蝉と蛍
はぁ〜ベンベベンッ!
気が付けばもう手遅れで、
目の前の君はもう居ない。
半信半疑で過ごしてきた、
あっという間の楽しい時も。
今思えば悔やむ思いで、
陽も落ち寂しい夕暮れどき。
いつもは二人で眺めて過ごし、
星見つけてはバイバイと。
風と一緒に去る二人、
連なる街灯が滑走路。
家路に着けば思い出す、
次も笑顔で会えるかな?
今はもう幻影に、
季節は同じに汗騒ぎ。
蝉はまだ鳴かぬ頃、
蛍はまだ水の中。
土の中の年月と、
陽射しの下で鳴く時に。
蛍は黙って身を焦がし、
蝉だけ恋に騒がしく。
二人はどっちか?空見上げ、
月が出てきて笑われた。
「 恋に焦がれて鳴く蝉よりも
鳴かぬ蛍が身を焦がし 」
ぼくは一生蝉のまま、
蛍は遠い空へ舞う。
月笑う隣に流れ星、
蛍は流れて消えてった……
蝉と蛍