短々落語「茶番」

400文字以内のショートショート落語臭

「茶番」

ごめんよ。

いらっしゃいまし(きちまったよ、(うわさ)道楽旦那(どうらくだんな)が…)、どうぞこちらへ。

お見受け( うけ )した(ところ)、茶に精通(せいつう)したお茶屋(ちゃや)とみた。

えぇ、だいだいやっておりまして。

では抹茶(まっちゃ)を一つ。

かしこまりました。(奥に戻った店主、おかみさんとやり合います)


(お前さん、だいだい、だって。だいだいって言っても先祖は蜜柑農家(みかんのうか)じゃないか、お茶屋始めたのは三日前(みっかまえ)だよ)
(だいだい)を作っていたんだから、間違ってないだろ、そう茶々(ちゃちゃ)を入れるなよ)
(いいのかい、お前さん、水に(みどり)の絵の具を溶いたもの出しちゃって)
生憎(あいにく)、抹茶切らしてるんだ、わかりゃしないよ、これで茶を(にご)そう)


お待たせしました、秘伝(ひでん)の抹茶でございます。ごゆっくりと。

目に()えるビリジアン(いろ)、では早速(さっそく)。(ゴクリと旦那(だんな)一口(ひとくち)、口に入れると顔が(ゆが)みます)

おーい店主、ちょっといいかい。

(お前さん、茶番(ちゃばん)に気が付いたんじゃ…)

はい、何でございましょう。


茶筅(ちゃせん)をもってきておくれ。混ざりが足りぬ。


 

短々落語「茶番」

お後がよろしいようで。

短々落語「茶番」

ごめんよ。いらっしゃいまし(きちまったよ、噂の道楽旦那が…)、その顛末やいかに。400文字以内のショートショート落語臭。とても短い創作落語。

  • 小説
  • 掌編
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-07-05

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted