優等生
小説に出ている、人物名学校等は一切の関係はございません。
2015年3月20日。まだまだ寒さが残っていた。皆が厚着をして大学の前庭に集まってきていた。今日は大学の合格発表日だ。中でも有名な美坂インターナショナル大学だ。
その中でも紙を見つめているのは、優等生として来た、田中俊紀だ。俊紀は中学校、高校で成績優秀。全ての評価がいつも5だ。テストでは95点は彼にとって、とても悪いほうなのだ。特に理数系が大の得意だった。
隣にいる彼は大の友人、福山京介だ。彼は一般試験を受けたところ、普通に通ったという。京介もかなりの勉強好きだった。
「なぁ、京介。この前の事件知ってるか?あの、ここの子が銃で自殺したってさ。」
「なんでなんだ?」
「過度なストレスが原因だったらしい。」
「それよりさ京介。どうだった?」
「無事通ったよ。お前と一緒に行けるよ。」
「今夜は二人で打ち上げあげだ!!」
しかし、京介は虚しく言った。
「えー。二人で…。ちょっと虚しいよ。」
「別にいいじゃんかよー。」
二人はそういいながら極普通のレストランへ向かった。
「えーと、俺はこのしゃぶしゃぶで。」
「んーどうしよ。じゃ俺は…この人と同じで。」
結局二人とも同じ物を注文した。
「なあ。お前まえやってたあのゲーム進んだか?」
「いや全然。勉強ばっかりだったから…」
「確かに。ま、今日進めとけよ」
「ああ。わかってるさ。」
そして注文していたしゃぶしゃぶが来た。
「ん?。この絶妙な味さいこー!」
俊紀は言い放った。周りの人は呆然としていた。
「おい俊紀!みんなが見てるだろ。恥かしいじゃないか…」
「良いじゃないか。店には打ち上げっていってるんだぞ!」
京介は言った。
「二人だけじゃ打ち上げしてるみたいには見えないよ…」
「いいじゃなか。」
「いいじゃなか、ってなんだよ。ホントに。」
そう二人は話し合っている内に時間は過ぎていった。
俊紀は時計を見た。もうすでに21時を回っていた。
時間は早いものだ、と改めて感じ取ったのであった。
「おい。もうこんな時間だ京介!!早く帰るぞ!」
「ちょっとまってよ?」
二人はレジへ行き精算した。
「二万九千円になります。」
二人は高けーと言い、がっかりしながらお金を払い店を出た。
外は雨が降っていた。
「よし、今日はここでお別れだ!じゃあな京介。」
「おお、おう!また明日大学にてー!」
と言いつつも二人は分かれた。
明日からは早速美坂インターナショナル大学へ行く予定になっている。
俊紀は急いで帰って明日の準備を済ませた。
早速彼は大学で決められていた1年1組の教室へ行った。
しかし、周りに噂として飛び交っていた優等生、俊紀がくると一斉にいやな目線が降り注いできた。彼は嫌な気も全くせずに教室へ入っていった。
ありがたい事に隣は最高の友人、福山京介だった。
席に座った俊紀は、早速京介に声を掛けられた。
「あの目線何だろうな。」
すると俊紀は。
「ああ。俺もとても気になる。」
「大丈夫。心配なんかしなくてもいいから。」
ああ。と言おうとした時前のドアから誰かが入ってきた。
「おはよう諸君!私は今回ここの担任を受け持つ事になった坂間貴久だ。これからよろしく!」
皆はよろしく。と大きな声で言った。
すると貴久は早速。
「では、明日に備えて早速入学式?の練習をするようになっている。では、早速体育館へ移動するから廊下へ並んでくれ。無言でな。」
みんなが並ぶと、隣の女子からこそっと聞こえてきた。
「なあ、あいつうざくない?」
「え誰?モしかして優等生の田中俊紀って言う奴?」
「あー。あいつまじうぜ。邪魔者。消えろって感じ。ははは。」
話している女子が堂々と甲高い声で笑うと、貴久は思いっきり怒鳴った。
「お前らな。さっきから話しすぎやぞ!今黙らないと入学したくないと捉えるぞ。」
と、生徒たちは一気に黙った。
静まったの確認した貴久は、生徒を引き連れ歩き出したのだった。
入学式から帰った全員は、早速優等生、田中俊紀の文句を口にしていた。
隣にいた友人、京介は言った。
「あいつらの言う事なんか気にしなくて言いから。」
とこそっと言った。
心配でならないと言うと、教室から出ていった。
夜、俊紀はベッドで考え込んでいた。
今日の、学校での出来事を…。
今日の朝、彼はパソコンをつけメールを見た。
しかし、そこには驚愕の現実があったのだ。
「死ねや。消えうせろ。」
「お前なんかクズにも見たねえやつだ。邪魔だ。」
「俺に近寄るな。菌が移るんだよ!ははは」
等と言った内容のメールが24件も来ていた。
俊紀は驚いた。なんというメールの内容だ…。しかし、俊紀のメールアドレスはほとんど知ってる人はいない。どうやって。
俊紀は、友達に違いないとかんがえ、学校に行く支度をはじめたのであった。
俊紀は、不安がつのっていくばかりだった。
2015年4月4日。今日は、大学入学式だ。
恐怖を知ったのは体育館へ入場している時であった。
「ねえ、あれが噂の?えーやだ。」
「あんなの学校にいたらアタシ達の子供がどうなるんでしょうねえ?」
なんだ。俺に向かって何を言ってるんだ…。何も分からないくせに。と思いながらも耳を塞いで通り過ぎていった。
地獄の入学式が終わると、隣の京介が話しかけてきた。
「お前、誰もから嫌われているみたいだぞ。どうしたんだろうね。」
「あんなの、ほっとけばいいじゃねえかよ。」
「でも…」
「いいか?いじめられてるんだったら相談したほうがいいって。」
「いじめられてなんかねえよ。うるさいなぁ…」
そして、京介は怒声を放った。
「お前のためにいってんだよ!俺はな、おめえが心配だから言ってるんだ!!なんだそりゃ?その態度は!」
俊紀は今まで異常にない驚きを示した…。みんな言葉を失っていた。
「お…い?京介…?大丈夫か?」
「あ…あぁ。」
そして、ちょうどの時に教授が教室に入ってきた。
「おいおい。どうしたんだ?うるさいぞ。では、欠席を確認させてもらうぞ。」
といって、彼は周りの人数を数え始めた。
教授は思い出したように言った。
「そうだった。俺の名前はだな、坂間貴久(さかまたかひさ)という。これからお世話になるね。よろしく。」
というと、皆はばらばらによろしくと返事を返した。
「えー。今日は入学式お疲れ様。これで下校となるが、あすもすぐ終わるからね。気を抜かないように。生活も気をつけるように。では、さようなら。」
皆はさようなら、と挨拶をすると一斉に帰って行った。
「なぁ、相談しなくていいのかよ…。親は知ってるのか?」
「はいはい。分かったから。」
「……。あの時はすまなかったな俊紀。つい叫んでしまったみたいだ。」
「いいさ。」
「ああ。俺はここらへんだから。じゃあな俊紀。また明日」
「おう。バイバイ。」
しかし、俊紀は帰ってからも恐怖は続いた。
俊紀はパソコンをあけ、メール欄を一回クリックした。
やはりだ。予想通り、嫌なメールが以前と同じ人から来ていた。
しかも同じ文章で。到底親には見せられない現実だった。
しかし、俊紀は耐え切っていた。それは、親と負けない、と約束したからである。これ以上誰にも迷惑はかけたくない。そう思いながら、リビングへ向かった。
風呂を出た後、またメールを開いた。意外にも京介宛から来ていた。
題名:大丈夫か?
本文:なぁ、相談したほうがいいんじゃないのか?
その気持ちも分からないことはないが相談持ちかけたほうがすっきりするぞ。俺も協力してやる から。心配すな。 End
俊紀は、福山京介という友人を持って本当によかったと思っていた。
なぜなら、最高の友人は彼しかいないから…。
それからというもの、今日から1週間の準備休業に入った。
朝。誰もいないうちに早めに学校へ行った。京介と早めに行くと約束していたからだ。
今日はあいにくの雨だった。
「おーい!京介待たせてわりい。」
「約束通り早めに着てくれたんだな。有難う。」
話しながら。
「あの件だが、俺も協力するよ。お前だけじゃ心配だろう?」
「心配してくれるのは良いんだけどさ。京介までは巻き込みたくないんだよ。残念だが。」
しかし、京介は言い張る。
「なぁ、わかってくれよ…。俺達は同士、友達だろ?」
「そうだが。お前まで加害者にされたらどうするんだよ。」
「大丈夫だ。お前の一番の友達は俺だろ?信用しろ!な!」
俊紀が返事を返そうとしたときには既に20分が経過し、皆が登校し始めていた。
しかし、京介は別の話を持ちかけてきた。
「なぁ俊紀。国立大学でいじめが起きるなんてどうよ。ねぇ?」
しかし、俊紀は黙っていたままだった。
その状況を見た京介は返事をした。
「…済まない…。」
この4文から今日は始まった。
2015年4月11日。この日は、美坂インターナショナル大学についての説明で下校することになっていた。本格的な授業は明後日からだった。
「おはようございます。早速ですが、私の名前覚えていますか?」
皆は返事もしなかった。
「私の名前は…えー、坂間貴久と言う。休みが入ったからって忘れてはだめだろ…。もしや、気を抜いてたな?」
ここだけは、皆バラバラにいいえ。ときっぱり答えた。
しかし、俊紀と京介はなぜか答えられなかった。
しかし、貴久はこの二人の表情から何か察したのか、放課後職員室へ来なさいと言われた。
しかし、俊紀だけは京介とは違う不安感を抱いていた。
「君たち、大丈夫か?私が見るからには君たちの顔には何かあると書いてあるぞ?」
京介と俊紀は何も答えずうんとうなずいた。
「さ、話して見なさい。私が協力してやる。私が担任だからね。責任はないとは言えないんだよ。」
しかし、俊紀は違った。
「僕、いじめられてるんです!」
間を置いて貴久は唖然としていた。
「・・・・・・え?」
京介も、立ち尽くしてみていた。しかし、俊紀は続ける。
「皆から嫌な目で見られるんです。やはり僕は・・・」
「違う!いいか俊紀。君は優等生だが立派な人間だ。君が罪悪感を抱く必要なないよ。私か全面的に協力するから、君は変なことを思うんじゃない。」
「はい分かりました。」
「よし。今日は帰れ。家でゆっくり休むんだな。」
「はい。」
京介と、俊紀は職員室をでた。
「・・・。まさか俊紀から言い出すとは思いもしなかったよ。」
