ゆううつ

青いひかりが心臓から飛び出して、世界中の硝子が震えて欠け散る、われる。
通り過ぎていくつめたさのシリーズ。
温もりに汚れている 濡れている家々の灯火がなにを焼いていくのか、勿忘いうちに目を閉ざしたい。
睫毛に灰が積もるのを網膜の裏にうつす。
  (翅が透けて/さよならは何色)
死ぬときは一人
月の光に汚されて、あなたのさすらう横顔が、剥き出しの真実になる。
好きだよ、と笑うとき、いくつもの水面に黒く目を開く魚影があるのを撫でている、漠としたゆううつが、ベランダで揺れている。カーテンの薄明、歌声はぎんいろ。
 (こたえてください
  (さよならは、何色ですか?)

ゆううつ

ゆううつ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-07-26

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