見本市
遠くを思う。
会えない
見られない
話せない
触れられない
もの、ヒトの
距離を思う。
時間を越えれば
真実性が薄くなる。
空間を越えれば
希少性が低くなる。
けれど
出会わずにはいられない
わたしは、対峙しているのだ
という感覚を担保にして
(信用を質に入れて)
金の代わりに賭けるものなんて
いくらでもある
心情とは
異なる色をした事実
相見える瞬間に切れ目を入れる。
二度と元通りにならぬよう
刃物を入れる。
衝動が
地層のように積み重なり
ひとつのそれは
感性をつくる
にんげんをつくる
遠くのものと近くのもの
すべてを吸い尽くし
にんげんはにんげんに
なりたがる
見本市