短々落語「たらねち」

400文字以内のショートショート落語臭

「たらねち」

(もしあの時こうしていたら、こうしていれば…、なんて「たられば」は世間ではよくある話でして…)
八つぁん、どうだい?(お見合い写真を渡す)

ご隠居、別嬪(べっぴん)さんだね、お付合いできるのかい

あぁ向うは乗り気、だが訳ありじゃ

なんだい、訳ありって

性格に難、でも試すのもよかろう。(こうして付合いが始ると二人は悉く(ことごと  )…)


女「たらたら言うもんじゃないよ」

八「ねちねちいつもうるさいね」

女「いつもって何よ、どこがうるさいのよ。あんたこそ常にたらたら」

八「又々、ねちねちうるさいね」

女「又々って何よ、もう鱈々(たらたら)いうな、鯖々(さばさば)して」

八「お前こそ、ねちねちやめろ鱚々(ぎすぎす)するな」


(まるで魚屋の喧嘩の様な二人の言い争いは(ちまた)でも話題となり、やがてそれは「たらたら言ったらねちねち」「たらたらねちねち」に変り、ついには…)

ご隠居、また「たらねち」が始まったよ。ご隠居が八つぁんに写真を見せなければねぇ


熊さん、「たらねち」、否「(いや  )たられば」はおやめ



 

短々落語「たらねち」

お後がよろしいようで。

短々落語「たらねち」

見合い写真を渡された八つぁん…、その顛末やいかに。400文字以内のショートショート落語臭。とても短い創作落語。

  • 小説
  • 掌編
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-06-29

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted