短々落語「茶番」
400文字以内のショートショート落語臭
「茶番」
ごめんよ。
いらっしゃいまし(きちまったよ、噂の道楽旦那が…)、どうぞこちらへ。
お見受けした処、茶に精通したお茶屋とみた。
えぇ、だいだいやっておりまして。
では抹茶を一つ。
かしこまりました。(奥に戻った店主、おかみさんとやり合います)
(お前さん、だいだい、だって。だいだいって言っても先祖は蜜柑農家じゃないか、お茶屋始めたのは三日前だよ)
(橙を作っていたんだから、間違ってないだろ、そう茶々を入れるなよ)
(いいのかい、お前さん、水に緑の絵の具を溶いたもの出しちゃって)
(生憎、抹茶切らしてるんだ、わかりゃしないよ、これで茶を濁そう)
お待たせしました、秘伝の抹茶でございます。ごゆっくりと。
目に映えるビリジアン色、では早速。(ゴクリと旦那が一口、口に入れると顔が歪みます)
おーい店主、ちょっといいかい。
(お前さん、茶番に気が付いたんじゃ…)
はい、何でございましょう。
茶筅をもってきておくれ。混ざりが足りぬ。
短々落語「茶番」
お後がよろしいようで。