密会

 夏の星座だけが、すべてを、しっているみたいな表情で、ぼくらをみおろしている。夜の、朽ち果てた街の、廃墟のかげで、ぼくは、きみと出逢い、心臓をあたえて、あたえられて、かわされた愛だけが、いつまでも宙ぶらりんのまま、そこにあって、太陽のしたでは、ぼくらはどこか他人行儀で、水をもらえなかった、かわいそうな花がしにかけている、花壇のまえで、たばこを吸っているきみは、まるで、ちがう世界のひとみたいだった。
 ブルーハワイのかき氷をたべて、海を想ってる。
 いままでたしかに、そこに、生きていたものたちがいた気配のする場所で、まだ、肉体をじゅうぶんにたもった状態の、ぼくと、きみが、どうしたってひとつになれないのに、ふたつのからだをかさねて、皮膚をこすりあわせ、摩擦したところから、もっと、やわらかなつながりができて、そこから、中身がまざりあえばいいのにと、ばかみたいにひっしになって、愛をしている。いっそ、獣みたいだと嗤ってくれ。

密会

密会

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-07-27

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