星屑

夜が迫ってきた。息苦しい夜が。

僕はもはや、自分がどこにいるのか、どこに向かっているのかさえわからない。この息苦しさの原因も、それを鎮めたいのかどうかもわからない。今となっては、すべてがどうでもいい。

すべては、気休めに過ぎないから。

僕らは無意味であることに耐えられないから、意味を与えようとする。価値を見出そうとする。自分にとっての真実を追い求めている。絶えず追い求めている。

それは途方もない行為だ。

その途方もなさが、僕らを愚かたらしめている。不完全たらしめている。僕らは永久に満たされない。人間の欲望には際限がない。

僕は夢見ることしかできない。

理解信仰に毒された僕らは、いつまでも自分の誤解を理解と呼び、過去を美化しつづける。自分でそうしなくても、ひとりでに美化されていく。息の根が止まるまで。

途方もない気休めの果てには、途方もない虚無感しかなかった。一切は変わってしまう。変わりたくない僕は、変わらない為の物語を欲していた。僕は、自分の為だけに書いていた。

現実に、救いなどなかった。

愛を求めなくなり、理解を求めなくなり、承認を求めなくなった。それらは、気休めに過ぎないから。

夢見ることだけが、救いだった。

すべてが等しく無価値である世界は、こんなにも心地がいいのか。意味から解放されてはじめて、僕は自分の人生を生きているような気がした。

自分に価値があるなどと思ってはならない。そう思った瞬間から地獄は始まるのだから。

僕は、一つの結晶だった。

僕という、一つの真実だった。

星屑

星屑

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-06-27

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