背景は透明

雪水 雪技

背景は透明

Twitter詩まとめ17

お菓子づくり

タルトに詰めよう
甘い果実のような思い出
苦かったあの日の出来事

焼き菓子にしてしまおう
私をしばる観念 
許せないでいる事

砂糖をたくさんかけて

冷やして固めてしまおう
愛の偽造品みたいな言葉
春を諦めた日の出来事

出来上がったお菓子で
静かなお茶会を開こう
美味しい顔を見せてね

contrast

煤けた羽根は
かつて白かった
そのコントラストを
模様として誇る天使

陰影のある現世
光が見せる世界

影があってはじめて
立体的に見える景色

嫌うことはない影も闇も
内在された自分由来のもの

混沌の中に無理に秩序を
見出さなくても構わない

ありのまま
感じ取り
受け取る
世界模様

不気味な手品師

ガラス張りの部屋で
酷い手品を見せられた

この部屋から出たくて
上へ下へと移動する

笑う手品師は追いかけて来る

銀色の液体
タイムリープ
元素記号の羅列

何もかもがつんざくような
刺々しい光を放っていて
私の心は摩耗していく

苦しみながら
目覚めた時に
痛みと苦しさ
体はまみれる

ヒヨドリ

ヒヨドリが窓辺の木にとまる
大きな声で鳴いている

満月を呼ぶように
恋人を呼ぶように

ネイビーブルーの窓枠から
ヒヨドリが鳴く姿を見ていた

大きな声で鳴いている

山の産声に呼応するように
灰色の空を謳歌するように

ヒヨドリが鳴いている
大きな声で鳴いている

過ぎ去り日にこだまする

箱庭

感情は亡霊
未だ成仏できないまま
この部屋を彷徨っている

苦しいままの胸の中
どうしようともし難い
ままならないものが溜まる

理解されないこと
本音を打ち明けられないこと

私の真実を見失ったこと
それを探して肉体も彷徨っている

茫漠とした箱庭で
玩具は日に焼けて
記憶の静物画となる

さよなら

臨界点を超えた時
何もかも諦めた肉体

おそうしきのゆめをみましょう
わたしがいちどしにますように

そのあともうかんがえない
なにもしんじない

ほうきしたじこ
とうきするからだ

さようならとてをふろう

どうせだれもなかないさ

幼い自画像

わたしはにげなかったのに

せかいはわたしにせをむけた

わたしのいきてるりゆうを

ないってかんたんにいうせかい

そんなことですくわれなかった

だれにもすくわれないのなら

わたしがすくうしかなかった

わたしはむきあったけど

わたしはくちもこころもなくしてた

すくいようがなかった

薄汚れた道徳

どーとくてきりゆー
わりきりじょうずだけ
おいしくいきられる

どーとくてきりゆー
だれもがわかってる
だれもがわかってる

どーとくてきりゆー
こじんてきじしょー
そのむかちなこと
わかってる

わたしがいちばん
わかってる

さよーならしたいけど
どーとくてきりゆーで
だめなんだ

したいはしゃべる

りよーかちなし
わかってる

おとなごっこやめたひから

りよーかちなし
わかってる

いいこでいることやめたから

しじょーかちなし
わかってる

だれかのとくにもならないから

かちなし
かちなし
かちなし

ありのままでいることは
したいになることにちかい

はやくこいこいじゅみょうさん

自己紹介

ふこーやびょーきを
いいわけにも
なにもしたくない

ふこーやびょーきで
なんらかの
めんざいふにしたくない

だのに

わたしはずいぶんおかしい

からだとあたまがわかれてく

わたしがとおくになっていく

ゆめはわたしのくびをしめて

わたしはたたかったりした

つよくもないくせに

個人的終末

自分が大事にしてた物を
投げ捨て床に叩きつけ

初めて叫んだ言葉は

死にたい 

なんのひねりもないのに
くりかえしさけんでいた

頭蓋骨にリフレインするなら
全ての生命活動を辞めよと
私の声で号令出したい

自立した神経回路たちは
私の叫びを無視して 
心臓を動かす
血を巡らす

随分大人

幻覚を刺して逃亡

おじょうちゃん
泣いちゃって
どうしたの
お腹痛いの
くるしいの
ああよくないね
ひとりぼっちは
よくないね
どこゆくの
無視しないで
どんな教育
受けてきたの
そんなんだから
駄目なんだよ
冗談もわからない方が
悪いんだよ

私はお前を刺してみようと思うの
どうせお前、私の作った幻覚だもの

つまらない器に心音が宿った年

走馬灯はおぼろげで
確かに幸せだった頃がある

それが私を苦しくさせる

私は誰かのために生きた
私はいつでも道化と緩衝材

誰かを今日まで生かす器だった

私がいなくても
どうか生きて欲しいけど
それは無理だろうな

重くて苦しくていつも救われない

救いの手を弾いて
私の為の死を夢見てる

妄言

青空の下で
シャツを干した

白い白いシャツを

洗剤の匂いがして
私は随分しあわせだった

ぱたぱたゆれるシャツ見て笑う

ほら、天香山が見える
さあさ、煙突から煙を出そう

ほら、見えてるかな

しあわせな国に生まれました 

わたしたちはしあわせです

真偽の瑣末さ

四季は揺れ動く新大陸
私たちは知らぬうちに
お引っ越しを済ませてる

大掛かりな出来事は
存外気が付かれない
だから大きく動けばいい

沈んだ大陸の供養は
お彼岸に済ませましょう

海へ花束を投げ入れて
さまざまなお供えを投げ入れて

ここに文明があったと信じましょう

九九

今朝は九九の歌
一の段から歌う
ニの段は楽しく 
三の段からつまらない

奇数はなんだか嫌い
角があるような
棘があるような

偶数はまるくて愉快
何にも馴染むような
何も受け入れるような

時計もうまく読めなくなって
敵だらけの学校のチャイム
石ころ蹴ってサボってら

無言

カラコロの音
頭がふるえてる
原因不明
外は晴れ

もう世界に
どうこの身を
置けばいいのか
わからないでいる

カラコロの音
脳幹のキリギリス
頭はふるえている

巨大な影に覆い尽くされ
私にはもう掴むものは無く
すべてみうしなったままで

死する魂

晴れた日に
見た夢に
もがく夏

自分で決めた道の上
それで迷子なら
世話はない

何処かで誰かの所為にする

私の抱いたものは弱さ

脆弱な神経回路に
へとへとになる午後

夕日時雨は夢の音
耳鳴りは止まない
峠を越える為の
方法を検索する

隔離

世界から隔離された今日

もう何を悩む事もない

もう誰にも会う事もない

子供のように愛した
私の言霊たちを供養して

私の夢は精霊流し

線香の匂いが充満する

世界から隔離された私

外で大人ごっこをする影絵

みんなお遊びしながら
今日も生きてるらしい

私は人間ごっこするお化け

背景は透明

こわれたまねきねこ
ガムテープで補強する

割れたままのだるま
糊でくっつけている

壊れたままのわたし

なにともくっつかない

誰かに心を開いたら
多分もう死ぬしかなかった

開いてしまった
パンドラのハコ

希望を吐き出せ
そんなもの川に流せ

夢も希望もハリボテだった
この景色は偽物

背景は透明

背景は透明

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • SF
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-07-21

Copyrighted
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  1. お菓子づくり
  2. contrast
  3. 不気味な手品師
  4. ヒヨドリ
  5. 箱庭
  6. さよなら
  7. 幼い自画像
  8. 薄汚れた道徳
  9. したいはしゃべる
  10. 自己紹介
  11. 個人的終末
  12. 幻覚を刺して逃亡
  13. つまらない器に心音が宿った年
  14. 妄言
  15. 真偽の瑣末さ
  16. 九九
  17. 無言
  18. 死する魂
  19. 隔離
  20. 背景は透明