夕方を透う

ふと、目を閉じたくなるような
透明な夕方に佇む
まるで、遠い世界に今でも君が
側に居るような感覚に耽る

ここには本来何も無いのだとすれば
生きるも死ぬも気のせいなのだろう

何故すべてが存在しているのか、
きっと自分だけが知っている。

蝉も蜩も嗄れてしまうまで
生きている記憶を詠う
青く、淡い未来に今でも僕は
夢を見るような想像を選ぶ

もとには二度と戻れないのだとすれば
幸も不幸も今だけなのだろう

風に揺れながら人生を悟るなか、
そっと時間だけが過ぎている。

夏に触れながら夜黄昏れるなか、
きっと自分だけを信じている。

夕方を透う

夕方を透う

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-07-15

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