いい?」
「は、はい」
純は緊張した声で答えた。
「じゃあ、私をこの木に縛りつけて。縄は私のバッグの中にあるわ」
言われて純は京子のバッグを開けた。中には確かに縄があった。
純は、縄を持っておそるおそる京子に近づいた。
京子は微笑して両手を木の裏に廻した。そして手首を重ね合わせた。
「さあ。純君。縛って」
純はゴクリと緊張の唾を飲んで、木の後ろに廻り、京子に言われた通り京子の手首を縄で縛った。
京子は、体を揺すり、もがいて、抜けようとする仕草をした。だが、縄ははずれない。
「ああっ。純君。やっぱりこわいわ。縄を解いて」
京子は体を揺すって、訴えるように純に言った。
「お願い。純君。縄を解いて」
京子は泣きそうな顔で純に訴えた。
「ご、ごめんなさい。京子さん。今すぐ、縄を解きます」
純が、京子の縄を解こうと縛った手首の縄に手をかけると、京子のもがき、は、ピタリと止まった。
京子はペロリと舌を出した。
「ふふ。純君。ウソよ。冗談よ」
「ふふ。純君ってすぐだまされちゃうのね」
「やーい。鈍感男、純」
京子が、立てつづけに揶揄したので、さすがの純もムッと顔をふくらませた。
「よくも騙してくれましたね。京子さん」
そう言って純は、京子の腕を摘んでキュッとつねった。
「い、痛い。許して。純君」
京子は首を左右に振ってつらそうな顔で訴えた。
が、純は京子の訴えを無視して、つねる力を弱めようとしない。
「もう、その手にはのりませんよ」
そう言って、純は京子の腕をつねりつづけた。
「本当なの。純君。縄を解いて。私、本当にこわくなっちゃったの」
そう言って京子は、困惑した瞳を純に向けた。
「ふふ。京子さん。ウソをついてもダメです。なんか僕、本当に京子さんをいじめたくなっちゃいました」
そう言って、純はつねる力を一層、強くした。
「僕をたまして、莫迦にした罰として、僕は本当に京子さんをいじめます」
そう言って、純は、京子から、手を離した。そして、京子のバッグを開けた。
「ああっ。何をするの。純君」
「所持品検査です」
「や、やめてー」
木に縛められた華奢な肩を揺すって京子は訴えた。
「ふふ。そう言われると、よけい開けてみたくなりますよ」
そう言って、純はバッグから、財布を取り出した。
「な、何をするの」
京子は、不安げな顔つきで聞いた。
「京子さんの素性を調べるんです」
そう言って純は財布のポケットから、カードを全部、取り出した。
名刺があった。
「ドコモ横浜支店。お客様サービス係。佐藤京子」
と書いてある。
「ふーん。京子さんって、ドコモの受け付け嬢なんですね。僕、ドコモの受け付けの女の人を見ると、すごく興奮しちゃうんです。京子さんがドコモの女の人だったなんて、最高に嬉しいです」
そうなのである。純は、ドコモの受け付けの女性に、すごく興奮してしまうのである。おそらく、あの制服が好きなのであろう。
京子は、恥ずかしそうにうつむいている。
「へへ。今度、ドコモ横浜支店に行って、京子さんに、いっぱい難しい質問しちゃおう」
「や、やめて。純君。そんな、いじわる」
さらに純は、運転免許証を見つけた。
「やったー」
純は、小躍りして喜んだ。
「佐藤京子。生年月日、昭和63年8月3日。住所、横浜市港南区青葉町1-2-3サンハイツ501」
と書いてある。
バッグの中には携帯電話もあった。純はそれを欣喜雀躍とした表情で取り出した。
純は、あて先に、自分の携帯のメールアドレスを書き込み、本文に、京子の住所と本籍を書きはじめた。
「な、何をしているの」
京子は、一心に携帯を操作している純に、不安げに聞いた。
「京子さんの住所と本籍を書いたメールを僕の携帯に送るんです」
「や、やめてー」
京子は、体を揺すって叫んだが、純は書き込みをやめようとしない。
5分もかからず純は、メールを書き上げた。
純は京子の哀願を無視して、メールを送信した。
京子は、しょんぼりしている。
純はニヤリと笑って、携帯を松の木に縛められている京子の方へ向けた。
「な、何をするの」
「ビキニ姿で木に縛られてる京子さんの写真を撮るんです」
「や、やめてー」
京子は叫んだが、純は、京子の哀願など無視して、撮影ボタンを押した。
