ねむのき

やない ふじ

ねむのきを見るのは夕方がいい

西日が雲をふちどるとき
自転車のライトが点いたとき
伸びた葉っぱのみどりがしずみ
細かいももいろが大気にとける

花の匂いにひたされたまま
橋の上から煙突を見る
眠らない街を知っているのは
鉄の色した川の音だ

ここでないどこかを願うとき
きのうの晴れを祝うとき
あかく滲んだ空のきわから
よその生きものの歌がする

ねむのきを見るのは夕方がいい。

ねむのき

ねむのき

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-07-13

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