不可逆の有機体は哲学的本懐を成し遂げる

雪水 雪技

不可逆の有機体は哲学的本懐を成し遂げる
  1. 五月蝿い
  2. 個人的千秋楽
  3. street
  4. 妄想肝試し
  5. 幼児期の断片
  6. 草原に青春は無い
  7. cycling
  8. アイスクリンをもう一度
  9. 黙る無意識焦る顕在意識
  10. スキップじゃ飛べない
  11. 飲み込まれる瞬間
  12. 灯火の見せる世界の私
  13. 尋常を棄てる
  14. 歓喜
  15. 銀河系ネットワーク
  16. 蝉時雨
  17. 謎に熱を上げた末路
  18. ループ不可
  19. 不可逆の有機体は哲学的本懐を成し遂げる
  20. これすらレール

Twitter詩まとめ19

五月蝿い

考えすぎ
極端だよ

全てが五月蠅かった

それが私だった
子供の頃から
それが私だった

極端で非現実的なのが私だった

病、それは紛れもない事実
けれども私はもう曲がらない
私はもう言いくるめられない

極端
考え過ぎ
全部私へのタグ付き

もうひとつも譲れない
私が死んだらどうするの

個人的千秋楽

尽きた日に何が残るのか
確かめようのないことに
宿命とか運命とか名付けて
何かをおさめた気持ちになる

偽りの物語の役者時代は
楽だったことと地獄だったこと
交互に起きて、それを宿命にした

ある日舞台から降りる時
置き去りにしてきた感情は
形を変えて私を食い散らかす

なす術もなく

street

雨のあとにからりと晴れたら
あの雨は嘘になるだろうか

何もかも通り過ぎるのみ
そこにたまたま居ただけの私

それでもそこに
宿命めいたものを
未だ求めている

それは悲しいことだろうか
そう生きたいのなら仕方がない

何を求めようとも
雲はいつも通り流れてゆく

妄想肝試し

濁った空気
夜の風はぬるく
私の背後に誰かの気配

忘れられた影法師
煙のように空に立つ
忘れられない影おくり

冷たい氷をコップに入れて
水を注げば目覚めるか

永遠のような悪夢に取り憑かれてる

そんな気がする夏休み

粗塩が必要な夏の夜半
勝手知ったるきもだめし

幼児期の断片

粘土で作った
ひらたいつるつるした
板のようなものに
模様をつけることは
憚られていた幼児期

粘土のにおいが苦手だった
錆びついた粘土板は憂鬱だった

けれども
粘土をこねると心地よかった
確かに楽しかったのは
ひとりの冒険だった

カルタにままごとお遊戯は
泣きたい気持ちになっていた

草原に青春は無い

やわらかな草原に触れると
ちくちくといたがゆい

私の肌は草草と馴染まない

寂しくないよと石ころ蹴って
カラスの声は意地が悪い

靴下が濡れた草原の露たちの所為
じわじわと浸水、気持ちが悪い

何もかも理想とはかけ離れた
朝の公園は寂しくてお腹が痛い

この冷たい感触に涙が出そうになる

cycling

自転車に乗って
知らない友人と
街を走った

みんなはスノーボードを楽しみに
雪山に行ったので街は私たちだけ

空は桃色
黒いシネマを横切り
お洒落な街をスイスイと走る

ハンバーガー屋でまごつく私に
注文の仕方を教えてくれた
知らない友人と共に走った

アイスクリンをもう一度

みんなかけっこに疲れて
グランドでアイスクリームを食べる

シャーベットを食べながら
先生は雲の形を確認する

みんなはバニラアイスをとける前に
食べ切ることに一所懸命になってる

甘い夕暮れ
くるおしき
平穏の夢夢

私たちは暑い夕方に
冷たいアイスクリームを
一所懸命に食べていた

黙る無意識焦る顕在意識

心穏やかに暮らせるなら
何もかも棄てさってしまおう

良き夢の後の名残惜しさも
悪夢の後の後味の悪さも

今日と明日の不安も
昨日までの悔恨も

全て棄て去って

私たちの自由を
今今、味わおう

悪いことなど起きない、と
そう神様は言っている

世界は思うより美しい、と
そう魂は呟いている

スキップじゃ飛べない

さようならをしたあと
心が浮き上がる感覚

なにものにも縛られない時間
私はこういう人間なんだと知った日

放課後のスキップは下手だった

飛び上がりたい時、
うまくいかないことが多くて

いつも足を挫いてしまう

飛び上がりたい日々
