航路不明、風は吹く

雪水 雪技

航路不明、風は吹く
  1. 向日葵のうた
  2. てんとう虫
  3. サンドロイッチ
  4. 無為の生活者
  5. みちくさ
  6. たばこ
  7. 童女のこころ
  8. 戦場にて
  9. たたかいごっこ
  10. 旧しゃかいじん
  11. お天気占い
  12. 旧式コンピュータ
  13. かくれんぼ
  14. 暗黙の了解
  15. サンタクロースが今年も来ますように
  16. からっぽ
  17. 火宅の最中にて
  18. いびつなままで
  19. Serenade
  20. 航路不明、風は吹く

向日葵のうた

今がどれほどの暗さか
はかることはおろかだ

何人にも日の出はくる
だからこその絶望の詩

同時に希望はいつも
同じ場所にあるのも

知っていることだ

生ぬるい絶望なら
聞き飽きただろう

目を背けられぬ希望
眩しくても瞑らぬ光

そこに何を見たかを
書き連ねる生業なり

てんとう虫

のぼるは東から
しずむは西へと

いつもおなじこと
飽きずに繰り返す

それが日常だと
思い込むこわさ

これは奇跡だと
喜べる愚直さに

嘲笑するか
関心するか

せめてお天道様を
見上げられる生き方

最期には光を見つけられる
そんな生き方を求め続けて

今朝の食卓に惜しみのない感謝を

サンドロイッチ

やわらかな食パンに
トマトにきゅうりと
からしマヨネーズで
サンドしたなら、

我が家のサンドロイッチ

インスタントコーヒーをそえて

にこにこ笑っていただきます

これが我が家のモーニング

優雅で閑雅な朝の食卓

無為の生活者

いつでも輝きを保つため
日々磨くものがあるのなら

その行為そのもののために
生まれてきたと言ってもいい

一行にも満たない物語でも
存在したことが語られなくても

そもそも意味なんて一つもなくても

ここに在るそのことだけが
生きることそのものに値する

赦し進み絶える
困難と愛と詩、

みちくさ

不安を呑み込み
夢に飲み込まれ

私は長い旅をしている

目的もなく
行くあてもなく

ただふらふらと歩いている

大義がないことはしあわせだ
難儀なことはおおかれど
おおくを望まぬしあわせを

道草噛み締めて酸っぱい味

ゆらゆら揺れて歩いている

根無草の憂いと喜びを

たばこ

お昼のかえるが鳴く頃に
田んぼでたばこの時間です

おにぎり握ってきましたよ
あなたの好きなエビフライ

海苔巻き彩りきれいでしょう
たくさんたくさん食べなさい

うめな、うめな、
け、け、け、

この味この空気わすれまい
どうかどうか遠くとも

どこまでいっても
ひとりじゃないと

童女のこころ

きいろいあひるの行進と
ゆめにでてきたシャボン玉

まざりあった絵の具は夢の色
こぐまのぬいぐるみを抱き上げて

今朝を目指してあるいていた
あかいくつはぴかぴかひかる

あの日ゆめみたおもちゃばこ
ひっくりかえしてあそびたい

毎日ゆめのような玩具の行進
ひろい草原でおままごと

戦場にて

さかみちをゆく
けものみちをゆく
ほそうされたみちをゆく

どこもおなじだった
どこに行こうと同じであった

何かを変えなければと
いつも躍起になっては

から回って落下して
また振り出しに戻った

その度に口惜しくて
無策に飛び出して
生傷ばかり増やした
日常は戦いであった

たたかいごっこ

期待されれば嬉しいだけの
簡単な人間だった

増やした荷物の置き場が見つからない
整理整頓は苦手だ苦悩だ

何もかも手付かずになることは
許されぬと自ら奮い立ち

何度でも挑んだ
何もかも戦いであった

悲しいかな、私は戦士ではなく
鎧の着方もわからない子供
気がついた、荒野にひとり迷子

旧しゃかいじん

ずいぶんとおとなぶって
今日まで歩いてまいりました。

正しい言葉遣い
あらゆるマナー
美辞麗句並べて
テンプレートの活用

おとなぶってまいりました。

背伸びのクセが抜けないまま
理想を追いかけるのが常となり

自分をかまってやれませんでした。

わがままを言え、
泣きながら歩こう

お天気占い

蜻蛉の目に映るのは
昨日今日と明日の天気

どれをのぞいても
雨、雨、雨

それなら蜻蛉はどうするの?

雨露しのぐ軒を探すと言っていた

カラコロとなる下駄を履いて
お天気占いしてみても

雨、雨、雨

私も軒を探さねば

旧式コンピュータ

心象風景スケッチブック
リスト化された感情ブックマーク

そこは地雷よ、マーカー引いて
教えてもらえて拾った命

何にも響かぬ言葉をも
後生大事にしなければ

義理堅くありなさい
不義理ではなりません

しかしメモリに空きはありません

無理して食べた
あの日のランチ
どんな味?

かくれんぼ

だれかのかわりになれたら
わたしはそのときどこにいる?

かくれんぼのおにはだれ?
なんにもルールがないまま

そつぎょうしちゃって
おとなになっちゃって

いまでもだれかのかわりをやるの?

わたしの「もういいよ」がきこえたら

はやくさがしにいかなくちゃ

暗黙の了解

黄緑色した信号機
進むか止まるか悩んでる

赤く熟せば食べられる
果実の運命と同じ

止むか降るかで悩んでる
天に委ゆだねられない性

譲るものを探しに街に出た
登下校にまぎれこみ

あの信号機の答えを探る
みんな熟すのを待っていた

食べて無くしてしまえばいい

サンタクロースが今年も来ますように

緑黄色をきちんとたべる
あなたはいい子ね

与えられたものを微笑む
あなたはいい子ね

安らかさを与えられる
あなたはいい子ね

いい子よいい子、
育つといい

いつか放たれる運命
どうして今嘆きましょう

私は今しあわせです
天に誓ってしあわせです

だから神様許してください

からっぽ

ピアスを開けた夢を見る
私の空洞を探しまわって

落ちた穴は底なしだった
落ち続けて何年経った?

上では審判が始まってる
ここじゃよく見えやしない

何もかも理不尽だと知ったふり
大きな壁にいつも文句を言った罪

音もなく裁かれ今に至る夜

苦しむ私を起こすのは胃痛

火宅の最中にて

かまどを消したのお爺さん
これできれいきまとまった

今ではみんなわらってる
それでよかったと思ってる

私は私の難題を
笑い話にするために

無策の奔走劇
命懸けでこれを書いて

どこへいこうか考える
何をあと棄てればいいか

何も無かったと気付いた時
なんて言ったら面白いかな

いびつなままで

地軸がズレて数百年
もうみんな忘れてる

僅かな歪みも許すから
常識が逆立ちしている

それを見て笑う大人たち
難しい顔した子どもたち

平等な分配を可能にする
どんぶり勘定上手くなる

ちぐはぐだった生き方が
大喝采を浴びる日が来た

太陽のように笑い
月のようにふくむ

これぞ大団円也

Serenade

月が満ちるように
あなたは美しくなる

セレネ、あなたのように
美しい旋律を奏でられたなら

金色の祝福が満点の星空より
ピラミッドは光を取り戻した

今宵クピドの弓矢は誰を射抜くだろう

この世の新たなロマンスを生む神々
舞台の上、楽しむ演者、人類たち
エンディングロールの夢を見る

航路不明、風は吹く

迷いながら覚めた夢
蓄積された記憶が
地図のように広がる

同じところをぐるぐる回り
同じことでぐるぐる悩み

またコンパスが壊れたような朝

指針不明、航路不明
風は東から吹いている

それでもこうかいは終わりません
この世の果てまでまいりましょう

航路不明、風は吹く

航路不明、風は吹く

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2021-06-28

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