羽びら
飛べるかな?
ノイズに紛れて声がする
風が霧を掻き消す様に、
こだまする二人の声が
板挟みだった遠い日々、
行き交う嵐に逆らって
ずっと二人は其処に居た、
あれは陽炎歪んで消えた
今では遠い幻影に、
輪郭だけは恍惚と
約束結んだあの日から、
哀しい歌も励みに聴こえ
ぼくらは今まで歩いてきた、
立ち止まったその日から
結んだ紐が切れた様に、
見えない疑心と彷徨う心
時が二人を引き裂いて、
陽も出ない新月の夜は
闇を見上げて返らぬ日々に、
こうして音だけ虚しく響く
心の音は悔やむ声、
澄んだ景色と微笑みが
淡い思い出消えない夢に、
ぼくのこれから歩く道
風に吹かれて影揺れて、
聴き去ったノイズを背中に
空っぽの想い蝉の声、
あの夏がまたやって来る
汗とノイズと心の雫に、
止まない雨が背中に滲む
瞼の瘡蓋目も開けず、
光射す日が待ち遠しくて
過去と今の板挟み、
日進月歩で消えぬ想い
旅立つ鳥に託す今……
羽びら