夕立ちが止んだら

不可侵の桃源郷が
いつまでも守られるように
優しい言葉を
たったひとりのために叫ぶ、愛だからね


掴みそこねた手をもう一度
懐かしい手遊び歌で誘い出すことができたら
よく響いた声を
なぞるように口ずさむ、祈りとしてのメロディー


握りしめていたお守りが
いつからか必要でなくなったとき
お手軽転生と紙一重で哀悼の気分、でも
消えてなくなるわけではないからね
どこにでも行ける、あの温かさで
まぶたを閉じても安全な場所で

夕立ちが止んだら

思い出せる中でいちばん古い優しい記憶、地蔵盆と母親の思い出話

夕立ちが止んだら

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-07-12

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