図書館
ある夏。ある町の図書館で一人の少年が毎日、朝から来ては5時の閉館まで熱心に勉強している。彼の名前は山本純。純は、体力がなく、内気で、性格が暗く、友達も一人もいない。運動も全くダメ。友達とワイワイ楽しくお喋りし、彼女と幸せそうに青春を謳歌している他の生徒を見るにつけ、純は激しい羨望と嫉妬を感じた。もちろん、純の女を求める本能は他の男と同じであった。しかし、スポーツも出来ず、性格も暗い純に彼女など出来ようはずもなかった。
海の好きな純は、ある暑い夏の日、勇気を出して海水浴場へ行った。しかし純は海水浴場に、どうしても入れなかった。海では男も女もセクシーな姿で屈託なく笑い合いながら、ビーチバレーをしたり、水を掛け合ったりしている。皆、小麦色に焼けている。青白いモヤシの体で連れの友達もなく、一人きりでは、どうしても海の家に入ることが出来なかった。海の家の人に、「お前。暗いんだよ。ここはお前みたいなヤツの来る所じゃないんだよ」、と言われそうな気がしてきた。もちろん、現実には、そんな事は言われないだろうが、そういう目で見られるだろう事には絶対の確信を持った。ビーチでは美しい女と男が、荷風の、あめりか物語の「夏の海」のように、思うさま青春を謳歌している。純はしばし、うらやましげに彼らを見た。夕方、一人むなしく、家に帰った。
その日から、純は勉強に打ち込むようになった。将来は、国立の医学部に入ろうと思った。
幸い、純は内向的な性格だったため、観念的な思考に強く、理数科系の科目は得意だった。その上、スポーツも出来ない上、趣味もない。友達がいないため、アソビ方も知らない。畢竟、やる事といえば勉強だけだった。そのため、理数科系に限らず、全ての科目において成績はよかった。ただ、純は生きる目的もわからず、将来の夢もなく、野望もなく、性格が真面目だったため、勉強は受け身でしていただけだった。だが、目的がしっかり出来てからは、持ち前の異常な熱心さも加わって成績は、どんどん伸びていった。
休日は、近くの図書館に行って勉強した。家では、ダレやすくなる。図書館の方が精神に気合が入るのである。
ある日の事。その日も純は図書館に行って、せっせと勉強した。
夕方になった。物理を一区切りおえて、純はほっと一息ついて顔を上げた。純の心臓は思わずドキンと高鳴った。純の前の席では、おそらくはこの世で一番美しいであろうと思われる女性が何かの本を開いて一心に勉強している。ストレートの艶のある黒髪。胸元の開いた、薄いブラウス。そのブラウスの胸の所は、その内側にある大きな乳房によって、大きく盛り上がっている。純は真っ赤になってうつむいた。勉強の続きをしようと思って教科書に目を向けたが、心臓がドキドキ高鳴って、とても集中できない。目前の美しい女性の胸の盛り上がりが気になってしかたがない。純はそれをもう一度見たい誘惑に抗しきれなくなって、彼女に気づかれないよう、数回、うつむいたまま、彼女の胸の盛り上がりをチラッ、チラッと盗み見た。純の興奮は、どんどん激しくなっていった。幸い、彼女は読書に集中しきっていて、純が彼女を盗み見ても、彼女は見られている事に全く気づいていない。純は安心、ほっとして喜んだ。彼女に気づかれる事なく、安心して彼女をじっくり見れるのだ。純はだんだん図にのってきて、彼女の顔をまじまじと見た。整った鼻。キュッと真一文字にしまった口。パッチリした目。全体の調和。それは、この世でつくり出しうる最高の美の形だと純は思った。
閉館10分前のアナウンスが鳴った。彼女は、くしゃん、とくしゃみして、ティッシュペーパーで、鼻をかみゴミ箱に捨てた。彼女は読んでいた本をバッグにしまって立ち上がった。去って行く彼女の後ろ姿を純はしげしげと見守った。華奢なつくりの腕。繊細な指。キュッと引き締まった腰。ムッチリとした量感ある尻。スラリと伸びた脚。それは、この世でつくり出しうる最高の美の形だと純は思った。純は人がいなくなると、そっとゴミ箱から、彼女のかんだ、鼻紙を取り出して、カバンにしまった。
その夜、純は彼女のかんだ鼻紙を開いて、それに染みついている鼻水をまじまじと見つめて、鼻に当てて、その匂いをかいだ。その晩、脳裏に彼女の美しく、悩ましい姿が浮かんできて、純はなかなか寝つかれなかった。
翌日も純は朝から図書館へ行った。純は席について、さっそく勉強を始めた。純は数学や物理は得意だったが、国語や社会は苦手だった。純はデジタル的な思考には強いが、アナログ的な思考には弱い。そのため、数学のような厳密な正確さが要求される科目は得意だったが、物事を大づかみに捉える社会科は苦手だった。また、得意な数学でも、第一問が解けないと、次へ進むことが出来なかった。難しい問題に当たった純は眉間に皺を寄せて、ウンウン考え込んだ。純は疲れて、ふっと顔を上げた。純はドキンとした。純の一つ離れた前方の席に、昨日の女性がいたからである。純は内心、喜んだ。純は時々、彼女を見た。真正面だと、気づかれる可能性があるが、離れていれば安心である。純は勉強に疲れると、彼女をしげしげと眺めた。
次の日は彼女は来なかった。彼女と会える事を楽しみにしていた純はガッカリした。彼女は、来る日もあったり、来ない日もあったり、と、まちまちだった。
もちろん、純は図書館が、閉館した後も家で、机に向かって勉強した。
が、困った事に勉強していると、彼女の姿が浮かんでくる。勉強に集中できない。純は勃起したおちんちんをなだめるように、手で撫でさすった。
ある日、三日つづけて彼女は来なかった。もう、彼女は来ないのだな、と純はさびしい気がした。が、これで勉強に集中できる。集中しようと思った。ケッペンの気候区分をノートに書いて、覚えた。閉館一時間前のアナウンスが鳴った。ちらほらと人々が帰りだした。前の人が立ち上がって、去って行った。それと入れ替わるように、誰か別の人が前の席に着いた。が、純は顔も上げず、勉強をつづけた。一区切りおえて、純はふと何気なく顔を上げた。純は心臓が止まるかと思うほどびっくりして、赤くなった。入れ替わりに席に着いた人は、憧れの女性だったからである。彼女は純を見てニコッと笑った。純は真っ赤になった。さらにびっくりした事に、彼女は立ち上がって、純の席のほうに回ってきた。
「ボク。となり、座っていい」
彼女は笑顔で純に話しかけた。
「は、はい」
純は声を震わせて、小声で答えた。彼女は純の隣の席に着いた。純の体はガクガク震えて止まらない。彼女はカバンから本とノートを取り出して開いた。しばし、彼女は本をじっと見ていた。純はとても勉強どころではなかった。いったい、なぜ、彼女はわざわざ自分の隣に来たのだろう。純は勉強していることを装うため、しゃにむに英単語をノートに書き写した。が、頭が混乱して、とても勉強どころではなかった。
その時、彼女が純の方に身を寄せてきた。純は心臓が破裂するかと思うほどびっくりした。
「ねえ。ボク。わからない事があるんだけど、教えてくれない」
彼女は屈託ない笑顔で話しかけてきた。
「は、はい」
純は顔を真っ赤にして、声を震わせて言った。彼女は椅子を純に近づけて、純の間近に来て。テキストとノートを純の方に寄せた。
「この問題。わからないの。ボク。わかる」
彼女はノートをさし出した。純はびっくりした。それは分数の足し算だった。ノートに1/2+1/3=2/5と、書かれてある。
「あ、あの。分数の足し算は、まず分母を同じにするんです。この場合は、分母を2×3の6にするんです」
そう言って純はノートに3/6+2/6と書いた。彼女はウンウンと言いながら、一心に聞いている。純はつづけて説明した。
「これで、分母で6で同じになりました。から、あとは、そのまま分子を足し合わせるんです」
そう言って純は、3+2/6と書いて、正解の5/6を書いた。
「ありがとう。よくわかったわ」
彼女ニッコリ笑って純が説明した式を自分で書いて純に見せた。
「え、ええ。それでいいんです」
純は恥ずかしそうに言った。
「ねえ。ボク。他にも解らない所があるんだけど、教えてくれる」
「え、ええ。僕にわかる事でしたら」
純は少し、緊張が解けて、笑顔で言った。
彼女は、因数分解や対数関数について、テキストを開いて聞いた。純は図や数式を書いて、丁寧に教えた。彼女は、ウンウンと肯きながら、一心に純の説明を聞いた。聞きおわると、彼女は。
「ありがとう。よくわかったわ」
と言って、ペコリと頭を下げた。
「これからも、解らない事、聞いていい」
「は、はい」
純は照れくさそうに返事した。
「私、柏木愛子。××女子短期大学の一年。バカだから数学が全然わからなくって・・・」
そう言って彼女は、テヘヘと笑って舌を出した。
「ボク。名前は」
「山本純と言います」
「ふーん。いい名前だね」
愛子は、しばし微笑して純の顔を見ていた。
「ボク。以前から、私をじっと見てたでしょう」
純は真っ青になった。青天の霹靂だった。
「ゴ、ゴメンなさい」
純は真っ赤になって頭を下げた。愛子はクスッと笑った。
「いいわよ。別に」
純は答えられない。プルプル全身を震わせている。
「もしかして、私に好意を持ってくれてたりして」
愛子は独り言のように言った。純は顔を真っ赤にして黙っている。
「おしえて」
愛子は震えている純の手をギュッと握った。
「は、はい。その通りです」
愛子はクスクス笑った。
「嬉しい。ボクのような、可愛くて頭のいい子に想われてたなんて」
「そんな事ないです。僕、可愛くなんかないし、性格も暗いです」
「そんな事ないわ。純君はすごく、可愛いわ。それに性格もすごく純粋だわ。一目見ればわかるわ」
純は顔を赤くして黙っている。
「純君。教えてくれたお礼をしたいわ。それと純君と友達になったお祝いも。腕によりをかけて、おいしい料理をつくるから、食べてってくれない。私、頭は悪いけど、料理は得意なの」
「は、はい」
純は小声で答えた。
「うれしい」
愛子は純の手をギュッと握った。
閉館十分前の館内放送が流れた。
「じゃあ、行こう」
愛子は純の手を掴んで、図書館を出た。
駐車場には白のカリーナがあった。愛子は、純を乗せた。
車は勢いよく走り出した。
夏の5時はまだ昼間のようである。
車は少し、市街を走った後、ある高層マンションについた。
愛子の部屋は10階だった。2DKで、きれいに整っている。
「じゃあ、純君。料理をつくるから食卓で待ってて」
純は食卓についてカタカタ膝を震わせていた。キッチンではジュージュー調理している音がする。料理はデミグラハンバーグとロールキャベツだった。
「純君と友達になったお祝い。カンパーイ」
純は恥ずかしそうに食べた。食べ終わった後も純は緊張して、俯いてじっと座っていた。そんな純を愛子は頬杖をついて、笑顔でじっと見ていた。
「純君。彼女はいる」
「い、いないです」
「でも女の子には、人一倍興味あるでしょ」
「は、はい」
「それじゃあ、つらいでしょ。純君の年頃は一番、性欲が盛んなときだもの」
純はうつむいている。愛子はつづけて言った。
「じゃあ、マスターベーションの回数が多いでしょう。週に何回くらいするの」
純はつぶらな目を愛子に向けた。
「あ、あの。愛子さん。マスターベーションって何でしょうか」
愛子は目を丸くした。
「ええっ。純君。マスターベーション知らないの」
愛子はあきれた顔で純を見た。
「え、ええ」
「おどろいた。純君の年頃でマスターベーション知らないなんて純君くらいよ」
「な、何となくはわかります。広辞苑を引いたら、手淫とか自慰とか、書いてありますから、性的な行為なんですよね。きっと。みんなも何だか卑猥な口調で、マスとかカルピスとか、さかんに言ってますから」
「やり方は知ってる」
「し、知りません。性に関する本を何冊も読んでみましたが、どれにも書いてないです」
「それはそうよ」
愛子はあきれた顔で純を見た。
「それじゃあつらすぎるわよ。勉強してても集中できないでしょう」
「え、ええ」
愛子は純をじっと見ていたがニコッと笑った。
「じゃあ、私が純君の性欲処理のためのオモチャになってあげるわ。私でいい」
純は真っ赤になった。
「私じゃイヤならいいわよ」
「い、いえ。あ、あの、その、最高に幸せです」
純は頬を真っ赤にして言った。
愛子はクスッと笑った。
「じゃあ、純君。来て」
と言って、愛子は、純をとなりの寝室に連れて行った。六畳の部屋に布団が敷いてある。
「さあ。純君。何をしてもいいわよ」
そう言って服を着たまま愛子は布団の上に横になった。
純は鼻息を荒くしながら愛子を服の上から丹念にくまなく眺めた。純はプルプル震えている。純は愛子の髪の匂いをかいでみたり、女の美しい顔をじっと見たり、太腿や胸の隆起を見入っていた。生まれてはじめて接する女の匂いに純は興奮していた。スカートをそっとめくって中のパンティーを眺めた。理想的な形の盛り上がりが見える。愛子は体をくねらせて、媚態の悩ましげなポーズをして、
「ああん」
と言った。
愛子は眉を寄せ、喘ぎ声を時々上げた。
「あ、愛子さん。触ってもいいですか」
純にとっては相手の同意を得ることが当然の道徳だった。
「いいわよ」
愛子は笑って許可した。純はそっと愛子の胸や顔や、柔らかい肉を触れた。なるたけ相手に、いやらしくないように。が、初めて触る女の柔肌は弾力があって温かく、つきたての餅のようで、純は頭がボーとしてしまった。愛子は純に身を任せている。
「純君。脱がせて」
そう言って愛子はブラウスの一番上のボタンをはずした。そしてあとは純にまかせた。純は女というものが恐ろしかったため、その機嫌を損ねるのが怖かったため、「脱がせて」という愛子の要求は義務感となった。純は恐る恐る愛子のボタンをはずした。靴下も脱がせ、スカートのチャックも震える手で外した。が、愛子は床に寝ているので服を脱がすことは出来ない。愛子は笑って起き上がり、純が愛子の服を脱がせるようにバンザイして手伝った。純は愛子の上着を抜き取った。愛子は腰を浮かして、
「さあ。スカートも脱がせて」
と催促した。愛子はブラジャーとパンティーだけになり、行儀よく腿をピッチリ閉じ、半身を起こしている。純は一瞬、「人魚姫」の像をそこに見た思いだった。愛子は微笑した。
「さあ。ブラジャーのホックをはずして」
純は愛子の後ろに回って、ブラジャーのホックをはずした。留め金をはずされたブラジャーとパンティーという姿のまま、愛子は再び床に横になった。
「いいわよ。好きな事をして」
ふっくらした胸の隆起。しなやかにつづくくびれたウェスト。雨垂れに穿たれたような落ち窪んだ縦長の臍。コンビニの週刊誌で見る女の美しい肉体の実物を自分は今、目の前にしているんだと思うと純はこんな事があってよいものかと、思いながら、これが現実なのかと思って頬っぺたをつねってみた。痛かったのでこれはまぎれもない現実なのだ。と確信する事にした。自分は今もう死んでもいいと思った。自分に絶対与えられないと信じていたものが与えられたのだから。
「さあ。純君。好きな事をして」
愛子が再び促した。
「い、いいんですね」
