蝉と蛍

蝉と蛍

はぁ〜ベンベベンッ!


気が付けばもう手遅れで、
目の前の君はもう居ない。

半信半疑で過ごしてきた、
あっという間の楽しい時も。

今思えば悔やむ思いで、
陽も落ち寂しい夕暮れどき。

いつもは二人で眺めて過ごし、
星見つけてはバイバイと。

風と一緒に去る二人、
連なる街灯(あかり)が滑走路。

家路に着けば思い出す、
次も笑顔で会えるかな?

今はもう幻影に、
季節は同じに汗騒ぎ。

蝉はまだ鳴かぬ頃、
蛍はまだ水の中。

土の中の年月(としつき)と、
陽射しの下で鳴く時に。

蛍は黙って身を焦がし、
蝉だけ恋に騒がしく。

二人はどっちか?空見上げ、
月が出てきて笑われた。

「 恋に焦がれて鳴く蝉よりも
鳴かぬ蛍が身を焦がし 」

ぼくは一生蝉のまま、
蛍は遠い空へ舞う。

月笑う隣に流れ星、
蛍は流れて消えてった……

蝉と蛍

蝉と蛍

月に蝉、星には蛍。

  • 韻文詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-07-10

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