カシャ。
シャッターの音がした。
純はニヤリと笑って携帯を京子に向け、撮った写真を京子に見せた。
そこには、きわどいビキニ姿で、松の木に縛められている京子の姿がしっかりと撮影されていた。
京子は真っ赤になって、写真から顔をそらした。
「ふふ。凄くきれいですよ。しかも、とてもエロティックですよ」
純は、再び、携帯を操作しだした。
「な、何をしているの」
京子が不安げな表情で聞いた。
「この写真も添付して、僕の携帯に送るんです」
「や、やめて。純君」
純は京子の哀願を無視して、京子の写真を添付したメールを、自分の携帯に送った。
そして、それを示すため、携帯を京子に向け、送った送信メールを京子に見せつけた。
京子は、顔を赤くして、それから目をそらした。
純は調子に乗り出した。
純は携帯を京子の口に触れるほどに近づけた。
「さあ。京子さん。自分の名前を名乗って助けを求めることを言って下さい。僕の携帯は留守電になっていますから、京子さんの声も、とって起きます」
「や、やめてー」
「だめです。言って下さい」
純は強い口調で言った。
京子は純の押しの強さに負けて観念した顔つきになった。
「な、何て言えばいいの」
「こう言って下さい。『私は横浜市港南区青葉町1-2-3サンハイツ501に住む佐藤京子という者です。今、かわいい:けど、いじわるな男の子に木に縛られてしまいました。誰か私を助けて下さい』」
京子はガックリと観念した表情で携帯に言った。
「私は横浜市青葉区青葉町1-2-3サンハイツ501に住む佐藤京子という者です。今、かわいいけど、いじわるな男の子に木に縛られてしまいました。誰か私を助けて下さい」
言って京子は哀しそうな顔でうつむいた。
だが、もう、京子の声が純の携帯の留守電に送られてしまったのである。
純は、再び京子の携帯を見て、一心にカチャカチャと、操作した。
京子は、純が何をしているんだろう、という不安と疑問に満ちた目で、携帯を操作している純を見た。しばしして、純は、
「京子さん。出来ました」
と言って、純は携帯を京子に見せつけるように、京子の鼻先へ突きつけた。
それには、こう書かれてあった。
「今日、私はかわいい少年に松の木に縛ってもらいました。私はいつも、貞淑な女を装っていますが、本当はすごく淫乱で、マゾなんです」
京子は、真っ青になった。
「そ、そんなこと書いて、どうしようっていうの」
京子の声は震えていた。
「このメールを、京子さんの写真を添付して、携帯に登録してある人、全員に送るんです」
京子は、真っ青になった。
「や、やめてー。そんなこと」
京子は、木に縛められた体を激しく揺すって叫んだ。
「ふふ。どうしようかなー」
純は、携帯をふりかざしながら、余裕の口調で言った。
「お願い。純君。そんな事だけは、やめて。そんなことされたら、私、恥ずかしくて生きてられなくなっちゃう」
そう言って、京子は、木に縛められた体を激しく揺すった。
「ふふ。じゃあ、僕の言うことを聞くなら、考えてあげますよ」
「き、聞きます。何でも」
純は、しばし困惑する京子をニヤニヤ笑って見ていた。が、携帯をバッグにもどし、財布を取り出した。財布の中には、三万円、入っていた。純は、それを抜きとって、自分のポケットに入れた。
「ふふ。これは、もらいますよ」
「は、はい」
さらに、純はキャッシュカードを、財布から取り出した。
「京子さん。暗証番号を、教えて下さい」
「そ、そこまでは・・・」
京子は、言いためらった。
「教えてくれないなら、メールを皆に送りますよ」
そう言って、純は、再び、携帯を取り出した。
「わ、わかりました。言います」
京子はしばし、困惑していたが、ガックリと首を項垂れて小声で言った。
「4123です」
「ふふ。では、さっそくコンビニで、お金をおろしてきます」
そう言って純は、京子の財布を持って、林を出て、道路沿いにあるコンビニへ向かった。
☆ ☆ ☆
すぐに純は戻ってきた。そして京子の前に座った。コンビニの袋を持っている。何か買ってきたのだろう。純は、財布から、おもむろに札束を取り出した。一万円札が20枚ある。
