太陽の季節
太陽が、じりじりてりつける季節となった。女は自分達の体の露出部分をふやす。それは、もちろん悪徳的なものであるが、生へのエネルギーの限界への追求、発散、生きた証、への刻印でもある。ためらっていては、青春も人生も、ひからびた後悔を残したものになってしまう。後悔しないために女はすべてを脱ぎすてに海へ行く。
秀美とあけみ、が、房総の海で声をかけられた二人の男は、まさに彼女達にぴったりだったかもしれない。四人は、それがきっかけでつきあうようになった。男の一人にアダルトビデオ関係の友達がいて、撮影に使うマンションの一室を貸してくれた。ので、四人は週末になるとそこへ行き、心も体も裸になり、本能に忠実な、粉飾なき遊戯をするのだった。秀美は肉づきのいい、いじめられタイプの女なのに対し、あけみ、はちょっといたずらっぽい悪女っぽいタイプの女で二人は職場では、あけみが一年先輩だが、どっちが上とか下とか、ではなく、対等な仲の関係なのだが、エロスに関しては、おとなしい秀美も、あけみに負けないほどはげしい。そんなある日の四人の遊戯の様子。
男二人が、ドッカと秀美とあけみの前に座ると、二人のオナニックなヌードショーが始まる。あけみはパンティー一枚になり、脚を広げて腰を突き出し、腰をくねらせながら自ら胸を揉んでみせるのに対し、秀美は後ろ向きになり、パンティーを膝まで下げ、スカートを自分でまくりあげてヒップをことさらつきだして、くねらせてみせる。いつも会社では、おとなしく、まじめ、といわれている秀美とは信じられない光景だ。男が要求もしないのに、秀美はヒップをつきだし、執拗にくねらせる。うれた桃が、左右にゆれているようにみえる。いつもの真面目をかなぐりすてて、私は、いつもつつましくしているけれど本当はこんなみだらなことをしたいのよ、と言わんばかりである。となりでは、あけみが、パンティーの中に手を入れて、そこを自ら、まさぐりながら、揉んでいる。男に自分はこんなに痴情な性格であることをみせることが、感情を興奮させ、ああ、と何度もうめく。二人はだんだん興奮してきて、最後の一枚まで脱いでいく。
秀美は、後ろ向きのままスカートとパンティーを脱いでから、前を向いてブラジャーをはずす。すると形のいいおっぱいがプルンとはじけでる。あけみは時間をかけてもどかしそうにパンティーをゆっくり下げていく。女は二人とも、自分達が一糸まとわぬ裸で、男の前に立たされていることに、被虐的な快感を感じている。男が男の形をしたものを二つ、机上に立てて、女にそれを、みだらにしゃぶるように命じると、女達は、命じられずとも、四つん這いになって、尻をあげ、犬や猫がエサをあさるように、それらをしゃぶりだした。男達は時おり立ちあがると、背後から手を伸ばし、動物を弄ぶように体のあちこちを、撫でたり揉んでみたりする。
ややたってそれに飽きると次への遊戯となった。それは、女の型をとる、というものである。仰向けにさせ、膝を曲げてM字状に脚をひらかせ、女の部分にペタペタと型取り用の粘土をくっつけていく。おしりの穴までペタペタつけていくと、秀美は、ああ、とあえぎ声を出した。自分はこんな痴戯をして、さからえず、快感を感じるような女だと思うと情けなくなってくる。ペタペタ型取り用の粘土をはられながら感じ、時間がたって、かたまって、自分のそれの鋳型をみた時、もう自分は、つつましい上品な女ではなく、自分の友達を頭に思い出してみても、さすがこんなことをされてよろこぶ子は思い当たらず、自分は人とは違う変態なんだと、思い知らされ、死にたいほどみじめな気持ちになった。しかし同時に自分のその部分が男にそんなことまでさせるほど引きつけさせる熱力をもっていることには、少し、うれしさを否定できなかった。男は、
「ほら、お前の女の鋳型だぞ。よくみてみろ」
と言い、
「名前を彫り込み、お前の写真といっしょに、お前の上司や同僚に送ってやるよ」
などと言って揶揄する。冗談だろうが、もしかすると本当にやるかもしれない。しかし秀美は、そうされることを想像して、快感のうずきを感じ、もう自分は正真正銘の変態女なのだから、おちきるところまでおちきってやろう、という居直りの決断をもった。
