この唾棄すべき感傷、感傷、際限のない感傷…

いつから俺は繋がれている?いつから俺は侵されている?いつから俺は…

俺は光に欺かれた被験者、翅を奪われた紋白蝶、寝台に咲く一輪の桔梗、語られるはずだった物語の断章…

自慰に成り下がった絶望が俺の罪悪。失う前に終わらせるのが俺の不義だった。俺は生来的に囚人だったのだ。もはや如何なる善も、如何なる悪も、俺を夢中にさせはしない、俺を満足させはしない…

俺は最初から破綻することが運命づけられた退屈な悲劇。冗長な悲劇。

雁字搦めの現実。不条理に次ぐ不条理。俺は俺の感傷癖が嫌いで仕方がなかった。

俺は無駄なことを知りすぎた。無駄に信じすぎた。その報いを受けているだけだ。

死に際、俺は一人の人間と交感を持った。それはかつての自分だった。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-07-27

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