「ふふ。これは、もらっておきます」
そう言って純は、ことさら、札束を京子の顔の前にチラつかせた。
「ああっ。じゅ、純君。そこまでは許して」
だが、純は京子の訴えを無視して札束をポケットに入れた。
純は京子のバッグから携帯を取り出すと、何か、カチャカチャと操作しだした。京子には見えない。
「な、何をしているの」
不安げな口調で、京子が聞いた。
純は京子の質問に答えず、携帯をカチャカチャと操作しつづけた。
「できた」
純が得意げな顔で言った。
「な、何をしたの」
僕の携帯に登録者全員のアドレスを送ったんです」
「ど、とうして、そんなことをしたの」
「こうしておけば、いつでも京子さんの恥ずかしい写真と文を皆に送る事が出来るじゃないですか」
京子の顔は真っ青になった。
「や、やめてー。純君。そんな事。お願い」
「今は、まだ僕の携帯に送っただけだから、大丈夫です。でも、京子さんが僕の言う事に従わなかったら、いつでも送れますよ」
純は京子に携帯を突きつけてニヤリと笑った。
「わ、わかりました。純君の言う事には何でも従います」
京子は諦念したような、さびしそうな面持ちでうつむいた。
「ふふ。京子さん。京子さんは判断を誤りましたね。僕がおとなしそうな性格だから僕を、いい人間だと思ってしまったんですね。確かに、僕は、おとなしい性格ですが、ものすごく悪い人間なんですよ」
「これから僕は一生、京子さんにダニのようにくっついて、旨い汁を吸わせてもらいますよ」
純は、ニヤリと口元を歪めて不敵な口調で言った。
「わ、わかりました。純君の言う事には何でも従います。で、ですから、もう、こわい事は、しないで下さいね。お願いです」
京子は目に涙を浮かべて訴えた。
純はニヤリと笑った。
「ふふ。京子さん。わかればいいんです。素直に僕に従えば、僕はけっこう、やさしいんですよ」
京子は、黙って、さびしそうに、うつむいている。
目から涙が、出ている。京子は、クスン、クスンと泣き出した。
「ふふ。こういうのを『軒をかして母屋をとられる』って、言うんです」
純は得意げに言った。
「京子さん。泣かないで。素直に言う事を聞くならば、僕はやさしいんです」
純は京子の涙をハンカチでふいた。そして、おもむろに、コンビニ袋を開けた。
中には、たこ焼きと、オレンジジュースが、入っていた。純はそれを、おもむろに取り出した。
「京子さん。お腹が減ったでしょう。たこ焼きを買ってきました。はい。口をアーンと開けて」
そう言って、純は、たこ焼きを爪楊枝で刺して、京子の口へ持っていった。
京子は、言われたように口を開けた。純は、爪楊枝に刺した、たこ焼きを京子の口に入れた。
京子は、口の中に入れられた、たこ焼きをモグモグ噛んだ。
そして、ゴックンと飲み込んだ。純は、その仕草をずっと我を忘れたような表情で、眺めていた。飲み込んだ後にする事はない。京子は、恥ずかしそうに頬を紅潮させて顔をそらせている。
「おいしかったですか」
純がやさしい口調で聞いた。
「はい」
京子は顔を赤らめて答えた。
純は、二つ目のたこ焼きを爪楊枝で刺して、また、京子に食べさせた。
京子は、また、モグモクと噛んで、ゴックンと飲み込んだ。それを見ている純の顔は欣幸の至りといった様子だった。
純は、映画、「コレクター」の男のように、女を人間として見ているのではなく、人形と見ているのだ。純には、「コレクター」の男のような変質的な性格があるのだ。
純は、京子がたこ焼きを飲み込むと、
「はい。京子さん。咽喉が渇いたでしょう」
と言って、オレンジジュースの缶を京子の口に圧しつけた。
純は、缶を逆さにしていくので、飲まないとこぼれてしまう。京子は眉を寄せ、ウグウグ言いながら、ジュースを飲んだ。
ある程度、飲ますと、純はジュースを京子の口からはずした。
「おいしかったですか」
「は、はい」
京子は、顔を赤らめて言った。
純はニコッと笑って、また、たこ焼きと、ジュースを交互に京子に食べさせ。
純は、ジュースを二本買ってきていて、一本、京子に飲ませきってしまうと、二本目のグレープフルーツジュースを京子に飲ませた。京子はウグウグ言いながら、苦しげな表情で飲んだ。しかし、飲み込む前に口の中に入ってきたジュースが口からもれ、頤から咽喉へと伝わって、京子の体を濡らした。