「俺にはな、勇気ってもんもあるんだよ。」
「はいはい。」
結局、相談も交わし協力してくれるということだった。
しかし、俊紀の親にはこのことは一切話さなかった。
今夜はパソコンはしなかった。あのメールが来ているとわかっていたからだ。
今夜は京介に携帯でメールした。
題:今日はありがとうな
本文:今日はつきあってくれて本当にありがとうな。とても感謝してる。
お陰で先生とも相談することができたよ。じゃ、また明日。
4月12日。今日は学校で係を決めることになっていた。
今日は2人でいかずにバラバラにいった。先生とも相談してすっきりしたから。これ以上友人にも迷惑をかけたくないから。
「おはようございます。では、出席を取りますので。」
今日は珍しく遅めにきてみた。ただ単に遅くきてみたかっただけだが。
えー今日は係決め、当番を決めて終わりです。では、休み時間に入ってください。
「スマン俊紀。おれトイレ行って来る。」
「あ、ああ。」
しかし、それを見て女子達が集まってきた。
「なぁ。おまえ、田中だよなぁ。」
「そ・・・そうだけど。」
「おまえ、何でこの学校来た?」
「そりゃ、学力上げたいからだよ。馬鹿にはなりたくないんでね。」
「き、貴様―!」
危険を察して貴久が駆けつけた。
「こら、やめんか!!人をいじめるのは止めろ。お前らなんだと思ってる?ここの学校に入ったのは何のためだ?退学するためか?てめえら馬鹿か。」
一人がはーとため息をつくと、女子達は散っていった。
「大丈夫か俊紀?」
「あ・・・はい。大丈夫です。」
「家に電話をかけてもいいですか?相談しないと。」
「駄目です!止めてください。」
「分かった。ただ、今日二階にある指導室へ寄ってくれ。話したいことがあるんでね。」
「分かりました。」
「みんなー。座れ。時間だぞ!」
このタイミングで京介も帰ってきた。
「お前顔色悪いぞ?さっき何かあったか・・・?」
「いや。何もなかったよ。」
しかい、京介はこれ以上は口を挟まなかった。
「なぁ、俊紀。」
「・・・ん?」
「・・・いや。なんでもないさ。」
京介の中には、何かが見えていた。怖い、恐ろしい、何かが。
俊紀は、指導室のドアを開けた。ガラガラという音が響き渡った。
そこには、あの女子生徒が3人と貴久がいた。
「来てくれたようだな。こいつらが・・・」
「おまえ、私らに向かって何いよんぞ。クソ教師が・・・」
「黙らんと、中退させるといっただろ!」
一気に静かになった。
「こいつらが謝りたいと言い出してね。ほら。」
「もう一生こんなことはしません。申し訳ありませんでした…。」
「これからはどうするんだ?」
「これからは、手も出さないようにします。」
「ということだ。どうだ、田中?許せるか??」
「はい。大丈夫です」
「よし。君はもう帰っていい。じゃ、さようなら。」
「さようなら・・・。」
京介からだ。俊紀の携帯電話に電話がかかってきた。
「はい。田中ですけど・・・」
「京介だ。今何してる?」
「何してるって、宿題をしてるんだよ。明日も学校だろ。」
「おまえ、今日誰かに何かやられてたか…?」
「い・・・いや。大丈夫さ。おまえには・・・」
「友達として!!友達として話してくれないか・・・?」
「ああ。やられてたよ。女子の馬鹿どもに・・・あ」
「馬鹿でいいんだよ。それでなんていわれたんだ?」
「貴様が優等生かとか、何でこんなとこ来た、とか。」
「それで、どうだったんだ。どうだったんだよ!」
「先生も相談に乗ってくれた。少しだが。」
「本当か?それはよかったなぁ。すっきりしたか?」
「いや。まだ…。」
「まぁ、そりゃそうだろうな。お前も早く寝るんだろう?そろそろ切るぞ?」
「うん・・・。それじゃあ、また明日。」
「また明日ね?」
といって、電話が切れた。友達がいれば楽しいなと思う俊紀であったが、これからは特に油断できない日々が続いていくのであった。
4月13日。
昨日とは異常にエスカレートしていたいじめだった。
「おい、お前。金持ってんのか?」
「いや…。持ってないけど。」
「な・・・なんだよその言い方はああ!」
2人組みの不良は俊紀のほおを思いっきり殴りかかった。
バシッ!大きな音か裏庭に響き渡った。
「てめえ、おれ達にそんな口の聞き方していいのかぁ?あぁ?なまいきこぞうがぁ。ははははは。」
「じゃあな、ゴミ。ぎゃはははは!」
二人は、裏庭から出て行った。
俊紀は、自分が弱いことに腹を立てていた。なぜあんなクズどもに勝てないんだ?俊紀は自分のほおをひねった。激痛が走る。
それでもよかった。自分は…弱い人間だから…。
その場でないている彼にセンセイが駆け寄ってきた。
生徒指導専門の先生だった。
「お前、どうした?誰にやられたんだ?」
「二人…組みで…」
俊紀の世界が歪んでいく。なぜ…だ。そのとき、俊紀は力尽きた。
俊紀が目を覚ますと、目の前に京介と、担任の貴久がいた。
「京介…坂間先生…。」
「おい。大丈夫だったか。心配したぞ…」
「俊紀!生きてて有難う!」
「おれが死ぬわけないだろう…」
すると、貴久が。
「京介君。ちょっと部屋の外に出ててくれないか。」