男達が提案した次のあそび、は、一人を三人でいたぶるSMプレイである。エジキは、弱くてM性が強く、それでいて淫乱度が強い、肉づきのいい秀美になった。秀美を対等ではなく、おとしめた状態にするため、後ろ手に縛り、弾力のある胸と腰を縄でしめあげて、弱い、柔らかい女の肌にキビしい縄のしめあげをする。あたかも縄のブラジャーとパンティーのようであり、縄のひきしめで、肉がゆとりをなくされ、縄の間から、はじけるような、張り、ができる。男は二人とも黒いビキニパンツをはいている。あけみは元のようにパンティーとブラジャーを身につけ返した。男たちは秀美を、もはや人間ではなく、愛玩動物のように扱い、容赦なく髪をわしづかみにして、男の足の指をきれいにしゃぶらせたり、脚をひろげさせ、穴をおしひろげて、奥までのぞき、野卑な言葉をかけ、秀美を人間から、犬におとしめる。秀美は、そうされることによって感じ、口を開けて、鈍く悶えのあえぎをして、茂みの下から、ねばつく液をあふれさせている。あけみ、も男達とともに、さも楽しそうに、このいたぶりに、男のように加わっているのである。あけみは悪女でも、ハードサドでもなく、ごく普通の、多少洒落っ気のある女だが、弱く、いたぶられて酩酊している秀美をみていると、いつもは、おとなしく、理性でかいならされているS、悪女の心がムクムクと強くなってきた。秀美をみていると、もっといたぶれ、もっといたぶれ、秀美を豚以下にしてしまえ、という声がおこってきて、あけみは、我ながら自分はSだったんだなと気づかされた思いになる。が、単なるいたぶりたい感情だけではなく、いじめられることによってしか感じられない秀美が、かわいそうで、いとおしく、時おり、弱い妹をなぐさめる姉のように、秀美の髪や頬をそっと撫でた。だが憐憫の情は、あくまで秀美が、いたぶられていることを絶対の条件として、時おりおこる二次的なものであり、心の芯は、あくまで秀美をいたぶりぬきたい加虐心である。三人は、共謀して悪事をくわだてる悪仲間のように、あるいは、さらに、あけみ、がリーダー格になって、男達に、
「責め、が、まだたりないよ。もっときつく腕をねじあげてやんな」
と言ったりする。男達は、あけみの、こういう態度をおもしろがって、
「はい。ボス。すみません。もっと気を入れて責めます」
と言って、秀美の腕を力いっぱいねじりあげる。秀美は、
「ああー。」
と悲鳴をあげて涙を流す。男は、
「へっへっ。ボス。次はどんな方法で責めましょうか」
と、あけみをあねご格にした言い方できく。あけみはこれをうけて、
「よし。ウインナー責めだ。穴という穴に、ウインナーをつめれるだけつめてやんな」
表面的には、あけみの命令をあおいでいるが、ウインナー責めは、はじめから予定されていて、用意もされていて、男達はただ、あけみをあねご格にして、自分達はそれに従う子分の役になることをおもしろがっているだけである。男達は、秀美を、右の脚を、踵がしりにつくまでまげさせて、右の足首と右の腿の付け根を連結させ、右脚だけまがったままの苦しい格好にする。もう一方の脚は自由にしておくのは、多少のブザマな抵抗は、できる余地をわざとのこしておいて、もどかしさをあじあわせて困らせるためである。
「そら。はじめな」
と、あけみに言われて、男達はウインナーをまず、秀美のしりの穴につめこんでいった。ウインナーはどんどん入っていく。
「こいつはすげえや。まるでイソギンチャクのようにしりの穴がムシャムシャうまそうにウインナーを食っていくよ。オナニーする時はいつもウインナーをしりに入れてたんじゃねえのか。最低の変態女だぜ」
男が言うとみながどっと笑った。
「食事にウインナーがある時はいっつも肛門に入れて感じてたんじゃねえか」
別の男が言った。
「この女。本当に、しりの穴からウインナーを食えるんじゃねえのか。どうだ。うまいか。味かげんはどうだ」
と言ってピシャリと顔を平手打ちし、足で顔を踏みつけた。
「おいしいわ。もっともっと言って。もっと入れて。味はちょうどいいわ」
秀美は自分を守ろうとする最後の羞恥心も人間的な粉飾もすべてかなぐりすてて、Mの本性をさらけだした。
「しりから入れたものが吸収されるはずがないだろ。それより、もっとどんどん入れるんだ。そして腹の中に充分つけといて、きたないものをしみこませ、あとでひきぬいて、それをぜんぶたべさせるんだ」
あけみがたしなめるように言った。
「へい。あねご。すいません」
と言って、男達はウインナーづめを再びはじめた。あとで排泄させたウインナーを食べさせることまでは考えていなかったので、男達はいささか、あけみのサディズムのはげしさにおどろいた。7本くらい入ったところで、
「よし。今度は前の穴をつめるんだ」
と、あけみに言われて、男達は、秀美を仰向けにし、前の穴に入れはじめた。
「しりの穴ほどにはムシャムシャうまそうには食わないな。こっちの穴は本来、物を入れる穴なのに、あまりその気にならないとは、この女は本格的な変態にちがいないぜ」
男がそう言った。実際、前の穴はキュッとしまって、なかなか入れにくい。男が、躊躇していると、あけみは、
「もっと、どんどん入れるんだ。子宮の中まで全部入れるんだ。入れられなかったら、しりの穴にいれたウインナーはお前達に食べさせるからね」
と男達にしかりつけるように言ってから、ドンと仰向けの秀美の胸の上に腰掛けて、遠慮なく秀美の顔を足で踏んづけた。秀美は、
「ああー。あけみおねえ様。秀美は幸せです。つらいけれど、もっともっと入れていじめて下さい」
と涙まじりの声で言った。男達はあけみのS性のはげしさにおどろくと同時に、秀美のM性のはげしさにもおどろき、たじろいだ。秀美はナイフで本当に刺されたり、さらには殺されてもMの歓喜の声をもらしかねないのではないか、と思った。
「あとでとれなくなったら困るからもうこのへんにしておこう。あけみ」
男達はウインナー入れをやめた。8本は最低入れる予定だったが、5本が限度だった。
「じゃあ、次はここだよ」
と言って、あけみは秀美の口を指した。そこは元々、ウインナーに限らず、食べ物を入れる本来の場所である。あけみ、のS性のはげしさにいささかたじろいでいた男達だったが、淫靡の元気が再び男達にもどってきて、男達は顔を見合わせて笑った。ただ入れるのは芸がない。体中の穴、全部に…、と言ったんだから、と言って、男達は野卑な笑いをして、秀美の耳の穴や鼻の穴にウインナーを無理におしこもうとする。だが、それらの小さな穴にウインナーが入るはずはない。秀美が、いや、いや、といって、泣きながら本気の抵抗をしている苦痛の表情をみれるのが男達の加虐性快癒心を無上にあおり、それをみたさゆえ、である。さいごの穴である口となったが、二人の男は顔をみあって笑った。単なるウインナーを入れてもつまらない。男達はウインナーをとると、ちょうど寿司のネタを醤油につけて味つけするように、おたがい数本のウインナーをとると、それを自分達がはいている黒いビキニの中に入れ、睾丸や肛門からでるきたない分泌物や体臭をなすりつけ、沁み込ませるようにブリーフの上から強くウインナーを、きたない部分にはげしくおしつけるのだった。男の一人は、ブリーフをさげてウインナーをしりの穴に入るとこまで入れてから引きだした。秀美には、その間、男達の行為から目をそらさないように命じていた。いわれた秀美は涙にうるんだ瞳でその行為をみていた。秀美はそれが何を意味するか、を予感したが、秀美には、もう何もこわがるものはなかった。が、口を閉じて少し抵抗しろ、と言われて、いわれるまま、口を閉じている秀美の口を力づくでこじあけ、男達は興奮の息をあらくしながら、ウインナーを秀美の口に入れては、頭と頤をつかんで無理やり咀嚼させ、あらかじめ用意しておいた彼らの小水の入ったコップを秀美の口にもってゆき、一つのウインナーの咀嚼がおわる度に、
「固形物だけでは飲み込みにくいだろう」
とか、
「これで流しこめ、絶対はきだすなよ」
と言って、コップの中の液体を秀美の口に流しこんで秀美が溜飲を下げるのをたのしげに見守るのだった。
あけみと男二人の秀美に対するウインナー穴づめ責めが、佳境を終えた頃、ふと二人の男が次なる標的の矛をあけみに向ける心が起こって、二人は顔を見合わせてほくそえんだ。
「ふふ。次はお前の番だ」
みじめに口からしりの穴まで体にある穴を全部ウインナーでつめられ、泣きそうになっている秀美をたのしげにみていたあけみは、
「えっ。」
と言って急におそれを感じて身をすくめた。
「今度は、お前がおもちゃにされる番なんだよ」
男の一人がヤクザのようにドスをきかせた口調で言った。
あけみは、おそれを感じて、
「いやよ。この子をいじめる方がおもしろいでしょ。私はいやよ」
あけみは秀美を味方にするように秀美の頬をやさしくなでたが、秀美ははげしい、いたぶりの奮闘の余韻でグッタリしていて賛同の意志は得られない。あけみは、あせって顔を上げ、二人をみたが、彼らは涎をたらさんばかりに男のそれを屹立させ、全身はひ弱な獲物をおそいかかる野獣のエネルギーで満たされ、まさにとびかかろうとするところだった。
おそれを感じてサッと逃げ出したあけみの手を掴んで、羽交い締めにして、それでもまだ観念できず、抵抗しているあけみを、もう一人が協力してとりおさえ、あっという間に、あけみの両方の手首を縛り合わせると、梁につけてある滑車に、縄尻を通すと、ギイギイという音とともに、あけみは立ちさらしにされてしまい、さらに、彼らは、限界まで引き上げ、縄尻を固定した。
あけみは、つま先で立たされ、しりをプルプルふるわせながら、おびえた表情でいる。
二人はてこずったひと仕事がおわった安心感から、これから、ゆっくり、じっくり、あけみを責めなぶろうと、思いつつ、まずはくまなくあけみの体を鑑賞してやろうとドッカと腰をおろした。あらためてみるあけみの体は標準よりは、少し細身だが、つくべきところの肉づきはよく、まさに生けどられた人魚の呈である。わんをかぶせたような形のいい胸のふくらみは、腕を上にひっぱられている影響で、少し上向きに、引き上げられている。腰のくびれは申し分ない上に、その引き締まったウエストの下では、蒟蒻のようなしりにつづく下肢が、つま先立ちのつらさのため、ピーンと緊張したまま、小刻みにピクピクふるえている。一人が、
「すばらしいプロポーションじゃねえか。しかし、いじめてたヤツが素っ裸のさらし者になる気分てえのはどんなもんだい」
と揶揄する。男達は秀美の体からウインナーを取り出し、縄を解いた。そして体をふいて、気力がまだもどっていない秀美に人形のようにパンティーとブラジャーを身につけさせた。そうすることによって、あけみ一人を素っ裸のさらし者にして、あけみをみじめにするためである。秀美はあけみに助けを求めることに唯一の救いを求めている。男は二人、あけみの後ろにまわって交互にあけみのしりを鞭打ちだした。弾力のある尻に、鞭がぴしゃり、ぴしゃり、といきのいい音をたて、尻はどんどん赤くなっていき、男達は尻といわず、下肢から背中まで、またいきなり前から胸をびしゃんとたたいたりする。
「秀美。助けて」
あけみは、ようやく気をとりもどして呆然と、みるともなく、みている秀美に助けを求めた。
「ほら。今までいじめられたんだ。今までのうらみを、うんとはらしてやんな。鼻をつまむなり、ほっぺたを平手うちするなり、なんなりしてやんな」
と男に言われるが、秀美は淫らではあっても、Sの傾向はない。たたかれて、苦痛に顔をゆがめているあけみを見ているうちに秀美は、助けを求めても、恥ずかしさから視線のやり場に困って、顔をそらしているあけみに、たたかれ、さいなまされているあけみの体に、さらには、責めを楽しんでいる二人の男の顔に、いってみればこの光景に、せつなく、そして、今までみたことのない、形容しがたい、美しさを感じはじめていた。秀美の目に、責めむち打たれているあけみの前に無造作にちらかっているあけみの服がとまった。秀美は、おそるおそるそれを拾いあつめると、あけみの目を気にして、おびえるように、また、いままでいた位置にもどった。それを、たすけ、と解釈したあけみは涙がでかかった顔を秀美に向け、
「秀美!!」
と、一言強く、哀訴の言葉をさけんだ。が、秀美がとった行為は、あけみの予想に反するものだった。秀美はあけみのブラジャーとパンティーを、しみ込んだ体臭を、すべてかぎとるように鼻先を、特に女の部分におしあてて、あけみを愛するように、あけみの、もちものを大切そうに恍惚とした表情で我を忘れて、もちもの、と一体になっている。命があるものにささやきかねそうなほどである。おどろきより、絶望があけみをおそい、嫌悪と反感の感情を込めて、
