そんな濡れ衣なら燃やしてしまえ

雪水 雪技

そんな濡れ衣なら燃やしてしまえ

Twitter詩まとめ11

切り取り線を無視して

ハサミを使って
ばちばちと裁断

随分と乖離したね

点線通りに切れなかった
言われた通りにやろうとしても
ボタンをかけ違っていくような

あやういてもとに
いつも悩まされて
褒められたものは無い

作りたいように作れば
わかるのは私だけの孤独

それでよいから
ばちばち切り落とせ

甘味欲しがる体内

砂糖のとけた
あげぱんを
くちもとを
ぺたぺたにして

喰らう日

懐かしい気持ち

喉痛く
眠たく
だるく

ただただ甘いものを求める

胃に重くとも
瞼重くとも
食べること
生きること

甘い甘いあげぱん
しっかりかため
そとしっとり

懐かしい味が
夢にも出る
重たいからだ
朦朧のまなこ

Pandōrā 2

寝起きの眼前には
鍵が大量に散らばる始末

空から降る南京錠
いくつ匣を開ければ
あの子を自由に出来るのか

鍵付きの日記帳の中
眠るパスワードたち

何もかも閉ざさなければ
何も守れない時代だから

心を開けと近付く人よ
あの子の自由を祈ってくれ

囚われるな
甘んじるな
努力と困難に

幼き手

丸い手でつかむ
おはじきは
とうめいな
子供の硬貨

畳にならべて
ながめている

なぜ色が泳いでいられるか
ふしぎに思いながら

黄色の網から出して並べている
掌いっぱいにつかめる感激

わずかなぎざぎざ撫でてみて
その感触に喜びふくらむ

次はおままごと
お椀の中
混ざり合う音
楽しむ正午

それぞれの信仰

終わりの日は
荒野を動物が光り走る

私には何も無く
呆然としたまま

ただ全てに飲まれていった

空に巨大で透明な鯨のような
天の使いがおよいでいる

何かを問うても
それは何もかも
決められていたこと
そう言われて
それ以上は無くて

今更何を言っても遅く
天を見つめて何かを改めて

不可侵のラプラス

カイトを飛ばして雲の上
グライダーが自由を呼んだ

空にも海にも地上にも
等しくあるものたち

サイコロを振らない今日

ラプラスは何も侵さない
広場にて創作に興じてる

この日が記念日になる
この日が感謝祭になる

さあさ、
食べよ、満たせ、創り出せ
音を色を息を弾ませて
笑い合う365日

天と地とうた

かいぶつの目が光る
今夜喰われる運命
うたをうたう命

一体となる日に
何を生み出せるか
私の心臓は大海になる

落ち着きなく波立つ脈
鯨は再び陸を目指すか
陸から海へ戻る生物か

生まれることは祝福
生み出すことは喜び

かいぶつになる日

この地球で何度でも
生み出し続ける
天命の享受

目の回る子

海の中にわすれもの
生まれた日にしてる

チャイムと同時に気付いて
ぼんやり先生を見ていた

さっき叱られ時から
わたしは宙に浮いたまま

そのまま帰りたくなる午後
水槽の水が合わない気がした

太陽光のおだやかさが
わたしの緑色の憂鬱を浮かべる

みんなから暗い子と
名付けられた時代

たよりありて

寝台列車の窓から
つめたくまるい便りが届く

わたし宛に大切なこと
それは鳥の鳴き声のよう

白くなる空から
たしかに届いた

わたしは飛行機に乗る
新大陸に向かうため

電子メールは届かない
伝書鳩はストライキ

どこへいくかは風まかせ
これは運まかせの伝言ゲーム

嘔吐した今朝

目が眩む
すべて罰

涙を浮かべ
冷たくなる爪先

よくゆすいでおく
しずかにしていて

フローリングに
動かない私の体

動物と静物の境目みたい

薬は全て飲みました
用法容量どおりに

違和感と不快感の中
朦朧としてまどろむ

引かない痛みに
くいとめられて

この肉体から離れたい

似たり寄ったり

曇り空は私を映す
空っぽの私を
ありありと

暗転した劇中劇
白ける客席

曇天の下激情する話
誰が誰を好きか嫌いか

それらを組み替えて
あんばいよく並べて
違う物に似せた同じ物

痛む精神の棘たちが
私の指を刺す悲しさ

思い出の加工品は
不純物だらけ
添加物まみれ
食うな喰われるな

思念は実験台となる

無意識のフラスコ
潜在意識のアルコールランプ

脳内で起こる空想疑似科学の時間

貴様の指先はリトマス試験紙だ
高圧的擬態講師による煽動講義