「分かりました。」
京介が部屋から出て行くと、貴久は話し始めた。
「無事で安心したよ。2組でかかってきたとは聞いていたが。ま、今日は帰ってゆっくり休め。」
「はい。」
貴久は、午前中にもかかわらず、彼の身体を優先したのか、俊紀を家まで帰した。しかし、彼の心は一瞬として変わり果てた。
「くそぉぉぉぉ!!」
俊紀は何もかもが狂いはじめたのはこの一言からだったのだ。
4月14日。
貴久と、俊紀の母親田中俊子と話している最中だった。
「えーとですね、まずは俊紀君のことからなんですがちょっと学校でトラブルがありまして・・・。」
「え・・・何があったんですか。」
「まず、母親、俊子さんとしてわかってほしいんです。彼がいじめられてるのはご存知ありますか?」
「いえ・・・。全く知りません。本当なんでしょうか・・・?」
「ええ。国立大学ではあってはならないことが起きています。このような事例は初めてでして対応できませんでした。とても申し訳なく思っております。」
「いえいえ。いいですよ。そんな。」
「最近2人組の人に殴られまして。また見当はついておりません。」
「え・・・。」
「こちら側が見つけられなかったのだと思います。すいません。」
「どこらへんを・・・?」
「頬あたりですが、今は傷も何もありません。言いたいことはそれだけでして夜遅くすいませんねぇ・・・。」
「わざわざありがとうございました。」
「もう本当に申し訳なく思っています。しっかりと、教師側からも監視していきますので、これからもどうぞよろしくお願いします。」
「お願いします。」
「では。夜遅いのでそろそろ失礼させてもらいます。」
「ありがとうございました・・・」
「いえいえこちらこそ。では失礼します。」
貴久はお礼を何度もしながらドアを閉めた。
落ち込みながらかえっていった。
母俊子は、リビングでTVを見ている俊紀を立ち尽くしてみていた。
次の日。
「なぁなぁ、ここ分からんのだけど・・・」
「えー!俊紀が?お前賢いだろ?」
「すまん!合ってるか分からないんだよ・・・。教えて!」
「しょうがないなぁ。」
彼の一番嫌いな教科はやはり数学だった。最近になって分からなくなったと言う・・・。しかし、大の数学好き福山京介にはかなわない・・・。
「おーすっげー!有り難や〜。」
「いいさべつに。あ、そろそろ最初の授業が始まるぞ。」
「ああ。そうだった。はー。数学だ・・・。」
しかし、彼に向かっての暴力は止まらない。
「おい!金を出せ。さもないと、このナイフでお前の頭一直線だぜ。」
「はやくだせぇ!」
一人がポケットの中に思いっきり手を突っ込んだ。
「オーあったあった。次は2万だぜ。ははは。何でもできるぜ」
「ありがとよ。くそ優等生さん。ぎゃはははは。」
男の3人組は帰っていった。
しかし、この状態が一週間以上も続いた。
最近、いじめではなく「窃盗」という物だろうか。
やはり、母に言うべきことなのだろうか…。
俊紀は言いたくても言い出せない分けがあった。母を心配させたくないから。
しかし、言わないほうが心配するだろうか…。毎日が迷いだった。
俊紀はその夜リビングでTVを見ていた。
「今日夕方頃、一人の警察官が何者かによって襲われました。所持品からは拳銃一丁と予備弾がなくなっていたことから窃盗だと判断。警察らは速急に身元確認を急いで・・・」
しかし、このニュースが始まると俊紀はリビングを出て行った。
母、俊子は俊紀の背中姿を見張っていることしかできないのだった
俊紀には、何もすることが出来ない。
俊子は俊紀が2階へいったことを確認して台所へ向かった・・・。
二階へ行った俊紀だったが、探しているものが見当たらない。
ノートパソコンがない・・・。
そういや、母に預かってもらってたんだった。
最近忘れっぽいなと思いながら階段へ向かった。
「母さんー。パソコンいいかな?」
俊子の返事がない。大きい声で呼ぶ。
「母さーーーん。ちょっとー?」
返事がない。俊紀は不安感に押しつぶされそうになった。
急いで階段を駆け下り、リビングへ向かった。
俊紀は急いでリビングのとをあけた。
「な・・・。お・・・い、嘘・・・だろ・・・?」
彼が目にしたのは、俊子の心臓に調理用のナイフが突き刺さっていた。
「嘘だろーー。嘘と言ってくれよ・・・。おいー・・・」
俊紀はその場で倒れ込み、泣きじゃくった。ここの家は大黒柱が母だった。
しかし、いま目に前で母の死を目にした俊紀はショックに頭をうたれその場で倒れ込んだ。
「美坂インターナショナル大学田中俊紀!急性ショックによる気絶!急いで集中治療室へ搬送!大至急!」
この夜中、救急車のサイレンが響き渡っていた。
俊紀が起きたのは病院だった。
「お・・・先生。」
「貴久だよ。大丈夫か?ショックで気絶していたらしいよ。」
「・・・は!母は?」
貴久は。
「残念ながら・・・としか言いようがありません・・・。」
「そうですか・・・。」
「葬儀は我々でしておくから君は病院でゆっくり休んでくれ。」
「無理です!僕はいき・・・」
「何度言わせるつもりだ!!体を優先しろ。」
