短々落語「天衣無縫」
400文字以内のショートショート落語臭
「天衣無縫」
(世の発明はいつでも注目されるもので、それが若い女性の発明ともなれば、俄然脚光をあびるものでして…)
ご隠居、テレビ中継始まったよ。
八つぁん、なにかい、この割烹着姿のお嬢さんが発明したというのかい。
そうだよ、ほら記者会見が始まるよ。
記者「本当に作れるのですか?」
女「はい」
記者「別の論文ではできないとありますが」
女「できます。今からそれを証明します」(と、女は割烹着を脱いで裏返しそれをカメラに向けます)
女「よく見てください。この縫い目を」(フラッシュ音と閃光が彼女を襲います)
女「まつりでも、かがりでもない、ましてや、なみとは一線を画する全く新しい縫い方です」(おぉーと会場がどよめきます)
女「この段々とステップを踏むような縫製を私は見つけました」
(いきり立つ 記者)「で、それは何ですか?」
女「STEP裁縫。ステップ裁縫は、あります」
八つぁんよ、彼女は天衣無縫だねぇ。
短々落語「天衣無縫」
お後がよろしいようで。