鎖
この唾棄すべき感傷、感傷、際限のない感傷…
いつから俺は繋がれている?いつから俺は侵されている?いつから俺は…
俺は光に欺かれた被験者、翅を奪われた紋白蝶、寝台に咲く一輪の桔梗、語られるはずだった物語の断章…
自慰に成り下がった絶望が俺の罪悪。失う前に終わらせるのが俺の不義だった。俺は生来的に囚人だったのだ。もはや如何なる善も、如何なる悪も、俺を夢中にさせはしない、俺を満足させはしない…
俺は最初から破綻することが運命づけられた退屈な悲劇。冗長な悲劇。
雁字搦めの現実。不条理に次ぐ不条理。俺は俺の感傷癖が嫌いで仕方がなかった。
俺は無駄なことを知りすぎた。無駄に信じすぎた。その報いを受けているだけだ。
死に際、俺は一人の人間と交感を持った。それはかつての自分だった。
鎖