こちら滞りなく

封字で締めた手紙があなたに届くころ
だれも知らない地へ行けると思っていた
いたって変わらず鳴る改札の音が忌々しくて
安全圏にいることを思い知らされる


伸びた前髪をかきあげた瞬間が合図だよ
はみだしたリップラインをなぞって
深呼吸する
記憶と寸分たがわぬ空が恨めしいね
足取りが軽くなるのはいつも夜だった

こちら滞りなく

帰りたい家ではないけど何だかんだいまの家も好きだという話

こちら滞りなく

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-07-24

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