亡霊

もう終わりにしたい。そんなふうに思いつづけ、結局、依然生きながらえている。臆病者だ、自分は。

惨めな奴だ。

いつかの断片の切っ先が突き刺さっている、

胸の深奥に、無数に。

戻らない日々だけが愛しくて、

残酷なほど美しくて。

繰り返す日々の中でみえるのは、面影だけ。

過去の色彩に彩られた、くすんだ現在の上。

砂上に花を幻視して。

一輪の花をとらえて。

夢から醒めないうちに死なないと、

それは真実にならないのにね。

最期まで、不器用だね。

囚われていた日々が、

魘されていた日々が、

幸福な記憶もろとも、

泡沫のように弾けた。

亡霊

亡霊

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-06-27

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