純は緊張しながら聞いた。純は男が女の体に触る事を女は嫌がるものだと信じていた。少なくとも京本政樹のような美形で、女が男を熱烈に愛しいてるような場合でなくては。だめだと思っていた。自分のような醜貌が愛子のような美しい女に触れるのは罪悪に等しいと思っていた。が、愛子の笑顔はどう見ても自分を嫌っていない。どころか好いているようにしか見えない。
とうとう純は、
「ああー。ごめんなさい。愛子さん」
と叫んで愛子にむしゃぶりついた。罪悪感はさほどなかった。女の指示に従うことは純にとって絶対的な義務でもあったから。純の心は完全に開放されていた。その行為の教科書というものは無い。本能のままの独創に頼るだけである。純は愛子を貪った。はたして、その行為には正しい手順というものがあって、自分はその手順を誤ってはいないかという疑問が純の心の後ろ髪を引かれる思いもした。が、そんな考えも一瞬で吹き飛んだ。純は裸になった愛子の首筋にキスした。口唇にはキスしなかった。というより出来なかった。純はキスという行為が嫌いだった。自分のような醜い男が女にキスするのは女がかわいそうだと思っていた。
純にとって女とは冒してはならない神だった。男はひたすら神たる女に尽くすしもべだった。実際、純は美しい女優の写真を前にすると畏敬の念が起こるのだった。が、いくらなんでも女は肉体を異性に愛撫されて快感を得る事は知っていた。ので、純は自分のような者でもいいのなら。ので、極力、愛子が快感を得る事が出来る奉仕者のように愛撫した。愛子が快感を得たいと望んだ期待の形を絶えず考えながら。
首筋の次は、当然男がまず行く乳房へ純も行った。フックのはずれたただ載っているだけのブラジャーもエロチシズムを醸し出した。純はそれをそっとめくった。ふくよかな丘の上の乳首を指でコリコリさせた。
「ああん」
愛子は、切なそうな喘ぎ声を出した。
純は餅のように体に張り付いている乳房をまず、優しく揉んだり、こぼれそうな輪郭をなしている外側に手を当ててその感触を楽しんだ。純は手のかわりに今度は口唇で乳首の感触を楽しんだ。口唇を手のかわりにして、口の中で転がしたり、つまんだりした。離すと円錐形の乳房が元の鏡餅に戻った。純は出来る事ならいつまでもこのかわいい乳首を弄んでいたかった。その遊戯は永遠につづけても厭きない甘美な遊戯だと思われた。乳首ははっきりとした屹立を示していた。純はもどかしそうに屹立したそれを舌で転がしたり、吸ったりした。何度もそんな事をしては、離れてしげしげと眺めた。それは純の唾液でぬらぬらしていた。純は自分の唾液がなぜか粘つく性質になったのに少し驚いた。純は乳首を口に含み、そっと歯で挟んでみた。
「ああん」
愛子は眉を寄せ、喘ぎ声を洩らした。愛子の媚態が本心なのか、純を興奮させるための演技なのか純にはわからない。ただ、前歯でもっと強く噛むことも出来るのに、それをしないか、するかの意志が自分にあることが面白かった。
それから、純はだんだん下へと下降していった。腹を触ったり、臍の穴を舌で舐めた。
「ああん。くすぐったいわ」
愛子が笑って言った。いよいよ、純は、パンティーに行った。女の肉をピッチリとおさめたパンティーが、形のいい盛り上がりをつくっている。それは今まで純をずっと、悩ましてきたものである。
「愛子さん。触ってもいいですか」
純は遠慮がちに聞いた。
「いいわよ」
純は、パンティーの上をそっと、触ってみた。弾力ある柔らかい肉の感触に、純はボーとなっていた。しばし、純はその感触に我を忘れていた。愛子は、ふふふ、と笑った。
「純君。紐をはずして」
言われて純はパンティーの横紐を解いた。横紐のはずされたパンティーは、ただ、薄い布がのっているだけで、全くの無防備である。
「さあ。純君。パンティーをとって」
言われて純は、そっと、パンティーをめくった。女の毛はきれいに剃られている。女の肉の下の方からは、閉じ合わさった割れ目が、太腿の方へ隠れるようにつづいている。
純はゴクリと唾を飲み込んで、じっとそこを眺めていた。
愛子は、そこを手で覆って、膝を立て、足を開いた。手で覆っているため、そこは見えない。
「純君。あんまり見ないでね」
そう言って、愛子はそっと手をはずした。純はゴクリと唾を飲み込んだ。そこは、生まれてはじめて見る所だった。純は観察するように、そこを固唾を呑んで見つめた。そこは、純が予想してた形とは違っていた。鶏の鶏冠のような、黒っぽい襞が合わさっている。純は、はじめて見るそこをまじまじと顔を近づけて眺めた。
「ああん。恥ずかしいわ。あんまり見ないで」
愛子は、顔を赤くして、目を瞑って、両手で顔を隠した。
愛子に見られていないのをいい事に、純は、そこをしげしげと、見つめた。
「純君」
「はい」
「いいわよ。何をしても」
両手で顔を覆った愛子が、言った。
言われて、純は、そっと、黒い襞を触ってみた。そして、そっとそれを、開いてみた。襞の中は、外と違って、赤く、すべすべしている。それは体内の肉だった。
「純君。そこを、指で触って」
言われて、純はそこを指で触った。
「ああ。いいわっ。気持ちいい」
純が、そこを指で撫でていると、だんだん、ヌルヌルしてきた。
愛子は、顔を覆っていた手をはずした。
「純君。下の方に、穴があるから、指を入れて」
愛子に言われて、純は、下の方をまさぐった。キュッと閉まった所がある。そこに純の指が触れると、愛子は、
「そこよ。指を入れて」
と言った。純は言われるまま、指をそっと、立てて押し込もうとした。ヌルヌルしているので、指はスッと入った。穴は入った指を離さないように、キュッと閉まった。女の体にこんな所があることを知った純は驚いた。純はしばし、そのままじっとしていた。
「純君。指を動かして、あちこち、触って」
言われて、純は、指を動かした。だんだん、触れている所がヌルヌルしてきた。
「ああっ。いいっ。気持ちいい」
愛子は、眉を寄せ、切なそうな声を出した。しばし純は、愛子に言われたまま、指で刺激しつづけた。
「もういいわ。純君。一度、指を抜いて」
「はい」
純は、指を抜いた。粘々した粘液が、愛子のそこにも、純の指にもべったりついている。純は、ティッシュで、それをきれいに拭いた。
「さあ。純君も裸になって」
「はい」
純は、言われるまま、服を脱いで裸になった。シャツとズボンを脱ぎ、Tシャツとパンツも脱いで、丸裸になった。
「さあ。純君。これから、童貞を捨てて大人になるのよ」
愛子は、そう言って、純の手を掴んで、純を抱いた。しばし、純は、愛子をガッシリと抱きしめていた。愛子は、純のおちんちんや金玉を触って、そっとしごいた。
「あっ」
純は声を上げた。純のおちんちんは、硬く勃起した。
「純君。きて」
愛子は純の手を掴んだ。そして床の上に寝て、膝を立ててM字になった。純は何をしていいかわからずオロオロしている。愛子は黒い鶏冠の肉を手で大きく開いた。
「さあ。純君のおちんちんをここに入れて」
そう言って愛子は亀裂の下の方を開いた。愛子が純の腰を引っ張って促したので。純は愛子の示した所におちんちんの先を当てた。
「さあ。おちんちんを入れて」
言われて純は押し込もうとした。そこに体内へつづく穴があるのはさっき指を入れたので知っている。が、穴はキュッと締まっているので容易には入らない。二、三回ためした後、純はあきらめた。
「愛子さん。ダメです。入りません」
情けなさそうな声で純は言った。
「純君。頑張って。男の子なら誰でも出来ることなのよ」
「でもキュッと締まってて入りません」
「入れにくいのははじめだけよ。入ってしまったら後は楽よ」
純は指で赤い肉を触って穴の位置を確かめた。確かに穴は締まっているけどある。純は穴におちんちんを押し当てたが、入らない。
「純君。指を入れて」
言われて純は指を入れてみた。指なら楽に入った。純が穴の中を指でいじっているうちに穴の中の肉がヌメヌメしてきた。
「ああん。気持ちいいわ」
愛子は眉を寄せてブルッと体を震わせた。
「もっとやって。純君。濡れてくるから入れやすくなるわ」
言われたように純は穴の中に入れた指を、さかんに動かした。愛子は、
「ああん」
と声を洩らした。女の赤身の肉はもう十分ヌメヌメしている。
「さあ。純君。指を抜いて、おちんちんを入れてみて」
言われて純は指を抜いて、おちんちんを強くそこに押しつけた。
ついにそれはスポッと穴の中に入った。
「やったー」
純は思わず声を出した。
「やったね。純君」
愛子も笑顔で祝福した。愛子の言ったとおり、入ってしまえば後はもう楽だった。
「これでやっと純君も大人になったわね」
「痛くなかったですか。愛子さん」
「ううん。全然」
優しく扱うべき女にこんな力任せな強引な事をするなんて世の中はなんて無神経なんだろうと純は思った。
が、ともかく今は理屈っぽい事を考えるのはやめようと思った。純は頭を空白にした。一度入ったおちんちんを離すまいとするかのごとく、さっき苦労した穴の入り口はキュッと閉まって、有り難くもはなさない。純は愛子の体の上に体をのせ、目を瞑った。
「ああ。自分は今、愛子さんとつながってるんだ」
征服感は起こらなかった。あるのはただ、女との完全な結合感の嬉しさだった。純は出来る事なら、いつまでもこうしていたいと思った。純はそっと目を開いて愛子を見た。愛子の無言の微笑も純の今の心境を理解しているように思えた。純は右手で愛子の左手を掴んだ。男のゴツイささくれだった指とは全く違った、しなやかで繊細な女の指。それはやさしさと美を備えていた。純には女の手が芸術品のように美しく思われた。それはピアノの鍵盤の上を軽やかに踊って、美しい音色を奏でるのにふさわしいと思った。そしてそれはそれ以外の用途(たとえば重い荷物を持ったり、ハンマーを持ったりすること)には使われるべきではない手だと思った。純が自分の指を愛子の指の間に通すと愛子は、しっかりと純の手を握った。
「ふふふ」