実につまらぬ反証だと舌を回す
芝居がかる言い回し

薬品が飛び散る
不衛生な箱に集う
思想未満の亡霊
七不思議未満のゾンビ
おぞましき無念の影絵達

かいぶつころしのお薬

こおりガラスがとけてゆく
夏のひざしにさらされて
わたしの頭痛は酷くなる

境目は鮮明にしておくこと
曖昧にしてきた雑事たちは
わたしのみぞおちで暴れる

不安の正体なんて大抵瑣事

よくもまあこんな怪物に
育てたものねと笑われる

理解より安いものはない
よく効く痛み止めを買ってくれ

傍観された破滅

偽薬をつかまされたと
影につかみかかる
神経の刺々しさが
理性に勝る本日

暴れる私
泣いてる私
傍観する私

私は私にて完結する事象

きれいだけではない世界
現実だけではない世界
夢より夢らしい世界

破滅を暴食するランチタイム
内臓が綻び出した安息日

養生せよと金縛りに遭う午後

鳥瞰図

主題につかまらない
何もないから
何でもうめた

くくられたくない
そう思った日
破裂した自我

燃やし尽くしてから
息絶えることを誓う
絶望の先に深淵

固定されるぐらいなら
千切って捨て去る
とらえられない影

それだけに焦がれた

まわる
降りる
わきあがる
息をするように
世界に降らせる

消滅のうた

ぴんぼけランプ
しおりのちょうちょ
ガラス細工の蝉時雨

架空が現実を食べ尽くす
宇宙と輪郭が溶けてなくなる

お祭りをするしかない
絵日記帳はもういらない

今日も昨日も明日もない
永遠もないとんでもない

歯車の最期は大輪の花
パラレルする悪夢から
覚めぬ止まぬ永久機関

あまのじゃく空想紀行

知らない国旗
知らない滑走路
知らないわたし

ぽつねんと立っている

知らない言語
知らない文化
知らない飛行機

今は飛べない
理由は知らない

ほらロケットは飛んでる
宇宙に何を見るのだろう

みんなが飛ぶなら
わたしは沈もう

胃袋と頭の重さで深海まで
沈め沈め、鎮静剤の子守唄

鋼鉄防壁のつくりかた

借り物のからだ
ほつれたままで
人形劇を続けてる

気まぐれなあの子と
友達になりたくて

おままごと遊びの時の
私の役は意地悪なお姉さん

いつも決められた役を
こなしていた五歳の私

時々の友達ごっこ
無邪気に喜んだ子供時代

仲間外れに慣れ始め

私を守った孤独主義
破滅を防いだ厭世主義

そんな濡れ衣なら燃やしてしまえ

風の音か雨の音か
わからなくなる
夕方未明

私は夕暮れと夕立の
コントラストで泣き出した

はれあがった目には
しみるひかりあかり

洗い落とせないもの
水に流せないもの

水をふくんだシャツの
鬱陶しさにも似た受難

不安定な気圧
乱高下する気分

もう脱ぎ捨てた
二度と着ない濡れたシャツ

Bug

天にかえる
あまがえる

天を舞う
てんとう虫

天地創造
言霊の誕生
ビックバンから
直線的な時間を
黒板で習ってきた

少しずつずれて
フィルムの隙間
隠しダンジョン
パラレルの世界
多重宇宙の存在

百科事典枕にして
うたた寝の夕方
空に浮かんでる
円盤が笑ってる

サーチライト
届いてね

そんな濡れ衣なら燃やしてしまえ

そんな濡れ衣なら燃やしてしまえ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • ミステリー
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-07-11

Copyrighted
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Copyrighted
  1. 切り取り線を無視して
  2. 甘味欲しがる体内
  3. Pandōrā 2
  4. 幼き手
  5. それぞれの信仰
  6. 不可侵のラプラス
  7. 天と地とうた
  8. 目の回る子
  9. たよりありて
  10. 嘔吐した今朝
  11. 似たり寄ったり
  12. 思念は実験台となる
  13. かいぶつころしのお薬
  14. 傍観された破滅
  15. 鳥瞰図
  16. 消滅のうた
  17. あまのじゃく空想紀行
  18. 鋼鉄防壁のつくりかた
  19. そんな濡れ衣なら燃やしてしまえ
  20. Bug