「ごめんなさい。京子さん」
純は、あわててジュースをはずした。
すぐに、謝るところをみると、純は強がってても、気が小さい性格なのだろう。
純はあわてて、京子のバッグから、ハンカチを取り出すと、京子の体のジュースで、ぬれたところを拭きだした。
口の周りをふき、咽喉をふいた。それから、胸や、腹をふいた。
「あ、ありがとう。純君」
純は、黙って口の周りと、咽喉をふいた。
そして、次に、胸や腹をふきだした。
しかし、ふいているうちに、おかしな事が、起こり出した。京子の腹をふいていた純の手がプルプルと震えだしたのである。
純は眉をしかめて、苦しげな表情になり、ついに京子の体をふくのをやめて手を京子の体から離してしまった。
「ど、どうしたの。純君」
京子が、聞いたが、純は答えず、真っ赤になってうつむいてしまった。
純はワナワナ震えながら、股間に手を当ててさすり出した。
京子はニコリと笑った。
「ふふ。純君。純君が何を考えているか、わかるわよ」
京子は余裕の口調で言った。しかし、純は答えられない。うつむいてブルブル体を震わせている。股間をさする度合いは、いっそう激しくなった。
「ああー。もう我慢できない」
純は叫んで、顔を上げ、京子の豊満なビキニの胸にピタリと手を当てた。
だが、当てただけで揉もうとしない。
「ご、ごめんなさい。京子さん」
純は、申し訳なさそうな口調で言った。
ここで純の性格はわかってしまったようなものである。そうなのである。純は、奥手でウブで、女と一度も付き合ったことがないから、女の心が全くわからないのである。純は女の体を断りなく触ることは、女に対して、大変な失礼な事だと思っていたのである。しかし、現実には、女は男に心を許したならば、触られる事は、何ともない、どころか、快感なのである。しかし純には、それがわからないのである。
「ふふ。いいのよ。純君。私にさわっても」
京子は、自分の胸に手をそっと当てている純に、やさしく言った。
「ご、ごめんなさい。京子さん」
そう言うや、純はビキニの京子の胸や腹、太腿などを触りまくった。そうなのである。純はビキニフェチなのである。もっとも、世の男は、ほとんどは、女のビキニ姿に興奮するから、ビキニフェチ、という言葉は、当を得ていない言い方である。しかし、世の男は、女のビキニ姿に、もう慣れきってしまっている男もいるから、ビキニフェチという表現も必ずしも間違っているとは言えない。ただ、純の場合、その興奮度が、あまりにも強いのである。ちょうど、飢えた犬に餌を与えたような状態なのである。
「ああ。京子さん。幸せです」
そう言って純はビキニの京子の体を触りまくった。そうなのである。純はスケベなのである。京子は、そんな純を微笑して余裕で見ている。
「ああー。京子さん。好きです」
そう言って、とうとう、純は松の木に縛められている京子の体にしがみついた。
そうなのである。純は甘えん坊なのである。
しばし、ビキニの京子にヒシッと抱きついていた後、純は手を離し、パッと飛びのいて京子の前で、頭を土の上に擦りつけて土下座した。
「ごめんなさい。京子さん」
純は何度も謝った。そうなのである。純は鈍感なので、まだ、京子に悪い事をしたと思っているのである。
「いいのよ。純君。そのかわり、縄を解いて」
「は、はい」
純は京子の後ろに廻り、京子の手の縛めを解いた。
京子は、やっと自由になって、ふー、とため息をついた。
純は決まり悪そうな表情である。
京子は、縄が解かれるとすぐに携帯の入ったバッグをとった。
「ねえ。純君」
「はい。何ですか」
「純君は一つ、重要な事を忘れていると思わない」
純は、首を傾げたが、わからなかった。
「なんですか。重要な事って」
京子はニコリと笑った。
「ヒント。私はドコモの受け付け係りよ」
純は、頭をひねったが、わからなかった。
「何なんです。重要な事って」
京子はニコッと笑った。
