短々落語「やっぱりイナバの白兎」
400文字以内のショートショート落語臭
「やっぱりイナバの白兎」
昔々、イナバという国に白い兎がおりました。その国には100人乗っても大丈夫な物置もありました。ある日、沖ノ島の神様から兎に手紙が届きました。中秋の名月を楽しむ会にお呼ばれしたのです。兎は喜びました。その日、兎は物置から杵と臼を出し、それを担いで島へと向かいました。ですが、兎は向こう岸まで渡れません。すると一匹のワニが現れました。兎はワニに「僕を君の背中に乗せてもらい島まで渡らせてくれないか、お礼に君の秘密を教えるから」と話を持ちかけました。ワニが兎を島まで渡すと早速秘密を尋ねました。兎は言いました「お前さんは100日後に死ぬのさ」。愕然としているワニを見て、兎が言いました「うそっぴょーん」。騙されたワニは怒り兎を追いかけました。兎は猛スピードで脱兎の如く逃げました。それを見ていた島の住人達は、兎を「脱兎さん」と呼ぶようになりましたとさ。
えっ、兎がどこに逃げたかだって。
そりゃ、お月様に決まってらぁな
短々落語「やっぱりイナバの白兎」
お後がよろしいようで。