ゆううつ
青いひかりが心臓から飛び出して、世界中の硝子が震えて欠け散る、われる。
通り過ぎていくつめたさのシリーズ。
温もりに汚れている 濡れている家々の灯火がなにを焼いていくのか、勿忘いうちに目を閉ざしたい。
睫毛に灰が積もるのを網膜の裏にうつす。
(翅が透けて/さよならは何色)
死ぬときは一人
月の光に汚されて、あなたのさすらう横顔が、剥き出しの真実になる。
好きだよ、と笑うとき、いくつもの水面に黒く目を開く魚影があるのを撫でている、漠としたゆううつが、ベランダで揺れている。カーテンの薄明、歌声はぎんいろ。
(こたえてください
(さよならは、何色ですか?)
ゆううつ