「純君は自分の携帯の留守電に電話して、私の声を吹き込ませちゃったでしょう。私はドコモの受け付け係りよ。純君の携帯番号がわかってるんだから、調べれば、純君の住所、氏名、年齢、全部、わかっちゃうのよ」
ああっ。
純は真っ青な顔になった。
「ふふ。純君は婦女暴行罪ね。かわいそうに。私、純君の家と学校と、警察に連絡するから、もうこれで純君の人生はおわりね」
京子は勝ち誇ったように言った。
「きょ、京子さん。言わないで下さい。もう二度と京子さんに悪い事、しません。嫌がらせのメールも送ったりしません。で、ですから、許して下さい」
「ダメよ。だって純君は、私の写真と声を、しっかり自分の携帯に送っちゃったじゃない。どう、悪用されるか、わからないもの。私、こわくてしようがないわ」
「そ、そんなこと、絶対しません。写真も京子さんの声も、ちゃんと消去します。で、ですから、警察には、言わないで下さい」
純は土下座して、頭を土に擦りつけて謝った。
「ダメよ。純君が本当に消去するか、どうか、わからないもの。私、こわくてしようがないもの」
京子は勝ち誇った王者のゆとりの口調で言った。
「お願いです。信じてください。僕は、悪い人間じゃないんです」
そうなのである。純は悪い人間じゃないのである。
だが、京子は、信用できない、という疑いの目で笑いながら純を見ている。
「わかったわ。そこまで言うなら。家にも学校にも警察には、連絡しないわ。でも、もう純君の身元は、わかっちゃってるのよ」
「あ、ありがとうございます」
純は何度も頭をペコペコ下げた。
「でも、私は純君に弱みを握られちゃったから、私も純君の弱みをとっておくわよ。いいわね」
「は、はい。わかりました。で、でも弱みって、どんな事なんですか」
京子は答えず、ふふふ、と、笑って純の手を掴んだ。
そして純を松の木の前に背中が木につくよう座らせた。
京子は純の手をつかむと、あっという間に、純が京子にしたように、純の両手を木の後ろに廻して両手首を縛り、純を木に縛りつけてしまった。
「ああっ。何をするんですか。京子さん」
京子は純の前に座って、困惑している純の顔を笑顔で見た。
「ふふ。純君が木に縛られた、みじめな姿を写真に撮るのよ。そうすれば、純君も私に意地悪できにくくなるでしょう」
ああっ、と純は切ない声を出した。
「や、やめてください。そんなこと」
純は顔を真っ青にして訴えた。
だが、京子はバッグから、携帯を取り出して、純の訴えなど無視して携帯を純に向けてかまえた。
「さあ。とるわよ」
そう言って、京子は、ホクホクした顔つきで、携帯のボタンに指を当てた。
カシャ。
シャッターがきられた音がした。
京子は、満足至極という表情で、撮った写真を見た。
そして、携帯の写真を純に見せた。
「ああっ」
純は真っ青になって悲鳴を上げた。
そこには、悲しそうな顔で海水パンツ一枚で、松の木に縛められている純の姿がしっかりと写されていたからである。
京子は、しばしその写真を満足げに見ていたが、パチンと携帯を閉じて、バッグに戻した。
京子は純の傍らへ行くと、両手で純の海水パンツに手をかけた。そして、海水パンツを、おろし始めた。
「ああっ。な、何をするんですか」
純は驚いて大声で言った。
「純君の丸裸の写真も撮っておくのよ。その方が、より安全でしょ」
「ああっ。や、やめて下さい。京子さん」
純は叫んだが、京子はかまわず、純の海水パンツを脚からスルスルと抜きとってしまった。
純は一糸纏わぬ素っ裸にされてしまった。
丸裸にされた純は、男の恥ずかしいものを見られないよう腿をピッチリと閉じた。
「ふふ。かわいいわよ」
そう言って京子は、またバッグから携帯を取り出して、純に向けた。
「さあ。撮るわよ」
京子は携帯のボタンに指を当てた。
「ああっ。や、やめて下さい」
純は叫んだが、京子はかまわず、携帯のボタンを押した。
カシャ。
撮影音がした。京子は、満足げに撮影された写真をしばし見つめていた。
京子は、純に写真を見せた。腿をピッチリと閉じている純の裸が、しっかりと写されてた。
純は真っ赤になって、それから目をそらした。
「でも、このポーズは、あまりいいポーズじゃないわね」
京子は、そんな独り言を言って、ニコッと笑った。
「さあ。純君。足を大きく開いて」
そう言って京子は閉じている純の太腿に手をかけて膝を開こうとした。
「ああっ。や、やめてください」
純は、叫んだ。
「言う事を聞かないと警察に連絡しちゃうわよ」
その切り札には、純は無力だった。
純は、京子に言われたように股を開いていった。
純は股を開いたM字の格好になった。股間の真ん中にある、おちんちんと、ぶらさがっている玉袋が、丸見えになった。
京子は純の正面に座り、裸の純をしげしげと見つめた。
「ふふ。かわいい、おちんちんね。丸見えよ。どう。今の気持ちは」
「は、恥ずかしいです」
純は、顔を真っ赤にして足をガクガクさせながら、京子に見られるという屈辱に耐えた。
「それじゃあ、写真を撮るわよ」
そう言って、京子は、丸裸のM字で足を開いている純に携帯を向けた。
「純君。もっと大きく足を開いて」
純は言われたように、足をガクガク震わせながら、脚を大きく開いた。
京子は携帯から純の姿を見ている。
純は、こんな姿を写真に撮られる事に耐えられなくなり、とっさに頭を下げてうつむいた。
「だめよ。純君。それじゃあ、顔が見えないわ。しっかり顔を上げて」
京子の命令には逆らえない。純は、ゆっくり顔を上げた。純は屈辱と羞恥から、目をつぶった。頬が紅潮した恥じらいの表情である。
「いいわよ。純君。その表情。とっても哀愁があって」
それじゃあ、撮るわよ、と言って京子は携帯のボタンを押した。
カシャ。
撮影の音がした。京子は、撮影された写真を見て、にっこり笑った。
「うん。よく撮れてるわ。これがあれば、純君も私に意地悪できないでしょう」
純は答えない。耐え切れないといった表情で、目を閉じている。
「用心のため、一枚だけじゃなく、何枚か撮っておくわ」
そう言って、京子は、カシャカシャと数枚、裸で足を広げている純の恥ずかしい姿を写真に撮った。
「さあ。これくらい撮っておけば安心だわ」
そう言って京子は写した写真を見た。
純は、もはや、あきらめきった、という諦念の表情である。
「でも、この写真は、ちょっと携帯やネットで出すには過激すぎるわ。過激さ、を弱めた写真も撮っておくわ」
そう言って京子は純の海水パンツをとり、足を広げて丸出しになっている純のおちんちんの上にのせた。これで、純のおちんちんは隠された。だが、丸裸で恥部だけ隠された姿は丸裸より、いやらしく見える。
「ふふ。純君。すごくエロティックな姿よ。さあ。おちんちんは見えないから、安心してうんと股を開きなさい」
京子に言われて純は股を開いた。それは、京子に命令されたから、というより、純の意志で開いているように見えた。
恥部を隠している純の海水パンツが盛り上がりだした。純は黙って顔を赤らめている。
京子は、海水パンツをそっとめくってみた。
なんと、純のおちんちんは大きくなって、激しくせり上がっていた。
「わあー。すごーい。純君。興奮しちゃってるのね。こんな格好にされて興奮するなんて、純君って、マゾなのね」
京子は小躍りして言った。
純は言い返さない。黙って顔を赤らめている。
京子はめくった海水パンツをもどした。
そして再び、携帯を、裸で恥部だけ隠されている純に向けた。
「さあ。撮るわよ」
そう言って、京子は写真のボタンを押した。
カシャ。
撮影音が鳴った。京子は撮影された、みじめな純の写真を余裕の表情で見た。
京子は、つづけて数回、写真を撮った。
「はい。純君。よく撮れてるわよ」
そう言って、京子は、携帯の写真を純に見せた。
そこには、丸裸で松の木に縛りつけられ、足を大きく開いて、男の恥部だけ海水パンツで隠されている、みじめな純の姿が、しっかり写されていた。
純は、顔を真っ赤にして、写真から目をそらした。
京子はニヤリと笑った。
「じゃあ、写真だけじゃなく、純君の声も録音しておきましょうね」
京子はゆとりの口調で言った。
「も、もう、許して下さい」
純は、もう耐え切れないといった様子で切実に訴えた。だが、京子は、聞く耳を持とうとしない。
「さあ、純君。こう言うのよ。『僕はすごくきれいな女の人に、悪戯をしてしまいました。その罰として、僕は、こういうみじめな写真を撮られてしまいました。でも、僕はそれが、嬉しいんです。僕はマゾで、女の人にいじめられるのが嬉しいんです』」
