短々落語「かい文遊び」
400文字以内のショートショート落語臭
「かい文遊び」
ご隠居いるかい?
なんだい八つぁん。
三日前から変な手紙が届くんでさぁ(懐から三通の手紙を出し渡す)
何々、三日前が「トマトと的」、一昨日が「確かに紳士に貸した」、そして昨日が「世の中ね顔かお金かなのよ」、一枚にたったのこれだけかい。
あぁ、差出人の名も住所も書いてねぇ。気味悪い手紙だよ。
ははぁーん、八つぁん、これは回文だ。
なんだい、回文って。
上から読んでも下から読んでも同じになる文だよ。
どれどれ、トマトと的、下から読むと、とまととまと、あら本当だ、面白いねぇ。
八つぁん、これは子供の悪戯じゃないのかい。又来たら見せておくれ。
合点だ。
(後日)
ご隠居てぇへんだ、回文じゃない怪文がきちまった。
八つぁん、何言ってるんだい、落ち着いて見せておくれ。(手紙渡す)
何々「金ダセ子は預カッた」、確かに回文じゃないね、怪文だね。
ご隠居、どうしよう。
慌てなさんな、お前さん、子、いないじゃないか。
短々落語「かい文遊び」
お後がよろしいようで。