短々落語「南の瓜」
400文字以内のショートショート落語臭
「南の瓜」
(え~毎度ばかばかしい話を一席、お付き合いのほどを。世の中には、現物を持たず、先の将来にそれを決め値で売り買いする、なんてちょっと胡散臭い商いもあるようでして…)
かぼちゃ、唐茄子、パンプキン、どうだいどうだい、南京が安いよ。よっ、そこの旦那、かかぁへの土産話に一つどうだい?
かぼちゃ、いくらだい?
キロ百円でさぁ。
唐茄子は?
キロ百円でさぁ。
では、パンプキンは?
キロ百円でさぁ。
じゃぁ、南京は?
キロ百円でさぁ。
どれも同じなのかい。
当り前田の大車輪キック、どれも南の瓜の呼び名ですがな。旦那、知らないのかい?こう見えて素人さんだね。
本当に同じ南の瓜で名が違うだけかい、折角なので貰おうかね、試しにかぼちゃとパンプキンを一つずつ持ってきておくれ。
旦那、馬鹿言っちゃぁいけねぇ、ここにはありませんぜ。
ここにないって、どういうことだい。
旦那いやだなぁ、南の瓜だけに、「からうり」と相場は決まってらぁな。
短々落語「南の瓜」
お後がよろしいようで。