純は真っ赤になった。
「きょ、京子さん。も、もう許して下さい」
純は泣きそうな顔で訴えた。だが、京子はそしらぬ風である。
「だめ。ちゃんと、しっかり言いなさい。言わないと縄を解いてあげないわよ」
そう言って京子は携帯を純の口元に近づけた。
純は、哀しそうな声で京子に言われたフレーズを弱々しい口調で言った。
「僕はすごくきれいな女の人に、悪戯をしてしまいました。その罰として、僕は、こういうみじめな写真を撮られてしまいました。でも、僕はそれが、嬉しいんです。僕はマゾで、女の人にいじめられるのが嬉しいんです」
言って純は、涙に潤んだ目を京子に向けた。
「きょ、京子さん。もう許して下さい。お願いです。縄を解いて下さい」
だが、京子はニコリと笑っただけで、純の哀願に答えない。
「ふふ。純君は本当はマゾで、こうされているのが嬉しいんでしょう」
京子はゆとりの口調で言った。
「さあ。答えて」
京子は問い詰めるように言ったが、純は黙ったまま答えない。
「ふふ。答えなくたって、わかるわよ。こんなに勃起しているは、どうして。本当は気持ちよくて興奮してるからでしょ」
そう言って、京子は、覆いの海水パンツをとって、隆々と勃起している純の、おちんちんを指さした。
だが、純は答えない。
「よーし。じゃあ、答えるまで拷問しちゃおう」
そう言って、京子は、裸で木に縛られている純の体をくすぐりだした。
京子は、触れるか触れないかの軽微な感触で、純の脇腹や首筋、腋の下などに指を這わせた。
また、爪の先でスッと触れたりした。
「ああー」
純は苦しそうな表情で体をよじった。
「や、やめて下さい。京子さん」
純は叫んだが、京子は、容赦しない。
京子は、いっそう激しく純をくすぐりつづけた。
純のおちんちんは、いっそう、激しくそそり立っていった。
「ああー」
純は、大きな悲鳴を上げた。
純のおちんちんから、ピュッピュッと白濁した液が飛び出した。
「ふふ。やっぱり純君はマゾなのね。こんな事されて射精しちゃうんだから」
純は京子の揶揄を受けてもガックリと項垂れている。
「じゃあ、もう縄を解いてあげるわ」
そう言って、京子は木の後ろに廻って、純の縛めを解いた。
純は縛めを解かれて自由になったが、気まずそうにガックリしている。
「はい。純君。ティッシュ」
京子はバッグからティッシュペーパーを取り出して純に渡した。
純は、気まずそうに、おちんちんを拭いた。
「はい。純君。パンツを履きなよ」
そう言って、京子は純に海水パンツを渡した。
純は素直に海水パンツを履いた。
「京子さん。お願いです。写真と声は消してください」
純は泣きそうな顔で訴えた。
京子は、思案げな顔つきで、ちょっと純を見つめた。
「わかったわ。消してあげる。でも、純君は私の写真と声を、もう、送っちゃったでしょ。今度、純君の携帯を私の所へ持ってきて。それまでメールは、操作しないで。今度、会った時、お互い、確かめ合いながら、メールを消しましょう」
「でも、メールはパソコンに送れば、パソコンに保存できますよ」
京子はニコッと笑った。
「そういう正直な事を言うから、純君は悪い子じゃないと、信じてるのよ」
そう言って京子は純の頭を撫でた。
純は雲間から日がさす様に明るい表情になった。
「あ、有難うございます。京子さん」
京子はニコッと笑った。
「純君。私が好き?」
「はい。もちろんです」
「じゃあ、また、会ってくれる」
「はい」
純は元気に答えた。
「でも、今日のような悪戯、また、しちゃうかもよ」
「かまいません」
純は自信に満ちた口調で言った。
「ふふ」
京子は純の頭を撫でた。
「じゃあ、今日は、これで終わりにしよう」
そう言って京子は純の手をとって純の自転車の所へ連れて行った。
純は自転車に跨った。
「ごめんね。プールに行きたいのを引き止めちゃって」
「いいえ。何でもありません」
二人は手を振って分かれた。
二人は、それ以来、仲のいい友達になった。
会うと、二人は色々なエッチな遊びをしている。
浜辺の物語