「秀美!!」
と強く叱咤の言葉をなげつけた。
「ふふ。秀美はお前にぞっこんだとよ」
と男はあけみに言ってから、また秀美に向かって、
「おい。秀美。そんなにこいつを愛してるんなら、ものじゃなくて、本物を好きなようにかわいがってやりな」
と言って男は笑った。
秀美はスッと立ちあがると、静かにあけみの方に歩み寄った。それは男にうながされたからというより、彼女自身の意志であるようにみえた。男達は、秀美の放つ幽鬱な威圧感に圧倒され、むち打ちの手をやすめて、一歩あとずさりした。これから秀美が何をするかと固唾をのんでいると、秀美はあけみの前に鼻先がふれるほど近づくと、秀美からそらそうとしている、あけみの目をじっとみつめてから、両手をあけみの背に回して、少し髪をやさしくなでてから、これからする行為からにげられないように、頭をしっかりと固定するようにつかむと、目を閉じて、自分の口唇をあけみの口唇にかさねた。大都会の一室に落日の光が二人を包み込むように照りつける。男達はしばし、あきれて、呆然としていたが、はじめは、やや抵抗を示していたあけみもついに落城し、拒否の力を抜いた。秀美は両方の胸をあけみの胸におしつけて、チョウがミツを吸うように一心にあけみの口腔をまさぐりながら、粘液がでるよう刺激しながら吸いつづける。あけみの精神はついに最もおぞましいものが最も一体化したいものになる心境の変化を通過した。長い口吻を終えて、一休みするため、秀美が口吻の口を離して、少し顔を引くとクモの糸のような愛の粘液が、落城、受容の証明のように、切れ落ちることなく、たわみをもって、二人をつなげている。秀美はそれを自分の口の中に吸い込んだ。秀美が微笑むと、あけみは恥じらいから目をそむけてはいたが、頬は受容の朱変を示していた。秀美は、項から胸へ、そして下の茂みへ、そして後ろに回って、背中へ、そしてムチうたれて、赤くなっている尻へ、ちょうど動物が傷口をなめて消毒するように、子供が人形をかわいがるように、あちこちに、そっと、やさしい口づけをした。あるいはそれは口吻によって赤くなった肌をいやそうとするような心理も秀美の心に作用した。あけみは興奮のあえぎを何度ももらした。しかし秀美は、あけみのいましめを解くようには願い出なかった。むしろ、いましめられて、つま先立ちで身をふるわせているが故にあけみがいとおしく、美しかった。
「へへ。秀美のヤツもそうとうなもんじゃねえか」
男が揶揄した。秀美は言った男の目を掠めみると、そろそろとブラジャーとパンティーを自ら脱いで今度は何かを求めるような、ものほしげな目で再び、男達を弱々しく見た。男はその意図するものを察することができなかった。秀美はそろそろと受刑されているあけみに近づくと、寄りかかるように、あけみの肩にもたれかかり、そして男達をおどろかしたことに、しずかに、ゆっくりと両手を自ら後ろへもっていき背中で手首をかさね合わせた。男達は、がてんがいった。
「そうかい。二人して仲良くならんで縛られたいってわけかい」
男達はさっそく秀美を後ろ手にしばりあげ、あまった縄を、あけみをつるしてある縄とからめるようにして、つるした。一方、あけみの方は滑車をゆるめて、つま先立ちの苦痛をゆるし、さらに手首の縄も解いた。あけみは自由を得たが意志のやりどころに迷って、どうしたらいいかわからない、といった様子である。男達は、あけみの両手をウムをいわさずムズと掴んで、背中にまわして、高手小手に縛り上げた。縄尻は再び滑車に通して固定した。だが、あけみはさからおうとしなかった。むしろ素直に従い、また、そうされることを求める感情もあけみの心に生まれていた。二人が離れないように男は秀美の右の足首と、あけみの左の足首とを二人三脚に縛った。二人は目を閉じ口唇をあわせ、吸い合った。二人とも口からも下の茂みからも愛のミツがあふれている。
「涙が枯れ果てるまで鞭打ってやるぜ」
交互に打とうぜ、と言って男はそれぞれ二人の後ろにまわった。
呵責の鞭が振り下ろされた。
太陽の季節