と愛子は笑った。しなやかな手がしっかりと純の手を握っている心地よさを純は味わった。突然、愛子の親指が純の親指をギュッとおさえた。愛子のこの予告なしの指相撲に純は不意打ちを食わされて驚いた。抜けようと少し力を入れてみると愛子はギュッと力を入れてそれを阻止した。この戯れにむきになるのは無粋である。純は時々、ほんの少しの力で、抗うふりをした。瞬時に愛子がギュッとおさえる。そして純は少しもがいた末、ついにあきらめた。純にはこの戯れが心地よかった。それは泥棒ごっこで女に取り押さえられた男が感じる心地よさだった。純は、おちんちんと手の二つで愛子に取り押さえられている事の快感を感じていた。もはや愛子が完全に指の力を抜いても純は抜けようとはしなかった。愛子は、
「ふふふ」
と笑って、両手を純の背中に回して抱きしめたり、優しく髪をなでたりした。
「どう。純君。今の気持ちは」
「幸せです。最高に気持ちいいです」
「純君。体を起こして」
言われるまま純は体を起こした。腕立て伏せのように、純は両腕を突っ張った。そして愛子を見た。愛子は、
「ふふふ」
と笑って。つま先を立てて純の体をそっと撫でた。そのうちにあけすけに擽りだした。脇下の窪みをくすぐった。
「ああっ」
純は切ない声を洩らした。
「ふふ。純君はこうやって擽られると一番興奮するんだ」
その通りだった。純の怒張は激しくなった。
「さあ。純君。腰を動かして。おちんちんを揺すって」
言われるまま、純は腰を動かした。愛子にしっかりと締めつけられながら、擦れあう感覚が気持ちよくなってきた。愛子は純の玉袋をつかんで、掌の中で揉んだ。
「ふふ。プニョプニョしてて気持ちがいいわ」
「ああっ」
純の興奮はますます激しくなる。愛子は純の玉を弄んだり、体を擽ったりした。純の興奮はますます激しくなっていく。
「純君。もっと激しく腰を揺すって。おちんちんを動かして」
「はい。愛子さん」
何かが体の外へ出ようとしている。それは、苦しい甘美な感覚だった。
「ああっ。愛子さん。何かが出そうです」
「いいわよ。出して」
純は自然と腰の振動を強くしていった。愛子は時々スッと純の体をくすぐる。その度に苦しい感覚はますます高まる。
愛子は純の尻の谷間を指でスッとなぞった。
「ひー」
純は思わず悲鳴を上げた。
純は苦しい甘美な刺激に眉を寄せ、苦しげな声を出した。尻がプルプル震えだした。愛子は純のすぼまった尻の穴にピタッと指先を当てた。
「ああー」
愛子はしばし、すぼまった尻の穴の上を撫でていたが、指先をスッと垂直に立てて、穴に押し入れてきた。
「ひいー」
純は悲鳴を上げた。
ついに純は体内から何かが放出する感覚に襲われた。
「ああっ。愛子さん。出るー」
純は悲鳴を上げた。溜りに溜まっていたものが勢いよく放出された。ドクドクと放出された。純は征服感を感じていた。精液が愛子の体内に隅々まで広がり、自分の精子が愛子の卵子に着床して二つが一体化する事を純は望んだ。出し切った後、純は最高の満足感を味わった。その余韻がしばし残ってそれに浸っていたが、波が引くように徐々にその快感は薄れ、ついにもとの落ち着きを取り戻した。純は倒れるようにガックリと、愛子の上に体を乗せた。しばし、そのままでいた。
「どう。気持ちよかったでしょう」
「はい。愛子さん」
「どんな気持ちだった」
「はい。僕の精子が愛子さんの卵子にくっついてほしいと思いました」
愛子は、
「ふふふ」
と笑った。
「これでやっと純君も大人になったわね」
しばし純は愛子の上で目を瞑っていた。が、愛子が急くように言った。
「さあ。後始末をしましょう。いつまでも、こうしているとまた興奮してくるから」
そう言って愛子は純の背中をポンと叩いた。純は、
「はい」
と言って、おちんちんを抜いて、愛子から離れた。純のおちんちんは愛子の愛の粘液でぬらぬらしていた。愛子はティッシュペーパーで純のおちんちんを拭いた。
「さあ。シャワーで洗って、きれいにしよう」
「はい」
愛子は純をシャワー室に入れた。愛子は、石鹸を泡立てて、両手で純のおちんちんや金玉に丁寧に泡をつけた。純のおちんちんは見る見るうちに再び、硬くなって、そそり立ってきた。愛子は、それを見て、ふふふ、と笑った。愛子はシャワーで、汗をかいた純の体を流した。おちんちんも丁寧に流した。流し終わると、
「さあ。純君。バスタオルがあるから体を拭いて、待っててね」
「はい」
純はバスタオルで体を拭いて、部屋に戻った。パンツだけ履いて、正座して愛子を待った。
愛子はセクシーな黒のビキニの水着を着て戻ってきた。純はそれを見ると、
「うっ」
と声を洩らした。純のおちんちんがまた硬くなり始めた。愛子はいろいろなポーズをとって、純を挑発した。そして純の前に横たわった。
ビキニは裸以上に女の体を美しく演出した。その弾力によって。そのくっきりとした輪郭によって。その秘匿によって。
「ああ。愛子さん。好きだ」
純は叫んで、ビキニの愛子にしゃぶりついた。鼻先を女の丘に当て、クンクン嗅いだり、口唇であちこちをまさぐった。純が尻に手を触れると、愛子は気を利かせて体を横にして、膝を折り、尻を触れやすいようにした。純は尻にキスしたり、触ったり、心ゆくまで愛子の大きな尻を味わった。それから太腿の弾力を丹念に楽しんだ。水着の上から胸を触ったり、手の指を口に含んだり、髪を梳かしたり、髪の匂いを嗅いだりした。愛子はされるがままの人形になっている。
「ああっ。愛子さん。幸せです」
純は叫んだ。純にとって、浜辺で挑発的なビキニの女はこの世で最もうらやましい、そしてもっとも純を悩ませる、絶対手のとどかない夢だった。その夢が今、目の前に確実に横たわっているのである。純は我を忘れて思うさま貪った。愛子は純にされるがままになっている。愛子は、うつ伏せになった。
「純君。マッサージしてくれない」
「はい」
純は足の裏から、首まで、力を込めて一心に指圧した。
「ああ。気持ちいい」
愛子は、気持ちよさそうな笑顔で目を瞑って、純に身を任せている。だんだん、筋肉の緊張がなくなって、全身がだらんとなった。顔の表情もなくなって、すーすー寝息が聞こえてきた。純は指圧をやめて、そっと愛子の顔を盗み見た。口が半開きになって、どう見ても寝てるように見える。これ以上の刺激的な状況があるであろうか。セクシーなビキニ姿の女が目の前で寝ているのである。純のおちんちんは、びんびんに勃起していた。純は、そっと、ビキニの上から、愛子の尻や太腿を触った。反応が無い。やはり愛子は寝ているのだ。純は愛子の体のあちこちを触りまくった。
しばしして愛子がムクッと起き上がった。
「純君。マッサージありがとう」
愛子はニコッと笑って言った。
「私が寝てる間にエッチな事したでしょう」
「ご、ごめんなさい」
純は真っ赤になって謝った。
「私、狸寝入り、上手いんだから」
純はますます赤面した。
「純君。今度はSMごっこしない」
「は、はい」
「私を縛っていじめたい。それとも私にいじめられたい。私はどっちでもいいわよ」
「あ、愛子さんに、いじめられたいです」
これは純にとって当然の選択だった。
「そうよね。純君のような優しい子が、女の子をいじめる姿なんて、とても想像できないわ。純君は本当はマゾなんでしょう」
「は、はい」
「じゃあ、私が女王様になるから、純君は私の言う事には何でも従う奴隷になるのよ」
「は、はい」
「私、けっこうハードよ。いい」
「は、はい。愛子さんのような素敵な人になら、何をされても幸せです」
「そうよね。純君のような、おとなしい子は、本当は女の子に生まれたかったんでしょう」
「は、はい。そうです」
「じゃあ、純君を女の子のように、うんといじめてあげるわ。覚悟しなさい」
「は、はい」
愛子は、ふふふ、と笑った。
愛子は箪笥から下着を出すと、それを純につけた。ブラジャーを着け、横紐のパンティーをつけた。
「ああっ。何をするんですか。愛子さん」
「ふふ。痴漢した罰」
愛子はそう言って、純を後ろ手に縛り、片方の足首を縛って、吊り上げた。
「ああっ」
愛子は純に見られないようにキッチンに行って、水着を脱いで、下着にかえた。そしてフレアースカートと白のブラウスを着た。そして椅子を持ってきて、純の前に座り、パンティーとブラジャーを着けさせられて、片足をつられて横になっている純をしげしげと眺めた。
「どう。女の子になった気持ちは」
愛子は笑いながら言った。もう純にためらいはなかった。
「し、幸せです」
純は言った。
「そうよね。純君は本当は女の子になりたいのよね」
そう言って愛子は純の顔を足で踏んで揺り動かした。純の顔は歪んだ。
「ああー。幸せです。愛子さん」
「ふふ」
愛子は悪戯っぽく笑った。愛子は閉じた純の口唇を足の親指を割り入れた。
「さあ。きれいにお舐め」
純は頬を赤らめながら、愛子の足指をペロペロ舐めた。
「どう。今の気持ちは」
「し、幸せです。最高に」
愛子は箪笥からパンティーを持ってくると純の顔にかぶせた。女のそこが純の鼻に当たるように。
「どう」
「す、素敵な匂いです」
愛子はパンティーをとった。純の顔は紅潮している。愛子はとっくに勃起している純のおちんちんをパンティーの上から足でグリグリ踏んだ。
「ああー」
「どう。こうされて、どんな気持ち」
「し、幸せです。最高に」
愛子は洗濯バサミを持ってきた。愛子は純のブラジャーを外し、パンティーの横紐をほどいてパンティーを抜きとった。それは隆々と勃起していた。愛子はティッシュをよじって紙縒りをつくり、純の尻の穴をスッとなぞった。純は、
「ひいー」
と悲鳴を上げ、尻の穴をすぼませた。純は尻の穴を責められないよう、尻に力を入れた。その結果、体が反って、おちんちんが丸出しになった。愛子は笑いながら、おちんちんをゆっくりしごいたり、玉をつかんで荒々しく握ったり、引っ張ったりした。
「どう」
愛子はそっけなく聞いた。
「い、痛いです。お願いです。許して下さい」
純は目に涙を浮かべながら言った。
「そう。じゃ、許してあげる。そのかわり、私の言うことは何でもきく」
「は、はい」
愛子は遠慮なく純の顔の上にどっしりと尻を載せた。
「どう。重い」
「は、はい。でも幸せです」
「ずっとこうしてようかしら。いい。純君」
愛子はゆとりを示すため、タバコを取り出して一服した。だんだん重さに耐え切れなくなってきたので純は蚊の鳴くような小さな声で、
