星屑
夜が迫ってきた。息苦しい夜が。
僕はもはや、自分がどこにいるのか、どこに向かっているのかさえわからない。この息苦しさの原因も、それを鎮めたいのかどうかもわからない。今となっては、すべてがどうでもいい。
すべては、気休めに過ぎないから。
僕らは無意味であることに耐えられないから、意味を与えようとする。価値を見出そうとする。自分にとっての真実を追い求めている。絶えず追い求めている。
それは途方もない行為だ。
その途方もなさが、僕らを愚かたらしめている。不完全たらしめている。僕らは永久に満たされない。人間の欲望には際限がない。
僕は夢見ることしかできない。
理解信仰に毒された僕らは、いつまでも自分の誤解を理解と呼び、過去を美化しつづける。自分でそうしなくても、ひとりでに美化されていく。息の根が止まるまで。
途方もない気休めの果てには、途方もない虚無感しかなかった。一切は変わってしまう。変わりたくない僕は、変わらない為の物語を欲していた。僕は、自分の為だけに書いていた。
現実に、救いなどなかった。
愛を求めなくなり、理解を求めなくなり、承認を求めなくなった。それらは、気休めに過ぎないから。
夢見ることだけが、救いだった。
すべてが等しく無価値である世界は、こんなにも心地がいいのか。意味から解放されてはじめて、僕は自分の人生を生きているような気がした。
自分に価値があるなどと思ってはならない。そう思った瞬間から地獄は始まるのだから。
僕は、一つの結晶だった。
僕という、一つの真実だった。
星屑