何処を見ていたのか
思い出せないけれど

確かにあった

飲み込まれる瞬間

あったものを数える朝
渦の音が背中から聞こえる

私にもあったものを数える
背中に迫る渦の音に負けない

大きな声で数えている

私の持っているもの
大きくても
小さくても

私の持ち物だった

数えて名前をつけて

渦に飲まれても
また会えるように
印をつけて

さようならを言って

また、

灯火の見せる世界の私

金のジッポで付ける火は
厳かなのに悲しいあかり

冷えたフローリングに
動かない私が落ちてる

切り離された私の影が
天井から見下ろしてる

何をそんなに頑張ったの?

生きること、そのものを。

そんな風にしかやれないの?

わからない、もうなにも。

落ちてる私
浮遊する私

いつか繋ぐ手

尋常を棄てる

泣き腫らしたいつものこと
何もかも手からすり抜けて

何も掴めないことに怯えた

わかりやすいものをください

点数、評価、口コミ

そのワルツに踊り疲れて
倒れた舞台を振り返るな

逃げろ、と言ったのは私
離れる、と決めたのは私

掴めないもの
わかりにくいもの

それらの価値をわかる私で

歓喜

歌が重なる
鳥のさえずり
木霊する山の声

それは金色の楽譜
それは朱色の五線譜

人の心に直接届く

神様を体現する作曲家
神様がつくったすべては歌う

心のために
隣人のために
世界のために

海は歌う
鯨は歌う
魚は歌う

天はなり響く
地は呼応する

私たちは歌う
私たちの魂と自然の旋律

銀河系ネットワーク

土星の輪の上で
食べたビスケット
宇宙に散らばって
それを宇宙人が食べて
僕らは友達になったね

金星の声を聞きに行ったり
天王星の心の声を知ったり
水星の速さを宇宙時計で計ったり

僕らは考えつく遊びを
時間も忘れて実行してたね

夢だったとしても
握っていたビスケット
僕らは友達だった

蝉時雨

取りこぼされた景色と季節
蝉の抜け殻にかくした詭弁

騙されないと誓う夕暮れ
何に怯えてると嗤う月夜

私の脳幹のふるえ
けたたましくなる

見えてるもの全てを
疑い出せば宙に浮く

「これからの生活様式は
斯様にぷかぷかと浮くことです」

逆再生のニュース
蝉の断末魔が揺らぎを切り落とす

謎に熱を上げた末路

花がひらく時に鳴る
あの音は何?

大人に聞いても
知らん顔されて

それなら私は白いお化けだ

花ひらく音を追って
お化けは森を彷徨う

森で逢う人にはお化けの私
森で会う動物には人の私

私は回転し過ぎて熱を上げ
頭の中でひとつの音を弾き出す

そしたら開いた
黄色い花が
音と共に

ループ不可

サザンクロスに願い事
尽きぬ願いに呆れた花びら

ホワイト・スターに願い事
星座は気まぐれなうたをうたう

夕闇に誰を見つけたの?

一番星見つけたあの子
交差点で見かけたら
またここに戻って来た

ズレていく世界線
不可逆の中で息をする動物は私

哲学的有機体の本能
実存を追い求める本懐

不可逆の有機体は哲学的本懐を成し遂げる

ひなたに君を見つけても
終わった季節はかえらない

夕暮れと一緒に燃やした
あらゆる私の証明書には

ここに至るまでの価値はあったろか

何を問えば答えになるか
もしも、最初から間違えていても
このまま進むを選ぶだろう

同じルートは通れない
決めた道の上、試行錯誤

誰のためにも願わない

これすらレール

道なりに進むことをやめた
暗雲と霧の中、洋燈ひとつ

ぼんやりとした明かりに
また見たくない幻を見る

夢覚めてがっかり
どんなに不完全な私であろうと

私が成ろうとする私
未熟で未完の私の形

製図通りに生きられなくて
メインストリートから外れて

端くれに見つけた星屑
それが私の燃料

不可逆の有機体は哲学的本懐を成し遂げる

不可逆の有機体は哲学的本懐を成し遂げる

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • ミステリー
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2021-07-23

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted