夕方を透う
ふと、目を閉じたくなるような
透明な夕方に佇む
まるで、遠い世界に今でも君が
側に居るような感覚に耽る
ここには本来何も無いのだとすれば
生きるも死ぬも気のせいなのだろう
何故すべてが存在しているのか、
きっと自分だけが知っている。
蝉も蜩も嗄れてしまうまで
生きている記憶を詠う
青く、淡い未来に今でも僕は
夢を見るような想像を選ぶ
もとには二度と戻れないのだとすれば
幸も不幸も今だけなのだろう
風に揺れながら人生を悟るなか、
そっと時間だけが過ぎている。
夏に触れながら夜黄昏れるなか、
きっと自分だけを信じている。
夕方を透う