この1文を言い残し病室から去っていった。
しかし、俊紀は自分の体などどうでもよかったのだ。
「みんな・・・済まないな。許してくれ・・・。」
俊紀はそういい残し、ひどい身体何にも関わらず、病室から出て行った。
「今日も俊紀君は休みか。最近どうしたんだ・・・。病室にもいないからなぁ。皆、何か知ってたら言ってくれよな。」
俊紀は、あの病室の一言以来姿を現さなくなった。
一番心配していたのは、貴久ではなく京介だった。
皆も、あいつがとびっくりしていた。しかし、貴久には不安がつのっていくことしかなかった。
貴久は今夜、俊紀の家を訪れた。長い間来ていたいので心配になっていた。
「俊紀君。ちょっと入っていいかなぁ?」
しかし、チャイムを押しても呼んでもいない。
まさか、と思ってドアの取っ手を握った。
かちゃと言う音とともにドアが開いた。
なんで、こんなに不用心なんだ・・・。
「俊紀君?俊紀君?いるんだろ?」
しかし、返事は全くない。しかも、家中探しまわったが姿もない。
貴久は急いで部屋を出た。
その後、教師らは田中俊紀の捜索願を出すことと踏み切った。
地域全体を範囲として、隅々と駆け回った。
しかし、範囲内をいくら探しても俊紀の姿はなかなか見つからなかった。
「はい、俊紀で・・・」
「京介だよ!お前、どこにいるんだよ?俺も今から行くから!場所教えて。」
「だめだ!京介は来ちゃだめだ!」
「なんでなんだよ。」
「君まで、巻きぞいにできないから。」
「とにかく今から行く!早く場所を・・・。」
「・・・。うちの家から右の突き当たりを曲がると壊されている一軒家がある。そこだ・・・。」
「分かった!今から行くからね!待ってろよ。」
そういって電話を切った。俊紀の耳には、ノイズしか聞こえなくなった。
その夜。息を切らして、京介が目の前に現れた。
「京介・・・。早く入って。」
すごく狭い部屋で倒壊していたが辛うじて部屋が一部残っていた。
「大変だよ!警察がお前のこと捜してるよ!どうするんだよ・・・。」
「心配しなくていい。明日になればもう終わるから。」
「おまえ、あれから変わり果てたな。いったいどうしたんだ?こんなにいじめられたりしたの初めてだろ?」
「ああ。俺もびっくりしたよ。しかも、国立大学で。驚きだ。うん。」
京介は続ける。
「なぁ、家に帰ろう・・・。」
「いやだ。俺はここにいる。君がかえってくれ。」
「俊紀は置いていけないんだ!だって・・・。」
思い切って言った。
「俺には、俊紀しか・・・友人がいないんだ・・・。」
沈黙が続いたが、俊紀は帰ろうとはしなかった。
「済まない。お前は巻き込めない・・・。」
「俊紀・・・まさかお前・・・」
「帰ってくれ!!頼むから帰ってくれ!!」
「・・・分かった。こっちも済まなかった。じゃあな。また・・・いつか・・・」
京介が500メートル歩いた頃にある公園でかれは、思いっきり泣いていた。
今までの悲しさをぶつけるように・・・。
しかし、京介の思いは伝わらなかった。
今日。恐怖の一日が始まった。
事件の進展はこのとき、始まったのだ。
驚愕の事件が、今日発生した。とうとう俊紀は今までの怒りが爆発したように動き出したのだ。
俊紀にとっても、恐ろしい一日となる。
俊紀は、横にある裏路地に入った。そこは不良のたまり場だった。
4人位の不良の中に、俊紀が・・・飛び込んだ。
「おー。お前は田中。なんだてめえ?」
「喧嘩でも売りにきた、ってか?ははは。」
俊紀は、躊躇もせずきっぱり答えた。
「ああそうだ!てめえらを殺しにきた。クズをな!!」
「な・・・なにーーーー!!」
「お前らは俺をいじめた!俺を殺そうとした!」
「お前は優等生ずらしてうぜーんだよ。」
「本当に殺してやるぞおらぁ!」
「君たちに殺される前に、君たちを殺す。」
「お前なぁ!いい加減にしないと命の保証はねえぜ。」
「お前らより、俺の方が相当強いんだ。なぜなら・・・」
俊紀が言おうとした瞬間に一人がポケットからナイフを取り出し、俊紀の心臓をめがけて走り出した。
「な・・・」
しかし、俊紀はポケットからあり得ない物が飛び出してきた。
ナイフを突き出してきた奴の動きが止まった。
「お・・・お前何してるんだ?お・・・俺たちを殺す気か?あ?」
彼の手には、一丁の拳銃。警察の支給品と同様のだった。
「じゃあな。」
引き金を引いて、やつの頭に命中した。不良はその場に血を流して倒れ込んだ。
「お前・・・どういうこと・・・」
彼は力つきた。しかし、ほか三人が逃げ出そうとするところを俊紀は見逃さなかった。
「お前らも、死ねええ!見逃さねー!」
「や・・・やめろぉぉぉぉぉ!」
俊紀は連続で引き金を引いた。4人もの尊い命に俊紀は穴をあけた。
「ああーーー!」
一人が叫ぶと、全員一気に倒れ込んだ。総勢4名、射殺。
サイレンが聞こえてきた。俊紀はその音を逃さずきき、一目散に逃げ出した。
俊紀は馬鹿なことをしたと、いまだに後悔していた。
しかし、彼の計画はまだまだ止まりそうに無かった…。
「ニュース速報です。ただ今、美坂インターナショナル国立大学の生徒4人が何者かによって銃殺されました。武器である拳銃は警察の支給品と一致していることが分かり同一犯として調べています。犯人は、大学に何らかの恨みがあるとして県警は捜査しています。他地域と協力して全力で捜査を続けていますが未だに身元が判明できません。我々としては・・・」
俊紀は、自分がおかしたことがテレビで放映されていることを知った。
俊紀は笑っていた。何も怖くなかった。
携帯のワンセグを閉じると、恐ろしい笑みを浮かべたのだ。
「んんん・・・はははは!」
俊紀には、失う物は何もなかった。その笑みが、京介をも裏切ることとなってしまったのであった。
5月一日。
京介は、不安そうに考えていた。
優等生を理由にした差別いじめ、母俊子の死。
そうなる理由は皆分かっていた。
あの事件から1週間が経っているが、俊紀はどんな生活をしているのだろうか。京介は不安に感じた。
目の前に携帯があった。何かに引きつられていくように京介は携帯を手にした。電話帳を開き、田中俊紀のデータを探した。
見つけたときには「発信」を押していた。何も怖がることはなかった。
「・・・はい。」
懐かしい俊紀の声を聞いた京介は、安心した。
「京介だ。お前、どうしたんだよ?・・・」
「俺。殺してしまった・・・。どうすればいいんだ。いったい!」
俊紀は頭をかきむしった。
「今日は俺とホテルで泊まろう。そこで待っててくれ。今行く。」
「・・・あ・・・あ。」
「じゃあな!待ってろよ。」
プチッ。電話が切れた。京介は俊紀をかばうことしかできなかった。
学校などどうでもよかった。
向こうから自転車の光が見えてきた。京介だ。
「服と眼鏡だ。これで変装しろ。急げ!」
「ああ。」
俊紀はまじめな雰囲気だった。
着替えたときには、俊紀を後ろにのせホテルに一目散に向かった。
「予約済みのお客様でしょうか?」
「いえ。すいませんが予約していません。」
「予約金が必要になりますがよろしいでしょうか?」
「はい。いいです。」
「えーとですね、115号室です。これがカードキーとなります。」
「ありがとうございます。」
「ごゆっくりどうぞ。」
怪しまれながらも、無事に115号室へたどりついた。
俊紀と京介は夜中じゅう話をしていた。
「おまえ・・・。マジで殺ったのか?」
「・・・ああ。これからどうすればいいのか。」
「俺がいる。心配すな。大丈夫、何か考えてやっから。明日からは俺んちにでもよっていけ。」
「・・・残念ながら無理だ。」
「え・・・?どういうことだよ。」
「殺しだとTVで放映された以上、どこも行くことはできない。」
「分かった。今日はもう寝よう。明日からだ、問題は。」
「そうだな。じゃお休み。」
「お休み。」
俊紀を隣にしていた京介は夜中じゅう寝れなかった。京介は、これからどうなるのだろうと心配していた。だか、俊紀が殺したと分かった以上京介は置いとけなかった。
5月2日。
俊紀が目を覚ましたのは7:00だった。
しかし、隣に京介はいない。はっ、と思い込み急いでTVのリモコンを手に取った。電源ボダンを押した。
「緊急です!皆さん聞いてください!ただ今、大学生徒殺人事件について終止符が打たれようとしています。現在、県警により真犯人の名前が公表されました!田中俊紀、美坂インターナショナル国立大学の生徒です!しかし・・・」
なんだこれは・・・?通報は誰がしたんだ!急いで荷物の支度をして一目散に受付まで走っていった。しかし、目の前には警官が8人立っていた。
俊紀はホテルの非常階段を駆け下り裏口から外へ出た。
しかし、今日も計画していた。殺ることを・・・。
彼が計画していたことは、絶対だった。
彼は笑うかのように、目的の現場へと走る。
「まってろよ、馬鹿ども。俺を荒らしやがって!」
京介とあったときと別の人格にかわっていた。自分でもなんなのか分からない。完全に狂い果ててしまっていた。
「ははははははは!!」
この、小さな笑みが最期の笑みとなることは彼は知らなかった。
俊紀は、溜まり場となっている裏路地に着いた。
何も考えないうちに。
だが、これが終われば俊紀の計画は達成しようというところまで来ていた。
しかし俊紀はそれを知らない。
とうとう機動隊を出動させたのだ。発砲許可も下りていた。
これには俊紀は何もしらなかった。このことがテレビで放映されていなかったからだ。しかし、彼の殺人げきは終わらない
目の前には、俊紀のいじめの根源である、3人の男が立っていた。
勿論、ポケットには銃を忍ばせてあった。
「ふ。君が来ることは我々は知ってたよ。だから、用意周到だよ。」
「しかし、君たちは俺には勝てない。」
「ほー。よっぽどの自信なんだなぁ。ま、お前が死ぬ野は確実だぜ?」
「お前らは俺をいじめた。差別した!お前らは絶対許さねぇ!」
「ほう。お前らしい台詞だな。しかし、これ以上何もしゃべれないようにしてやるさ。ふふふ。」
「その笑い、君たちにはとられたくないね。」
「何格好つけやがってるんだ?お前みたいな奴は嫌われるんだよ!ははは!」
甲高い笑い声が裏路地中に響く。しかし、どうもこうもなかった。
「その笑。うぜえ。」
