短々落語「いくよ餅くるよ餅」
400文字以内のショートショート落語臭
「いくよ餅くるよ餅」
てぇへんだご隠居、与太郎が貰ったくじに当った
それは「棚からぼた餅」、棚ぼただねぇ
何だいそれは
苦労なく思いがけずに幸運に会うという諺じゃ
(熊さん八つぁんを訪ね)
どうしたんだい八つぁん、餅を神棚に飾って
ご隠居に与太郎の事を話したら棚ぼたって聞いたろ、で棚からぼた餅が落ちるのを待ってるのさ。
馬鹿だなぁ八つぁん、それより「開いた口にぼた餅」も棚ぼたと同じだってさ、でほら餅を沢山買ってきた、こいつをおいらの口へ放り込んでくれねぇか。
合点(二人表へ出ます)
八「いくよ餅、それ」(口目掛け投じます)
熊「くるよ餅」(ペタ、額に当ります)
八「もう一度、いくよ餅、それ」
熊「くるよ餅」(又々失敗、とそこへご隠居が)
何やってんだい?
八「開いた口にぼた餅を実践中でさぁ」
熊「そう、いくよ餅くるよ餅、ってね」
二人ともいい歳して与太郎に焼き餅焼くんじゃないよ
ご隠居、目が悪くなったのかい、焼いてるんじゃないよ、投げてるんだよ
短々落語「いくよ餅くるよ餅」
お後がよろしいようで。