短々落語「たらねち」
400文字以内のショートショート落語臭
「たらねち」
(もしあの時こうしていたら、こうしていれば…、なんて「たられば」は世間ではよくある話でして…)
八つぁん、どうだい?(お見合い写真を渡す)
ご隠居、別嬪さんだね、お付合いできるのかい
あぁ向うは乗り気、だが訳ありじゃ
なんだい、訳ありって
性格に難、でも試すのもよかろう。(こうして付合いが始ると二人は悉く…)
女「たらたら言うもんじゃないよ」
八「ねちねちいつもうるさいね」
女「いつもって何よ、どこがうるさいのよ。あんたこそ常にたらたら」
八「又々、ねちねちうるさいね」
女「又々って何よ、もう鱈々いうな、鯖々して」
八「お前こそ、ねちねちやめろ鱚々するな」
(まるで魚屋の喧嘩の様な二人の言い争いは巷でも話題となり、やがてそれは「たらたら言ったらねちねち」「たらたらねちねち」に変り、ついには…)
ご隠居、また「たらねち」が始まったよ。ご隠居が八つぁんに写真を見せなければねぇ
熊さん、「たらねち」、否「たられば」はおやめ
短々落語「たらねち」
お後がよろしいようで。