「お?俊紀がお怒りか?あ?」
また三人が大きな声で笑った。
「お前は二度とこの地にはでてこれねえよ。」
俊紀は言う。
「だか、俺をいじめた君たちはこの世にはでてこれねえんだよぉぉ!」
「死ねええ!」
俊紀は予想外だった。2人は出刃包丁、真ん中の一人は銃を持っていた。
しかし、あの銃はグロック。即座に分かったが
何気にモデルガンっぽい感じだった。
真っ先に、出刃包丁の2人が一気に押し掛けてきた。
「お前、死ねぇぇぇぇ!!」
俊紀は、躊躇せず自分の命を守るためだと思い引き金を引いた。
バンッ、バンッ!!
周りの人が逃げ出す声が。同時に警官も捜索を開始した。
「おいおい?どうするんだこの状況?」
「お前を殺す。」
「この銃でう…」
男が、正面を向いたときには遅かった。
俊紀が根源である男に銃弾を命中させた。
「あーー!痛てえええ!」
「馬鹿が。」
俊紀は一言言い残し、その場を駆けていった。総勢7人射殺。
これには、県警も黙ってはいなかった。
今夜、彼は別の路地で過ごすこととなった。
しかし、俊紀にもとうとう本当の恐怖が訪れる。
「ただいま、県警に大きな変化が見られました!県警は、機動隊の出動を要請しました!それとともに発砲許可を申請!これからの事件は幕を閉じようとしています!しかし、市民には不安が・・・」
しかし、俊紀はニュースを見たとたん一言を発した。
「どういうことだ・・・。」
俊紀は目の前にある川に携帯電話を投げ捨てた。
「くそ!」
ポッチャン。水の音が寂しく響き渡った。
そのまま俊紀は、倒れ込んだ。
5月三日。
今日は珍しく遅い朝となった。
目に前には、昨日携帯電話を投げ捨てた川が見えた。
昨日より、干上がっていた。
俊紀は壁の間をのぞいた。目の前には国立公園。
どうなってもよかった。俊紀には失うものは無い。
彼は、国立公園へ行く支度をした。
しかし、外に出ると、ざわついた雰囲気が聞えた。
「ねぇ、あいつ人殺しだろ?はよ警察に。」
そして、キャーと声を上げて逃げていく人もいた。
悪口を言うやつもいた。
しかし、俊紀はどうでもよかった。
何も聞こえない。何も見えない。
そう思いながら、足を動かしていた。
俊紀は吸い込まれるように国立公園の階段を上がった。
しかし、人気が無いどうしたのだろうか。
しかし、右から拡声器の雑音と金属音が聞えてくる音がして
俊紀はぞっとして、首を傾けた。そこには、絶望の現実があった。
「動くな!」
しかし、右から拡声器の雑音と金属音が聞えてくる音がして
俊紀はぞっとして、首を傾けた。
そこには、絶望の現実があった。
「動くな!」
俊紀はポケットから、すばやく銃を取り出した。
「我々は県警機動隊だ!今すぐ銃を下ろせ!」
「な、何を言っているのだ!俺は違うぞ…人違いだ!」
「銃を下ろせ。こちらに向けた地点でお前を射殺する。」
「どういうことだ!撃つのはやめろ。もう止めた。終わったんだよ!」
しかし、機動隊班長はいいはる。
「貴様を信用する価値も無い!」
しかし、これには俊紀も思いっきり頭の中で何かが切れた。
「なにいってんだよ!もう終わったって言ってんだよ!なぜ信用しないんだ!お前らみたいなやつには分からないだろうな!」
しかし、機動隊は黙っていない。
「黙れ!いい加減銃を下ろせ!警告だ。繰り返し言う!警告だ!」
俊紀は言う。
「何を言っているんだ?君達とは存在価値が違うんだよ。俺は!」
「何を言っているんだ?」
「イコール。俺は必要な人間なのだ。これからの世の中を変えていくためには必要なんだよ!お前らなんか不必要だ!」
「黙れ!死にたいのか?」
俊紀にもまさか国立公園に潜んでいるとは思ってもいなかった。
これが、人の気配が無い理由か、と思った。
だが、俊紀は怯まなかった。
「違う…違うんだよ。僕は…違うんだ。」
「なんだ!真犯人はお前だということはもう証明されている!6人も殺した奴を私達は黙ってみていろというのか!」
機動隊班長の後ろには、スナイパーライフルを持った機動隊員が6人。
俊紀にとって、崖っぷちに立たされている気持ちだった。
もう、どうしようもなかったのだ。
「僕は、過去を捨てたんだ。!こんなこともう二度としない。しないから…」
「何を言っているんだ!これはお前が犯した罪なんだぞ!忘れたのか!」
「もう何を言ってもわからないようだな。信用できない馬鹿どもが!」
「銃を下ろせ!殺すぞ!」
だが、俊紀は続ける。
「君達にはわからないだろうな。俺の存在価値がどれだけ素晴らしいかをな!」
「何を言っているんだ?」
俊紀は続けた。
「お前を殺してやる!!」
しかし、下のほうからはには京介の声がきこえた。
俊紀は続けた。
「お前を殺してやる!!」
しかし、下のほうからはには京介の声がきこえた。
「おい!俊紀!なにしてるんだよ!なぜあいつらの前に出たんだ!」
「くるな!」
「お前は俺の友達だ!絶対に死なせはしない!」
「来るなぁぁぁぁぁぁぁ!」
京介は叫んだ。
「ああああああああああああああ!!」
俊紀は自分を犠牲にして京介を守ろうと、機動隊にわざと銃を向けた。
パンッ!パンッ!パンッ!