「あ、愛子さん。お許し下さい」
と言った。愛子は、
「ふふふ」
と笑って、
「じゃ、許してあげる」
と言って、立ち上がった。愛子は純の乳首に洗濯バサミをつけた。できるだけ痛くなるように肉を薄くつまんで。
「ああー」
純の悲鳴。
「ふふ。もっと面白い所につけてあげるから」
愛子はそう言った。愛子は純の玉袋を薄くつまんで洗濯バサミを取り付けだした。
「どう。純君」
「い、痛いです」
「ガマンしなさい」
「は、はい」
愛子はどんどん純の玉に洗濯バサミをつけていった。
「ああー」
純は悲鳴を上げた。愛子は、
「ふふ」
と笑って、等身大の姿見の鏡を持ってきて。純の前に横にして置いた。
「ほら。純君。自分の姿を見なさい」
愛子は目をそらしている純の顔をつかんで鏡へ向けた。そこには乳首と玉に洗濯バサミをつけられて、片足を高々と吊り上げられている惨めな自分の姿があった。純は思わず目をそらした。頬は真っ赤になっている。愛子は玉に洗濯バサミをパチンとつけた。
「ああー。痛いっ」
純は叫んだ。
「しっかり自分の姿を見なさい」
純はしかたなく鏡を見た。
「ふふ。どう。感想は」
「み、みじめです」
愛子は立ち上がって、純の顔を踏んづけた。
「ふふ。ほら。どう」
「み、みじめです。恥ずかしいです」
愛子は腰に手を当てて、タバコを揉み消すようにグリグリ足を揺すった。それは餓鬼を踏みつけている四天王の図だった。
「でも恥ずかしいだけじゃないでしょ」
「は、はい」
「本当は嬉しいんでしょ」
「は、はい」
「ふふ。秀才で勉強が出来てもこんな事されて喜ぶ変態じゃあね。密室の部屋の中で、私と純君の二人きりだからいいけれど、クラスのみんなが純君のこんな姿を見たらどう思うかしら」
愛子は笑いながらグリグリと純の顔を足で揺すった。
「ああー。愛子さん。もっと言って下さい。もっとみじめにして下さい」
純は被虐の法悦境にいた。愛子は、ふふ、と笑った。愛子は、蝋燭を持ってきた。愛子は屈んで純に見せつけるように、蝋燭に火を灯した。純の顔が怯えている。愛子はゆっくりと蝋燭を純の肩の上で傾けた。火であぶられた蝋が溶けてポタリと蝋が雨粒のように落ちた。そして純の肩をピシャリと打って円盤状に、ひしゃげて純の肩に張りついた。
「あっ。熱いっ」
純は肩を揺すぶった。愛子は立ち上がると蝋燭を傾けたまま純の体の上を隈なく移動させた。蝋涙は容赦なくポタポタ落ちていく。蝋涙の斑点がどんどん純の体で数を増やしていく。純は、
「熱い。熱い」
と叫びながら、身をくねらせている。愛子は屈みこんで、
「大丈夫よ」
と言ってイタズラッぽく、こびりついている蝋涙の一つを爪先でペリッとはがした。愛子は笑いながら、位置を変え、純の股の前に屈んだ。愛子はポタリ、ポタリと純の玉に蝋を垂らした。「ああー。熱いー」
純は叫び声を上げた。
「ふふ。男の子の生殖器は熱に弱いから、わざわざ体の外に出ている事、純君も知ってるでしょ。蝋ほどの熱なら確実に生殖機能がダメになるわ。純君の生殖器をダメにしちゃおっと」
そう言いながら、愛子はポタリ、ポタリと蝋を純の玉に垂らしていった。蝋は玉袋にどんどん斑点となって、さらにその斑点の間に蝋が垂れ、玉は蝋で埋まってしまった。
「あ、愛子さん。許して下さい。僕、本当に怖いんです」
純がそう言っても愛子はやめない。
「ふふ。いいじゃない。生殖機能がダメになって性欲がなくなればもう女の子に悩まされることなく勉強に集中できるじゃない」
玉に蝋を垂らされて、本当に生殖機能がダメになるのか、あるいはどの程度、本当に損傷を受けるのか、純には分からない。泣きそうな顔を愛子に向けている。
「どうしてイヤなの。答えなさい」
愛子は叱るように言った。純は答えられない。ただ許しを乞う瞳を愛子に向けている。
「ふふ。わかるわよ。エッチな事が出来なくなるのがさびしいんでしょ」
答えるまで、やめないからね、と言って、愛子は蝋を垂らしつづけている。純は口を震わせて、
「は、はい。そうです」
と答えた。
「ふふ。やっぱり純君はエッチな子なのね」
と言って、愛子は蝋燭の火をフッと吹き消した。
「あ、愛子さん。本当に僕、ダメになってしまうんでしょうか」
「さあ。それは分からないわ。大人になった後なら大丈夫だけれど、成長期にやったら本当に生殖機能がダメになっちゃうかもね」
そう言って、愛子は玉一面にへばりついた蝋を崩れないようペリペリと、はがした。それは純の玉の鋳型になっていた。愛子はそれを目の前に置いた。
「はい。純君の玉の鋳型。純君の生殖器がダメになった記念としてとっておく」
愛子は悪戯っぽく言った。純は半泣きである。
「あっ。男の子は泣かないんだよ」
と言って、愛子はハンカチを取り出して純の涙を拭いた。
「あっ。そうか。もう純君は男の子じゃないんだ」
と言って、笑った。しかし純があまり涙をこぼしているので、
「大丈夫よ。大人も成長期も関係ないわ。蝋の熱くらいでダメになったりなんかならないから、安心して」
と言って、純の顔を膝の上に載せて優しく髪を撫でた。
図書館