しかし、痛みが感じない。何故だ。気づいて目を開けた…。
そのとたん、倒れこんだ京介をこの目でみた。
「おい、京介!京介!死ぬな!お前はまだ…。まだ…!!」
「う…君が、生きていて…くれるだけで…も、嬉しいさ。」
「何をいっているんだ!京介。君は一番の友人なんだ。お前が死なれたら、俺こそ何もできねぇよ!」
機動隊たちは黙って京介たちを見て立ち尽くしていた。
「京介!おい、京介―!死ぬなぁぁぁぁ!!」
京介は声を発しなくなった。
「おいおい!!京介。」
福山京介、射殺。
罪もない人が殺された…。俊紀は何かに恐怖を感じさせられた。
「俺の友人を!なんでだ!なぜなんだ?俺を殺せよ。なぜこいつを殺すんだ!」
「惜しいな。犠牲はつきものさ。」
「一般人を巻き込んでいいと思ってるのか!」
「お前も一般人を巻き込んで、6人も殺してるじゃないか!!」
「俺は!罪のない奴は殺してなんかいないぞ!いじめた奴を殺したんだよ!」
「ふ・・・。目的はお前だといってるだろうが。」
俊紀は続けた。何か恨みを持っているかのように。
「お前らは何なんだ?それでも警察か!」
「お前を捕まえに来た。それだけだ。それか、あいつと一緒に天国へ行きたいか?」
俊紀は決心した。銃を片手に思いっきり握り締めた。
そして、俊紀は叫び、全速力で走った。
「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
俊紀は、銃口を班長へ向けた。
バンッ!
だが、機動隊には勝てなかった。俊紀の心臓から血があふれて来た。
逃れる事は事は不可能だった。
「君は存在価値が高いと思っているようだが、我々には勝てない。」
「く…。お前クズだな。くそ警官が……」
俊紀は京介の身体の上に重なって倒れ込んだ。
赤い血が染み出てきていた。息が出来なくなっていく。
その後、俊紀の目はゆっくりと目を閉じた。田中俊紀、射殺。
その後、護送車にて俊紀は運ばれ司法解剖を実施。
京介は、警察病院にて埋葬された。
だが、今回の事件はまだまだ終わったわけではない。
地域の処理や、片付け等することがいっぱいだ。
しかし、学校はとても閑散とすることになるであろう。
この事件は、5月3日に起こったことから「5・3殺人事件」と名を残し歴史に名の残る事件となった。
一ヶ月後には社会の教科書に載せられるようにもなった。
その一週間後、解決に終わりこの事件は幕を閉じた。
そして…。
「お前なー、飲みすぎだっつうの!」
「いいじゃねえかよぉ?。ほほほ!」
大きな甲高い笑いが響き渡った。
貴久とそのクラス全員で大学卒業会をしていた。
あれから早日が過ぎた。
貴久は酒を飲みすぎて泥酔していた。
「お?ほ?。お?いひいな?はは?。」
「センセイ。大丈夫ですか?」
「あ?。だいひょうぶ?。へへ。」
皆は呆れた顔をしながら貴久を見るたびに笑っていた。
「センセイみたいな大人には、なりたくないよなぁ?。なぁ!」
「そうだよね。それ分かる!先生!しっかりしてください!」
「大学なのにこんなことしてていいんですか?」
その言葉を聴いて「大学」にはっときた。
「おっと!いけない。ま、たまにはいいんじゃな?いの?」
またもや、大笑いが部屋中を明るくした。
その夜、貴久は自分の家へ戻った。
かれは、俊紀と京介の事を思い出していた。
彼ら2人の成績帳は貴久がこそっと持っていた。
その成績表を、久しぶりに開いた。
そして、貴久はこう言った。
「これだけいわせてくれ。」
貴久は言った。
「ありがとう。と。」
優等生
見てくれたかたはありがとうございました。
これからも、是非ご愛読いただきますとともに、何卒よろしくお願いします。